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【1話30秒】BL掌編集  作者: 二ッ木ヨウカ


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暴虐の竜

 親とはぐれて、一人でどうしたらいいか分からなかったぼくを拾ってくれたのは、大きな剣を持った騎士様だった。

 騎士様はぼくを洗ってくれて、ご飯をくれて、柔らかくて温かい寝床もくれた。

 それから、一緒に行こう、と言ってくれた。

 嬉しかった。

 だから、ぼくは騎士様に言われるまま、家を焼いた。

 村も壊した。山を削った。国を更地にした。沢山の人を潰した。

 なんとなく、おかしいな、とは思っていた。

 ぼくを見た皆は、怖がって泣いていたから。

 でも、言われたとおりにやると騎士様はぼくを褒めてくれた。正しいことなんだよ、という言葉をぼくは信じて、目の前で叫ぶ人を見ないようにしていた。幸せだったから。

 でも、ある日騎士様とぼくは捕まってしまった。それからずっと、ぼくはじめじめした檻の中に閉じ込められている。

 ガチャン、と鍵の開く音がした。頭をあげると、「かんしゅさん」がいた。ご飯と毛布をくれて、時々少しお話してくれる人。騎士様ほどではないけど、素敵な人だ。


「出ろ」


 のたのたと這い出ると、かんしゅさんはぼくの首に鎖をつけた。


「どこに行くの? 騎士様に会える?」


 なぜか少し黙ったかんしゅさんは「ああ」と小さく答えた。

 嬉しくなったぼくは、尻尾を振りながら十三段の階段を登った。


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