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【1話30秒】BL掌編集  作者: 二ッ木ヨウカ


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朝焼け【幽霊とカフェと、オーナーと】

 何をしていても、誰にも咎められない。どこにいても、邪険にされることもない。


(幽霊って、こんなに楽なんだ……)


 カフェ二階の住居スペース。明るくなってきた室内をふわふわと漂いながら、私は開放感に浸っていた。

 目の前のベッドでは、まだオーナーがすやすやと寝息を立てている。私は長い睫毛や整った鼻筋をじっくりとベッドサイドから眺め、しっとりとした質感の唇に指先を伸ばした。

 もちろん半透明の人差し指はすり抜けてしまうのだけど、それでもどこか温かさを感じる気がするのだ。

 じっとオーナーの顔を見つめていると、カーテンの間から不意に朝焼けが差した。


「ん……」


 朝日が顔に当たり、オーナーが眉をしかめる。

 眩しそうに薄く開いた目と、視線が合った。


「っ、ぁ、そのっ……!」


 私が慌てて飛び退いた瞬間、オーナーの手が私を突き抜け、カーテンを引っ張った。再び薄暗くなった室内で寝返りを打ったオーナーは、また寝入ってしまったようだ。


(そ、そりゃそうか……)


 目なんて合うはずがない。オーナーに私は見えないのだから。

 よかった、と私はため息をつき――でも、どこか空虚な気がしてならないのだった。


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