国会議(サミット)
ヒスイのお品書き
ヒスイ「なんだか偉そうなおじさんばっかり!!主とお姉ちゃんがここにいると昔をおもいだすなぁ
お品書き
・ウエストランド
・ノースランド
・イーストランド
・教会
あのおじさんは食べちゃった方が早い気がする・・・・・」
俺たち全員が案内されたのは各国代表者が集まる集会場。円形のテーブルに5人の人物とその後ろには従者らしき人たちが数人待機している。部屋の一番奥、入口から一番遠いところに座るのはこの大陸を治める王、つまりこの国の王様でオスカー様の弟である。オスカー様と同じく金髪に緑の瞳、顔はオスカー様より女性的な顔立ちをしており、美しいと表現するのにふさわしい美貌だった。確かオスカー様と結構年が離れていると聞いたのでおそらく20代前半、下手したら10代後半にだって見えるお顔立ちだ。
「隼人殿よくいらしてくれた、凛殿ともどもこちらへ座ってくれ」
王に言われるがまま指定された席につく、用意されたのは王様の隣、ここに座るということは各国よりも俺たちの方が立場が上だということを証明している。ちなみにリュートさんは西城の後ろ、シンラとアモスさんは俺の後ろに立ってもらっている。コクロは俺の膝の上。
「ユーディリア王よ。なぜ、そのような者たちを隣におくのだ?凛殿は王家の者でもなければ商人という俗世の者。この会議に参加する資格すらない者だろう。それにそちらの見知らぬ者も名乗りもせず座るとは失礼ではないのかね」
王様からみて右側に座っている男。赤黒い鎧に身を包んだ大男、座っているため正確な高さは分からないが、鎧の上からでも分かるほど盛り上がった筋肉、厳つい顔。目つきなんて睨まれただけで逃げ出したくなるほど鋭い。
「ヴァローダ将軍、貴公がウエストランド代表だとしても、余の友人という称号を持つ二人のことを悪くいうのは止めてもらおう。それに今回の当事者でもある2人だ。この会議に参加してもらうのは当然だと思うが」
「つまりそちらがSランク冒険者の“万能”というわけか。噂では絶世の美男子だと聞いたのだが」
だからそんな噂どこから流したんだよ!西城もアモスさんもシンラも、リュートさんまで笑いをこらえている。王様の後ろで待機しているオスカー様なんて腹を抱えて倒れちゃったよ。
「ディーゼル王、そちらに関しては本人があまり一目に触れたくないという経緯もあって、幻影の魔法を使っていると報告がある。美男子に見えた者もいれば、90を超える老人という噂も流れているほどだ」
さすが陛下は顔色一つ変えずに返答してくれた。それを不敵な笑みで受けるディーゼル王、確かウエストランドの首都を治める王様だったはず。50代ぐらいに見える御年だが、王自ら各国に赴き、様々な技術を自国に持ち帰っている勤勉な王だと噂で聞いた。もちろん勤勉=いい人というわけではない。
「隼人殿を是非にとお呼びしたのは私でもあります。我らが神ロキ様より、隼人殿は神の声を聞く信託者だとお告げがあったのです。本当なら我が協会で最高位の司祭としてお勤めいただきたいのですが、それが叶わず」
凄く残念そうな顔をしているのは、聖職者特有の白い法衣をまとった老人。ロキを崇める聖教会の教皇様。普段はおっとりとした優しいお人なのだが、ロキの声を聞ける俺への勧誘がひどい。教会で最高位の教皇様が土下座までしてきたときは本当に困った。
「Sランク冒険者に神の声を聞き、おまけにユーディリア王の友人とはずいぶんと凄い方なのだな彼は」
値踏みするようにこちらを見てるのはノースランドを治める暴君、サマディー王。力こそ全てという脳筋な性格の王様でその座も武力で勝ち取ったものらしい。逆立った髪に浅黒い肌、ヴァローダ将軍には劣るものの着ている上等な服の上からでも筋肉が浮き出ているのが分かる。
「この場での発言をお許しください。確かに私にはすぎた肩書が多いと思いますが、全て偶然手に入ったものにすぎません。なにより私は俗世にそこまで関わろうという気持ちがない。日々の糧をもらい、自由気ままに過ごせればそれ以上を望みません。ユーディリア王とはそこをよく話し合って、友人の関係を持ったにすぎません。なにより私は王族でも貴族でもない、平民にすぎない身です」
俺だってそれなりの言葉遣いぐらいできる。もちろん肩がこるし、やりたくはないが穏便に済ませられるならそれに越したことはない。
「平民と申すならば国のために尽くすことは義務であろう。その類まれない才は国が管理してしかるべきもの、報告にあったサウスランドを滅ぼした光とてお主がやったことであろう。なぜそれを御そうとしない」
「何度も申し上げておりますが、私も万能もこの国の住民ではございません。あくまで来訪者でございます。我々は縛られることを嫌い、それを行うならこの国を出るとユーディリア王に告げました。そこで王が選択したのが友人という関係。それをよくお分かりになっていただきたいものですわ」
「商人風情が口を開く出ないわ!!」
なるほど俺が呼ばれたのはおそらくヴァローダ将軍が原因だ。
「貴殿こそ私の友人という立場をもう少し理解してほしい。そしてあなたはあくまでも代理、あなたの言う格式の位で言えば一番下であることを理解されよ」
「恐れながら、そこが納得できませぬ。確かに私はウエストランド王家から遣わされた代理でもあります。しかし、平民より下とおっしゃるのは止めていただきたい!王位継承権は放棄いたしましたが、王族が平民に遜るものではないというのは常識ではありませんか」
「確かに上に立つ者は下の者に遜ってはならぬ。対等な立場といえる我々へも無理に媚び諂うこともない。だが、私が友人という鎖で縛った者たちをみすみす逃がすような真似を貴殿はしようとしているのだぞ!」
久しぶりにユーディリア王の威圧をみた。こんな綺麗な顔をしているが、戦闘能力はその辺の騎士団長よりも高い。この国で位に関係なくトーナメントを行えば上位に食い込めるぐらいの力と魔力を持っている。もちろんここにいる者たちは権力のみで今の立場にいるわけではない。それなりの自力は持っていることだろう。だがその頂点に立っているのはユーディリア王だ。
「ユーディリア王その辺で、あなたの威圧は体に悪い」
ユーディリア王の威圧は精神的にだけでなく、体力も奪う特殊な威圧だ。その辺にいる子供なら気絶させて体力を奪うことすらできる。
「それに我々を鎖で縛りつけたとお聞きしたように思いますが、そのように思われていたのかしら?」
西城がこれでもかとユーディリア王を挑発していく。ユーディリア王本人は気にも留めないだろうが、西城の狙いは別にある。
「ぶ、無礼であろう!!ユーディリア王に対してその態度、この場で斬られても文句はいえぬぞ!!」
さっきまでユーディリア王の威圧で青い顔をしていたのに、今度は真っ赤な顔で怒りをあらわにしているヴァローダ将軍。西城のやつヴァローダ将軍を完全に潰す気だ。
「さっきからごちゃごちゃとうるせぇなおい!!」
膝の上でのんびりお昼寝していたコクロがついに目を覚ましてしまった。というか西城のやつわざと大声を出させるように誘導したな。多分ユーディリア王も・・・・
「たかが獣ごときが神聖な会議の場に立つなどなんと汚らわしい。この場で斬り伏せてくれるわ!!」
従者に持たせていた大剣を引き抜くとコクロと俺めがけて振りかぶってくる。俺まで巻き添えにされるのは勘弁してほしいんだけど。
「盾」
物理障壁と魔法障壁、その両方をヴァローダ将軍に付与する。将軍は剣を振り上げたまま全く動かなかった。
「余計なことしやがって、こいつらは姉御と主のことをさんざん言ってたじゃねーか。守る必要なんかねーだろ」
「お前がそのまま暴れたらこの場にいる全員皆殺しにしちゃうだろ。指名手配されるのなんてごめんだからな」
「な、なにをした!」
全く動けなかったヴァローダ将軍がようやく発したのは疑問だった。外から見たら将軍が急に止まって動かなくなっただけだが、俺が張った障壁には物凄い衝撃が走り、対象の将軍だけがその凄まじい音が聞こえたのだろう。
「コクロ(こいつ)があなたを真っ二つにしようとしたので障壁で守っただけです。言っておきますが、こいつが本気で暴れたらここにいる誰も止めることはできませんよ。その障壁だってコクロ(こいつ)の魔力を当てられただけで軋んでいるでしょ」
これが西城たちが用意した説得(脅し)。この場にはSランク冒険者が3人、そのうちの2人が全く動くことのできない威圧を放っている。ヴァローダ将軍もリュートさんとシンラのことは知っているだろう。俺とビオラさんは基本ユーディリアから外にでることはあまりないが、この2人は色々な国を訪れ王家に関係がある者なら必ず目にしている。その二人を圧倒できる従魔。それは4体しかありえない。
「ま、まさか聖獣・・・・獣を統べるフェンリルだというのか・・・・」
「お前それ以上口を開くな。お前が一言発するたびにこの部屋を、この階を、この城を、この国を潰してやる」
やだ!うちの子がとんでもなく怖いことを言っている!!本当にできるから余計怖い。
だが真に恐ろしいのはこの将軍だった。
「貴様がフェンリルなぞあり得ぬ!!聖獣フェンリルは我が国ウエストランドを守護する聖獣だぞ!!」
「言葉を発したな」
コクロが元の姿に戻る。大型車トラックと同じぐらい、部屋は元々大きいので余裕はあるのだが、元に戻ったことでコクロから発する魔力が暴風となって部屋中に吹き荒れる。人死だけは勘弁してほしいので、この場にいるシンラ以外に防御魔法を付与する。シンラなら元々魔法が無効なので大丈夫だろう。それを確認した後コクロが物凄い大きな遠吠えをすると暴風は竜巻となり部屋にある物を次々と破壊していく。以上を察して外の兵士たちがなにやら騒いでいるようだが、暴風の壁が何人も近づかせない。下手に手でも出そうものなら腕ごとちぎられるだろう。
「コクロその辺にしておけ」
とりあえずアイテムボックスから焼きたての骨付き肉を取り出すとさっきまで部屋を荒らしていた竜巻が一瞬にして消える。そして俺の目の前にお座りをして尻尾をブンブン振っている小型犬が現れる。
「こ、こんな・・・・・」
部屋は散々な状態だった。高そうなテーブルは粉々、調度品もバラバラ、窓ガラスは割れ、無事なのは人がいた周りのみ。
「ヴァローダ将軍、今回のことはウエストランドに報告させていただく。加えてこの部屋の損害は貴殿に請求するものとする。他のお三方も余計な手出しをなさらぬよう、十分に注意されよ。加えてこの事は他言無用。噂が広まれば各国に混乱が生まれることもあるだろう。それは各々分かっているとは思うが、この件は慎重に対応するよう注意されよ」
「あと私から、うちの商会で行っているウエストランドへの技術提供を即刻絶たせていただき、ウエストランドへの資材提供を年間20%減らさせていただきます。こちらは書面にしてウエストランド王家にお送りさせていただきますね。うちのような商会ごときの技術提供も資材提供も不要だということがよく分かりましたので、この機会にまだ手を付けてない地域への助力にあてさせていただきますね」
この2人超怖い。ヴァローダ将軍は完全に終わりだろう。聖獣と知りながら暴言を吐き、聖獣の怒りで城の会議室を滅茶苦茶にしてしまった。加えてそこの修繕費は将軍持ち、一体いくら掛かるのか想像もできない。
さらに、西城からの追い打ち。西城の商会は西城が開発した様々な魔道具や日用品、服や薬など各国に卸すだけでなく、西城が育てた生産職の職人たちを貸し出しその技術を各国に広めていた。もちろん各国とちゃんとした契約を取り決め、各国は西城の技術を広め、よりよいものを作り出そうとしている。その使っている技術の一切をウエストランドは使用不可とし、職人たちを即座に撤退させると言っている。技術が広まる前の生活に戻るだけと思えばそれまでだが、人は便利な物を使い続ければそれが当たり前だと思ってしまう。いざそれが無くなって元の生活に耐えられる者は少ない。加えてウエストランドに卸している資材、これは高品質かつ、貴重な物が多く、今のところ安定して供給ができているのは西城の商会だけだ。この材料は高ランクのポーションや高品質の武器や防具の素材でもあるため、それを20%も減らされては国にとって大打撃だろう。
「将軍、すぐに非礼のお詫びをなさってくださいませ!凛殿の商会技術は国で導入されてます水道技術や照明技術に留まらず、将軍たちがお使いになっている武器や防具にも使われているものです。それの全てを使用禁止にされれば我が国は他の国との技術さが開くばかりです。それは1世代や2世代などではなく半世紀ともいえる致命的な差なのですよ!!そうなれば我が国は他国との差が開き、争いともなれば負けるのは明確です!!」
将軍のお付き人、おそらく国での経済を担当している者だろう。彼は西城がどれだけ経済に影響を及ぼしているのか知っていた。それを知っていながら将軍を止めなかった、いや、止められなかったのは彼らの責任だ。ご愁傷様とは思うが情けを掛ける気にはなれない。
ヴァローダ将軍は自分のやらかしてしまったことの処理が未だにできていないのか、放心状態になってしまっている。
「凛よ。私としてもウエストランドが衰退していくのを見るのは心苦しい。お前が伝えた技術の使用権ぐらいは認めてやることはできぬか?」
「陛下がそこまでおっしゃるのであれば私も考えるといたしましょう。この後ウエストランドに赴いて王家の方とより良い方法がないか考えると致します」
これでウエストランドはユーディリア王に借りができた。そして西城はこの機会を使ってサウスランドから搾り取れるだけ搾り取る気だ。もちろん民にではなく、それをまとめる貴族や王族に対してだ。
「コクロはどうする?ウエストランドはお前らの守護する地域なんだろ?」
「守護と言っても特になにかしているわけじゃねーしな。せいぜい好戦的な魔獣たちを沈めておくぐらいなもんだ。こいつ一人に対してその守護を無くす気はねーが、主や姉御に迷惑かけ続けるならそれもやむなしだな」
むしゃむしゃと美味しそうに肉を食べながら随分物騒なことをおっしゃる。
「と言うことらしいので、ウエストランドの方々はこの子に対しても十分にお気をつけくださいね」
止めの一言でウエストランドは大損害を受けることとなった。それもこれも人を見下すような人物を派遣したことや未だに階級制度の執着が強いと噂のウエストランドが悪いと思う。
結局サウスランドの件に関しては西城の報告のみで問題なかったようだ。あまりにもヴァローダ将軍が西城の話を聞かず、会議を都度都度中断するもんだから困り果てていたらしい。ノースとイーストの代表は特に干渉せずといった体勢を貫き、教会側はそもそも復興の代表として呼ばれているため、発言は控えてようだ。
「それでは報告は以上となる。サウスランドの土地と残っている村や町の統治は追々詰めていくこととする」
ようやく会議が終わり俺も早く帰りたかったのだが、アモスさんの説明をしないと後々面倒になると思い。陛下と西城、リュートさんとオスカー様には残ってもらって報告をすることにする。
「なるほど、リヴァイアサンの加護持ちの従魔とは驚いた」
「全く、あんたはなにか問題を持ってくる呪いにでも掛かってるんじゃないの?一度ちゃんと検査してみたら」
「俺だって好きで持ってきてるわけじゃないし。俺が原因みたいく言うのやめて・・・・・」
西城にはああいったが、本当に呪いとかだったら嫌なので専門家に相談してみようと心に刻んだ。
「それでアモスとやら、そのシーキャット、オケアノスと契約してなにか体に違和感のようなものはあるのか?」
陛下も直接聖獣と契約した事例は知っているようだが、聖獣の加護持ちの魔獣は聞いたことが無いようで興味があるようだ。
「いえ、特にこれと言って変化はありません」
珍しくアモスさんが緊張している。Aランク冒険者でも陛下と謁見できるのは限られているし、ヴァローダ将軍にみせた威圧も相当なものだった。
「そこまで緊張しなくて良い、この場には私と兄しかいない。言葉遣いもいつも通りで構わないよ」
「陛下がそう言うなら私もいつも通りにさせていただこう」
と陛下の隣のソファーにドスンとオスカー様が座る。
「兄上に言ってるわけではないのですが」
「気にするな、気にするな」
さっきまで凛々しい顔立ちだったのに座ったとたんいつものだらしない表情になってしまう残念イケオジ。
「陛下もこう言ってくれてるし、俺たちもいつも通りにしてみよう。難しいかもだけど」
俺も何度か陛下とオスカー様、この二人の時はいつも通りでと言われるのだが、未だに言葉遣いが直らない。こればかりは目上の方という印象がやっぱり強いのでなかなか難しい。
「はぁ、なるべく努力してみます。してみる」
アモスさんは少し緊張が抜けたようだが、それでもやっぱり言葉遣いは直らないようだ。
「それで体への影響だが、従魔として契約すればその従魔から何かしらの力を借り受けることができると聞いたことがある。リヴァイアサンの加護持ちとあらばその影響はかなりのものだと思うんだが」
「確かに陛下のおっしゃるように、従魔と契約すればある程度の能力が向上します。ただ、聖獣の加護ともなればいきなり力を貸し与えては体がついていきません。おそらく徐々に魔力に慣れる必要があるのだと思います。アモスさんが契約したのは今朝ですし、まだそれほど時間が立っているわけではありませんから」
魔力感知でアモスさんの魔力を調べてみたが特に変化はない。だが、オケアノスから少しづつではあるが、魔力が流れて行っているのを感じる。アモスさんの魔力適正は土と火、水の適正はあるとはいえ強いわけではない。オケアノスもそれを分かっているのだろう、一気に魔力を送ることをせず、ちょっとづつ力を分け与えているように見える。
「今アモスさんに水の魔力を一気に分け与えれば体が拒絶反応を起こして、下手したら魔力暴走の危険もあります。その分オケアノスの負担が大きくはありますが、契約したことによって元の負担よりは軽減されているようです」
「なるほど、それではアモスとオケアノスはこれからどうするのが良いのだろう。私としては隼人たちのように国に縛り付けるつもりはない。だが、未熟な従魔に不慣れな契約者、国として保護した方が安全だという気もするが」
「それはどうだろうな。隼人たちは貴族たちを脅して、コホン、説得して今の地位をもらったようなもんだ。だが、こいつらなら今から手に入れようとするやつらが現れるだろうぜ。俺としちゃ何事もなかったように元の冒険者を続ける方がいいと思うが」
それも安全とは言いかねない。どこでオケアノスがリヴァイアサンの加護持ちだとばれるか分からない以上、協力者は必要だろう。
「なら主様と一緒にいらっしゃるのがよろしいではりませんか!」
いつの間にかコクロと入れ替わって話し合に参加していたハクトが目をキラキラさせながら言う。
「お前なぁ、主の許可なしでいきなり代わるなよ。それにそれってお前の願望だろ」
こいつは俺とアモスさんをくっつける気が見受けられる。
「そんなことございませんわ!よくお考えになってください。従魔に不慣れなアモス様と未熟なオケアノス、それの上位互換は強力な従魔を従える主様と、聖獣本人である私たちではありませんか。私たちならアモス様たちのサポートだってできますし、いざという時お二人の手助けにもなれるはずですわ!!」
私情がはさまっているとはいえ、なかなかいい案かもしれない。ずっと一緒は無理だが、正式パーティーを組んで外での活動をなるべく一緒にするとかならありだとは思うが。
「でもアモスさんの拠点は王都だろ。魔の森にいる俺たちとじゃ簡単に会うことも」
「それについてはあんたにお仕事があるから心配ないわ」
西城がとってもいい笑顔でこちらを見ている。ヤバい、あの顔は非常にヤバい顔だ。逃げたい、今すぐにあいつの影響がないところに飛んでいきたい!!
「えっと、それはどういうことでございましょうか・・・」
「あんた気づいてないかもしれないけど、あんたの口座すっからかんな上に、あたしに借金してる状態よ」
な、なんですとーーーー!!!
「ちょっと待てよ!なんで俺が借金なんて、そもそも俺の口座にはかなりの額があったはずだろ。あれで足りないとかどんだけ・・・・・」
ここで思い出してしまった。今回のサウスランドで西城は核爆弾を使っている。そしてそれを使ったのは俺がアンデットの足止めを頼んだ時・・・・・・
「もしかして、爆弾の請求を俺にした?」
「もちろん!だってあれを使わせる状態を作った張本人はあんただもん」
「で、でもあれはロキの許可もあってのことだし、全額俺ってちょっと・・・・・」
「なんか文句でもあるのかしら?あの時私の結構危なかったのよ。災害級の魔獣相手に世界まで使われて、そして何より私がお金のことで妥協するとでも思ってるのかしら?」
はい、終わった!!!!!
「ってことは俺はこれから大借金を抱えた身になるのか?いや、もしかして借金奴隷とかになるのか?!」
「流石にそこまでは言わないわよ。ただ、あんたには私が新しく作った店を手伝ってもらう予定。週5日、朝と夜の1時間だけのね」
思ったよりも優しい条件だった。西城のことだから朝から晩までこき使わされると思ったが・・・・・いや、こいつがそんな優しい条件を出すわけがない。
「絶対なんか裏があるだろ」
「失礼ね。やってもらう仕事的にアドバイザー的な部分が大きいから拘束時間が短いのよ。その代わり、店が赤字になったら覚悟しなさい」
こ、怖い・・・・目がガチだよ・・・・・・
「それで隼人が店を手伝うのと俺とどう関係があるんだ?」
俺がブルブルと震えている最中も話はどんどん進んでいった。
要約すると、店は王都に開く予定で、俺は週5で王都に来ることになるらしい。朝と夜なので昼間の時間は基本自由に使えるらしく、その間はアモスさんと一緒にいればいいとのこと。
「なんなら店の2階と3階は住居にするつもりだったから、アモスさんもそこに住んじゃえばいいんじゃないかしら。家賃もお安くしとくわよ」
実際はその店と魔の森にある俺の店を扉で繋げるらしい。ただ、これをこの場にいる全員に知らせるのはリスクがあるとのことで黙っているようだ。
「凛よ。隼人に手伝ってもらう店とはどんな店にするつもりなのだ?」
「よくぞ聞いてくれました。うちの商会はついに料理業界にも出店するのよ」
お読みいただきありがとうございます。
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