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夕涼み
夕立後の空気は、少しだけひんやりと湿っている。
夏の雨特有の緑っぽい空が茜色に変わっていくのを見ながら、縁側に腰を下ろす。
ふわりふわりと漂う蚊取り線香の煙を見ていると、玄関から音がした。
「おーい、帰ったぞ」
「ここだよ」
廊下の奥から出てきた家人は、いい匂いがするレジ袋をぶら下げていた。
「おや、なんだか素敵なものをお持ちだね」
「だろ」
得意げに腰を下ろす家人とは逆に立ち上がった私は、大きめの鉢に入れた氷とグラス、それから酒の瓶を持って縁側に戻った。開けられたフードパックの蓋には、早くも串だけになった焼き鳥が置かれている。
「沢山買ってきたね」
「『メニューにあるやつ全部二本ください』つった」
「一回言ってみたいやつだ」
氷を入れたグラスに、持ってきた日本酒を注ぐ。マドラーはないので、氷を指でつついて混ぜる。
同じものをもう一つ作り、片方を渡す。
「おつかれ」
「ん……そっちも」
こつんとぶつかったグラスの外側は、早くも曇っている。
軒先に吊るした風鈴が、小さく澄んだ音を立てた。




