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【1話30秒】BL掌編集  作者: 二ッ木ヨウカ


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クリッピング

「おいで」


 少しだけ沈んだ声に止まり木から降りる。近寄ると、主の手に銀の鋏が握られているのが見えた。

 小さく囀り、温かくて優しい感触に頭を擦り付ける。私の頭に触れた手が、背中から生えた羽に伸び、綺麗に生え揃った風切羽を広げた。


「ちょっと動かないでね」


 当てられた主の鋏が、私の羽を切り落としていく。

 ぱちりぱちりと。大切な人との縁を切るように。

 ごめんね、と少し不格好になった私の両翼を見て、主が呟く。


「でも、君が不幸な事故に遭ったり、外で迷ったりしないために必要なことなんだ」


 いいのですよ、と私は囀り返す。主は知らないのだから。

 この部屋の中で生まれ育った私が、大空を飛ぶ力など持っていないことを。

 けれども、主にそれを知る術はない。そして、私もそれでいいと思っている。


 こうして羽を切った後は、しばらく主が優しくしてくれるから。


 そして、私の声は――主に愛を囁くためだけにあるのだから。


 落ちた風切り羽根を拾い集めた主が、胸元にそれをそっとしまう。くるる、と私がその頬に身を寄せると、愛しい手が私の背を撫でた。


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