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図書館の隅
図書室の端、錆びかけた踏み台の陰。
そこでいつも同じクラスメートが本を読んでいるのに気づいたのは、俺も人目につかずにサボれる場所を探していたからだった。
「何読んでんだ?」
本と同化するように小さく蹲る上から声をかけると、びくりとクラスメートが跳ねた。立ち上がろうとして踏み台に引っかかり、バランスを崩す。
柔らかな毛に包まれた頭が俺の胸にぶつかった瞬間、柔らかな――石鹸と、お日様の匂いの混ざったような匂いがした。
「あ、あ、えっと、ごめっ……」
「別に」
弾みで落ちた本を拾い上げる。ネズミが仲間たちと冒険に出る児童書だ。小難しい本かアニメ絵のラノベでも読んでるかと思ったのに意外である。
「へえ、これ原作あったんだ」
「あ、うん……?」
パラパラと中をめくり、読み始めそうになったところで気づいてページを閉じる。
「読み終わったら教えて。次借りるから」
本を突き出すと、おずおずとその端をクラスメートがつまんだ。




