……
「おのれ、おのれ、おのれぇっ、ぐすっ……」
蜘蛛の巣状の巨大な糸に、巨大キュウリにまたがるトンボ少女が捕らわれている。彼女は目に涙を浮かべながら、とても不機嫌な表情に。
「私がっ、こんなところで!」
彼女の右側には、右手と右足を封じる蜘蛛の巣状の糸。そして彼女の左側には、左手と左足を封じる蜘蛛の巣状の糸。
2つの蜘蛛の巣状の糸が、緑髪少女を挟み込む形で設置されている。
「ぐすっ、ぐすっ、ウゴゴゴゴォ!」
緑髪少女が暴れる。手足をバタバタさせようとするが、糸の粘り気に阻まれ思い通りにならない。
「ううっ、えいゃ、ううん……」
「ぐすっ、ひっぐ……」
「ふぇぇえええええん! うぐっ、ぐすん」
あれ? 泣いちゃった。
「クロメ、今のうちだよ! とどめを刺して」
「でも、彼女泣いてるよ」
「騙されちゃだめだよ! あいつは、クロメなんかとは比べ物にならないくらいの悪なんだよ。きっと、ああやって泣きながら、裏でこっそりと悪だくみをしているんだよ」
「でも……」
なんとなくだけれど、彼女とは分かり合える気がする、彼女は完全な悪ではない、そう思った。なぜだかは分からない。
ただ、彼女の顔を見て、そう思った。
「……裏でこっそりと悪だくみ?」
目にはまだ涙が残っているものの、少し落ち着いた様子の緑髪少女が突然口を開く。
「……その通りさ!」
!?
何か、すごくやな予感がする。
「クロメ、あれを見て!」
風少女が上を指さす。
なんだ……あれ? すごく、大きい。そして、とても光り輝いている。光の、塊?
少女が示した先には、青く輝く巨大な光が。美しくも狂気を感じる光景だ。
「これがぁ、私の! 最強技『彗星落とし』だぁ!」
「すべてを破壊するぅ、青白い光! 」
「これで! 何もかも! ……おしまいだ」
青く輝く巨大な光が、ゆっくりと こちらに向かってくる。もしあれがこちらに落ちてきたら、私たちはひとたまりもないだろう。彼女の言う悪だくみとは、この事なのだろうか?
「何なの? あれは」
風少女が問いかける。
「アレはなぁ、巨大彗星ってやつだ。そいつに近づいたものは、急激な温度変化に耐えられずに死ぬ。もちろん、私も、お前たちも、この国の人たちも! すべて滅びるのさ」
な、なんだって?
「今すぐその技を解除して! お願いだから」
「は~っはっは! これで、私もっ! お前たちもっ! そしてっ、こんな国のやつらもっ! すべてが終わる。すべて終わるんだぁっ!」
「どうしてそんなにひどいことを……」
「……」
「……私は身元のない謎の精霊。そして得体のしれない力を持っている。こうなるのは必然だったんだよ! 最初からな!」
「だからってこんなことしていいと思っているの?」
風少女が問いかける。
「私がっ、生まれてきた地点で! こうなるのは決まっていたんだよ」
「そんな……」
…………
「あ、あれ? なんだか寒くなってきてない?」
「確かに……」
「あーっはっはっは! もうそろそろだ。これでっ! すべてが終わる。私の! 最強技!『彗星落とし』によってなぁ!」
上を見上げてみると、先ほどよりも大きい青の光。この国を破滅に導く、混沌の光。




