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意外な人物

楽海「やぁ、新島さん。」

新島「楽海さん!お久しぶりです。でも、どうしてここに?」

楽海「簡単さ。弟子のピンチだからね、私達学園都市エーゼルファリアは君達国防軍並びに日本政府に協力しよう。」

新島「い、良いんですか!?」

楽海「もちろん、それにこちらとしても動かざるを得ない状況になってきてるからね。」

そう言い終えると同時に楽海界人は司令官室の椅子に腰をかける。そのまま楽海界人は総司令官である荒山厳十郎に対して驚くべきことを事を口にした。

楽海「ウチの密偵部隊の子からの情報だけど、奴さん達、もう制圧部隊を編成してるらしいよ。」

荒山「何っ!?それは本当か!?」

楽海「間違いないだろうね。連合国側の中にも過激派がいるらしく、そいつらが半ば暴走に近い状態らしい。」

新島「過激派...以前より対立関係にあった武装国家アルドンス、ですか...?」

楽海「正解。まぁそこだけでは無いけど極小数の国で制圧部隊が出来つつある。」

荒山「このタイミングで...処刑と同時に戦争でも仕掛けるつもりか...?」

新島「戦争ですか...有り得なくは、ありませんね...」

楽海「それだけじゃない。密偵の情報によると奴さん達は妖人街とエーゼルファリアを狙っているらしい。」

荒山「妖人街とエーゼルファリアを?」

楽海「そう、この2つには人智を超えた存在が数体存在している。奴さん達はそれを自身の国に取り込むつもりだろうな。」

新島「そうなれば、完全な侵略戦争じゃないですか...国連が許すはずが...」

荒山「通常ならば、問題視されるじゃろうな。だが、今の奴らには黒王戦鬼並びに改元之神処刑というあって無い様な大義名分がある。」

楽海「そう、アルドンスはこの気に乗じて確実に攻めてくる。もしそうなれば、大災害が牙を剥く事になる。」

新島「空狐長...赤月焼爛火葬狐、廻拓者、並界求答犠命廻鬼、ですか...」

そう2体の忌み名を呟きながら新島杏は楽海界人を見る。

荒山「確かに、この2つの都市を襲えば襲った国は間違いなく滅ぼされるだろうな。」

楽海「あぁ、私もそんな事はしたくない。だから、打開策を一緒に考えてくれ。」

その一言を聞き2人の額に汗が滲む。無理も無いだろう。何故なら、今自身達の目の前にいる男こそが、人から冠位に変容した冠位指定執行官の中で最強の名を手にしている存在なのだから。

新島「不躾ですが、楽海さんが直接手を打つのはどうでしょう?」

楽海「私も最初こそそう考えたんだが、リスクが高すぎる。私が出ればすぐに制圧はできるだろうが、そうなれば次に糾弾の矛先は私とエーゼルファリアになる。それだけは避けたい。」

荒山「どうしたものか...」

有効な策がです3人が考え込む。戦争を回避し、2人の少年の命を救う策。

荒山「制圧部隊を追い返したとしても、それはそれで相手は危険因子保護を理由に正面切って戦争をしかけてくるじゃろうな...もしそうなればフェルテレスも出てくるじゃろうな...」

新島「フェルテレス...武装国家アルドンスに所属する冠位代行執行官。もしそうなれば、民間人に多大な被害が出ますね...」

楽海「問題はもう1つ。もし少年二人の友や家族が殺された場合が最悪だ。」

荒山「かー...どうしたものか。」

なかなか策が纏まらず、司令官室に重い空気が流れ始める。首脳会議で決まった祇梨蓮斗並びに天羽綾人処刑。大義名分を手にした侵略戦争。侵略戦争が起きれば牙を剥く冠位指定執行官。少年達の暴走。解消せねばならない問題が次々浮上し頭を抱える3名。

楽海「くそ、いい案が思い浮かばん...!」

新島「こちらからの先制攻撃は以ての外、どうすれば波風立たない結果を...」

両名がそうボヤいたと同時に、司令官室の扉がノックされる。重苦しい空気と相反する軽快な音。その間の抜けた音に3名の肩の力が抜けた。

新島「今開けますね。」

新島杏がそう言い扉を開け放つ。するとそこには思いがけない者達が立っていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

小鳥遊「団長、これ...」

東雲「これは一体、どういう事だ...!?」

国防軍内にも首脳会議の内容が広がり、ざわめきが生まれていた。

東雲「確かに、祇梨蓮斗や天羽綾人は俺達を超える天才だ。だが、国家間のバランスの為だけに処刑するなんて、人のする事じゃない!」

そう東雲隼人は怒りを顕にした。それに続くように他の団長達も集結した。

天内「祇梨君、大丈夫かな...」

西野「流石にこれは見過ごせないね...しかし、私達が下手に介入すれば、戦争まっしぐらだ。」

竹内「しかし、祇梨蓮斗は日本国民だ。無実の罪で処刑されるのを、俺は許せない。」

星見「だが、どうする?団長とはいえ、各国の軍を止めれたとしてどうするんだ?武力介入=戦争だ。難しいな...」

清水「でも、私達は祇梨君を知ってる。あんないい子がこんな理由で処刑されるのは納得が行かない...それでいて、リスクが大きいのも分かる。私達は、どうすれば...」

団長達が集まり話し合ってなお、下手な事は出来ない。そう結論が出る。しかし、処刑には反対という考えもまた事実。皆が思い悩んでいると突然、館内放送が鳴った。

荒山「全団長はすぐに司令官室に顔を出せ!大至急だ!」

放送の声の主は総司令官、荒山厳十郎だった。しかしその声はいつもとは違い急いでいるような、そんな印象を受けた。

東雲「とりあえず、司令官室に向かおう。」

全員「おう/うん」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

放送から2分も経たない内に司令官室に団長副団長が集結した。

東雲「総司令官、呼び出しのご要件とは一体?」

東雲隼人がそう質問を投げかける。すると荒山厳十郎は深く息を吐き、吸った。それと同時に大きな声でこう言った。

荒山「我ら国防軍は!その全勢力を持って!祇梨蓮斗並びに天羽綾人を!全力で守護する!」

突然の宣言に団長副団長全員が驚愕する。しかし先程まで意気消沈していた団長達の目に希望が映る。

清水「それは嬉しいのですが、そう判断した理由をお聞きしてもよろしいでしょうか?」

荒山「それもそうじゃな。入ってくれ!」

荒山厳十郎のその声を聞き終えると同時に扉が開いた。そこに立っていたのは、

アルド「やぁ、国防軍団長副団長諸君。」

全員「!?」

なんとそこに立っていたのは元パンデモニウム大幹部のアルド・グレイヴだった。

小鳥遊「なぜ貴様がここにいる!?アルベシアで拘束中の筈だ!」

小鳥遊優里が叫ぶ。警戒して当然と言った顔でアルド・グレイヴは立っている。

小鳥遊「...?何故、殺気を放たない?」

アルド「俺がここに来た理由は一つだ。それより、俺よか話す相手がお前らにはいるぞ。」

アルド・グレイヴがそう言うともう1人、誰かが部屋に入ってきた。その場に居た全員が再び驚愕する事になる。そこに立っていたのは神聖国家アルベシア現女王イルア・シルド・アルベシアだったからだ。

イルア「お初にお目にかかります。私はイルア・シルド・アルベシア。今日は蓮斗くんと天羽さんの処刑を止めるためにここに来ました。」

イルアはそう言いながら軽く会釈をした。

清水「それで、なぜその男と...?」

アルド「あー、俺も祇梨の奴を殺されるのは嫌だから、かな?」

清水「どういう事だ...?」

アルド「まぁ、友達だから...?」

清水「なんだそれは...」

アルド「俺の事は今はどうでもいい。それよりこの嬢ちゃんが祇梨を救う鍵を持ってる。」

竹内「鍵...?」

イルア「えぇ。単刀直入に言います。今回の処刑を無くす方法、それは...武装国家アルドンスを正面から討ち果たす事です。」

小鳥遊「えっと、その理由を聞いても...?」

イルア「もちろん。武装国家アルドンス、彼らがあの2人の処刑に固執する理由、それは」

アルド「単騎で、特定神霊と厄災の群れを討伐出来るから、だな。」

星見「それは国家間のバランスが崩れるからであって、アルドンス一国に対する者では...」

アルド「まずお前らは前提から間違えてる。奴らが祇梨立ちを狙う理由、それ今回の戦争でアイツらが活躍したからだ。」

全員「?」

アルド「祇梨は知り合いや身内に対して手を出されると凄まじい力で襲いかかって来る。天羽同じだ。奴らはそれを危惧した。なんせ、アイツらは以前からこの国を攻める準備をしていたからだ。」

全員「!?」

アルド「お前らも、俺たちパンデモニウムが厄災を使役しているのは知ってるだろ?以前アルドンスの連中がパンデモニウムに接触し、厄災を数体買い取っていた。理由は何故か、簡単だ。強い兵器を作る為だ。」

西野「待ちな!それだと、今アルドンスには、」

アルド「そう、この国を滅ぼす為の倫理もクソもねぇ、人間数万人を犠牲に作った平気がごまんとある。」

西野「嘘だろ、前々から黒い噂があったのは知ってたが、そこまでとは...」

アルド「祇梨や天羽は生命倫理に反する事を許さない。もしそんな物があると知れれば、祇梨は必ず牙を剥く。そう考えて、黒王戦鬼って事を盾に処刑を強行しようとした。」

星見「それなら、こちらにも大義名分が出来る。だが、それが事実であればだ。アルド・グレイヴ、何か、それを証明出来る物はあるか...?」

アルド「腐っても、元大幹部だ。その程度、用意しているさ。これが、パンデモニウムとアルドンスが取引した際の明細だ。ちなみに録音もある。」

そう言い机に置かれた複数枚の資料と魔水晶。それに目を通した団長達は各々歓声を上げた。

東雲「よしっ、これなら行けるぞ!」

清水「えぇ、それにこのサインと捺印。アルドンス王家の物で間違いない!」

西野「これだけ証拠があれば、大義名分になる!」

星見「問題があるとすれば、この証拠を突きつけた場合アルドンスは最初から侵略戦争を仕掛けてくるって事だ。」

楽海「それなら問題ないよ。」

小鳥遊「楽海さん...」

楽海「今回の件、学園都市も全面協力する。もちろん、俺もだ。それに、アイツも黙って無いだろうしな。」

荒山「皆、話は纏まったか?」

全員「はい!」

荒山「よし、ならばすぐにこの証拠を公表し世界にアルドンスの実態を晒す。そうすれば、他国は止まるだろう。アルドンスはこれを嘘といい攻めてくるだろう。そこを叩く。」

全員「了!」

イルア「それに加え、我ら神聖国家アルベシアも日本に手を貸します。」

アルド「他に聞きたいことがあれば話すからなんでも聞いてくれ。」

東雲「さっきから思ってたんだが、なんでお前はそんなに協力的なんだ?」

アルド「言っただろ?祇梨は友達なんだ。理由なんて、それだけで十分だろ?」

東雲&清水&竹内&星見「(本当に友達なんだ...)」

西野「ハッハッハ!アンタ、気持ちの良い奴だね!だが、会議は終わったよ!さっさと牢屋に戻りな!」

アルド「へーへー。」

こうして思いもよらない人物の助言により国防軍は反撃の手段を手にする。



楽海「もしもし、清和か?」

全員がやる気に満ち溢れている時、楽海界人は1人の男に電話を掛ける。

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