骨の王と龍の神
レリーフ「骨之王庭〝狂骨串刺〟」
宵ノ森「空間系統最上位魔法・次元断層結界」
13号と祇梨蓮斗が戦っている最中、宵ノ森湊もまた武装国家アルドンス所属の制圧部隊部隊長のレリーフ・アルテインと戦闘を行っていた。
宵ノ森「一つ質問だが、なぜお前達はそんなに躍起になって少年達を殺そうとするんだ?お前達が行った悪行も、既に全世界に知れ渡った。なら、もう勝ち目が無い事も分かる筈だ。」
レリーフ「うるさい。我らの命は国王陛下の物。そんなくだらん事、考える意味も無い!」
宵ノ森「.......?」
宵ノ森湊が口にした質問の返答は的外れなものだった。その的外れな言葉を耳にした宵ノ森湊の心中にある違和感が生まれる。
宵ノ森「質問を変えよう。武装国家アルドンスは過去、賢王が統治した平和な国家だった筈だ。それがなぜ突然他国を侵略する武装国家になったんだ。」
レリーフ「うるさい。我らの命は国王陛下の物。そんなくだらん事、考える意味も無い!」
宵ノ森「(また同じ返答.....)」
レリーフ・アルテインが口にしたのは先程と全く同じ返答だった。宵ノ森湊の感じる違和感は徐々に確信に変わりつつあった。
レリーフ「風系統最上位魔法・風滅〝斬塵〟」
宵ノ森「火系統最上位魔法・蒼炎ノ牙」
レリーフ・アルテインの周囲を粉微塵にしながら突き進む魔法に対し宵ノ森湊も最上位魔法で応戦する。風で砕かれた骨が無数に飛散し宵ノ森湊へ向け飛んでくる。
宵ノ森「しっ。」
襲い来る無数の骨の残骸をほぼ同時に全て叩き落とし、レリーフ・アルテインに急接近する。
宵ノ森「君、何かされてるな?」
その言葉と当時に繰り出されたのは長槍による凄まじい威力の横薙ぎ。レリーフ・アルテインは反応こそ出来たものの防御がほんの僅か間に合わずに右脇腹の肉が弾け飛ぶ結果になった。
レリーフ「かはっ......!?」
宵ノ森「気を抜くな、よっ!」
横薙ぎを終えた次の瞬間には宵ノ森湊の左の踵が眼前に迫っていた。脇腹が弾け出血が酷いレリーフ・アルテインにこれを防ぐ術は無く 、右の顳かみに踵が突き刺さった。その瞬間、グシャっという音がその場に響きレリーフ・アルテインは壁まで吹き飛ぶ事になった。
宵ノ森「んー.....その目、痛みを感じないのか?」
宵ノ森湊が見つめる先には顳かみから血が流れ腕があらぬ方向に向いた状態で立つレリーフ・アルテインの姿があった。
宵ノ森「(痛覚が無いのはほぼ確実か...まずは状況の整理からだ。まず奴がここに来た時の様子は正常だった。だが私と戦闘を始めてから様子がおかしくなった...脳の処理機能か?いや、それなら最初からさっきの言葉を言うハズだ。だがそうではなかった。つまりは...)」
レリーフ「骨之王庭〝蝕骨崩壊〟」
宵ノ森「なんだ...?体が....」
レリーフ「蝕骨崩壊、それは骨之王庭内に存在する有骨生物の骨を徐々に蝕み崩壊させる俺の奥義だ...!発動すれば最後、逃れる術は無い!!」
宵ノ森「なるほど、確かに凶悪だね。さてと、君の様子で大体の事情は察した。まず1つ、この侵略、君は是としてないね?」
レリーフ「....何を言っている?」
宵ノ森「私は一介の芸能プロデューサーに過ぎない。だが、知識はある。骨に関連する特殊異能を持つ武装国家アルドンスの戦士、それくらいの情報は頭に入ってる。その能力者は、犯罪者であっても命を奪うことは無い慈愛溢れる存在だったと聞く。だが、君からはそんな慈愛は感じない。」
宵ノ森湊は近接戦闘をこなしながら話を続ける。
レリーフ「..........」
宵ノ森「根拠はまだある。先程の君が私に返した返答、あれは情報を漏らさない為に持ちられる精神干渉の一種だ。君、知らず知らずの内に洗脳されたね?」
レリーフ「何を.....!?」
そう宵ノ森湊が口にした言葉が核心に迫る物なのか、レリーフ・アルテインが言い淀む。
宵ノ森「そして最後、今回この国を攻めてきた者達の異常とも呼べる祇梨蓮斗と天羽綾人に対しての執着。これは私の憶測だが、君達アルドンスの者達は誰かの目的の為に利用されている様にも思える。」
レリーフ「何を馬鹿な事を!?俺が精神支配だと!?ふざけた事を抜かすな!」
宵ノ森湊の言葉を聞いたレリーフ・アルテインは激昂、後ろに引きながら話をする宵ノ森湊へ向け突進する。が、攻撃する事は出来なかった。
宵ノ森「まぁまぁ、精神干渉かを見極める方法はある。丁度近寄ってきてくれたし、試してみよう。」
その言葉と同時に宵ノ森湊は凄まじいスピードでレリーフ・アルテインの目の前に現れた。そしてとてつもない力で首を掴み、顔を急接近させた。
レリーフ「な、なに、を.....!?」
宵ノ森「精神干渉がされていなければ気絶で済むが、もしされていた場合、これを喰らえば精神干渉の術式が肉体を守る為に暴走状態になり暴れ狂う。それを見させてもらう。」
レリーフ「や、やめ........」
宵ノ森「ハァ、、、、、、」
宵ノ森湊は小さく息を吐くと同時にとてつもない殺気を撒き散らす。その殺気は周辺にすら影響を与える事になった。
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蓮斗「うわ、なんか凄い寒気が....」
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マッド「うわぁ....おっかな。」
天羽「誰の殺気だこれ....?」
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荒山「相変わらず、末恐ろしい女じゃ....!」
フェル「これは......!?」
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殺戮神「......」
覇王「おぉ、おぉ、やってるねぇ。」
殺戮神「.....兄者は?」
覇王「野暮用だってさぁ〜。」
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宵ノ森湊が発した殺気は戦闘が起きた全ての区域まで広がり強者はそれを察知した。
レリーフ「ぁあぁ........」
そんな殺気を真近で受けたレリーフ・アルテインは意識を保つ事が出来ずに失神する結果となった。そして、気を失ってから数秒後の事だった。
宵ノ森「お、来たか。」
宵ノ森湊はそうなる事が分かっていたようにレリーフ・アルテインを遠くに投げ飛ばした。だがその体は地面に打ち付けられる事は無く、着地し立ち上がったのだ。
宵ノ森「ビンゴ、だね。」
そう、宵ノ森湊の予想通り、レリーフ・アルテインは精神干渉を受けていたのだ。
宵ノ森「それが分かれば十分だ。」
宵ノ森湊がうんうんと頷いていると意識を失った体が襲いかかる。しかし、
宵ノ森「龍神之氷棺」
宵ノ森「言ったでしょ?お前は二度と溶けない氷に呑まれ人生を終える、って。」
宵ノ森湊のその超短文詠唱と同時にレリーフ・アルテインの体は氷に包まれる。
宵ノ森「じゃ、この情報を周りに伝えないとね。」
その言葉と共に宵ノ森湊は氷棺に背を向け歩き始める。レリーフ・アルテインは完全に行動を停止。戦いは呆気なく終わり、宵ノ森湊の勝利で幕を閉じた。
宵ノ森「...君も動くんだろう?清和。」
そう、小さく呟きながら、宵ノ森湊はその場を後にした。




