暴虐の竜
親とはぐれて、一人でどうしたらいいか分からなかったぼくを拾ってくれたのは、大きな剣を持った騎士様だった。
騎士様はぼくを洗ってくれて、ご飯をくれて、柔らかくて温かい寝床もくれた。
それから、一緒に行こう、と言ってくれた。
嬉しかった。
だから、ぼくは騎士様に言われるまま、家を焼いた。
村も壊した。山を削った。国を更地にした。沢山の人を潰した。
なんとなく、おかしいな、とは思っていた。
ぼくを見た皆は、怖がって泣いていたから。
でも、言われたとおりにやると騎士様はぼくを褒めてくれた。正しいことなんだよ、という言葉をぼくは信じて、目の前で叫ぶ人を見ないようにしていた。幸せだったから。
でも、ある日騎士様とぼくは捕まってしまった。それからずっと、ぼくはじめじめした檻の中に閉じ込められている。
ガチャン、と鍵の開く音がした。頭をあげると、「かんしゅさん」がいた。ご飯と毛布をくれて、時々少しお話してくれる人。騎士様ほどではないけど、素敵な人だ。
「出ろ」
のたのたと這い出ると、かんしゅさんはぼくの首に鎖をつけた。
「どこに行くの? 騎士様に会える?」
なぜか少し黙ったかんしゅさんは「ああ」と小さく答えた。
嬉しくなったぼくは、尻尾を振りながら十三段の階段を登った。
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