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クリッピング
「おいで」
少しだけ沈んだ声に止まり木から降りる。近寄ると、主の手に銀の鋏が握られているのが見えた。
小さく囀り、温かくて優しい感触に頭を擦り付ける。私の頭に触れた手が、背中から生えた羽に伸び、綺麗に生え揃った風切羽を広げた。
「ちょっと動かないでね」
当てられた主の鋏が、私の羽を切り落としていく。
ぱちりぱちりと。大切な人との縁を切るように。
ごめんね、と少し不格好になった私の両翼を見て、主が呟く。
「でも、君が不幸な事故に遭ったり、外で迷ったりしないために必要なことなんだ」
いいのですよ、と私は囀り返す。主は知らないのだから。
この部屋の中で生まれ育った私が、大空を飛ぶ力など持っていないことを。
けれども、主にそれを知る術はない。そして、私もそれでいいと思っている。
こうして羽を切った後は、しばらく主が優しくしてくれるから。
そして、私の声は――主に愛を囁くためだけにあるのだから。
落ちた風切り羽根を拾い集めた主が、胸元にそれをそっとしまう。くるる、と私がその頬に身を寄せると、愛しい手が私の背を撫でた。




