希望の歌
「どうして、どうして……」
「私の、愛を……」
「受け取ってぇえ」
「えええええええ」
「くれないのぉおおですかぁああああああああ!」
「私はぁっ! ぐすぅっ、愛を求めてぇ……やっと、四天王になれたのにぃぃ! 誰一人、私の愛に答えてくれませぇぇえん!」
「どうして、どうして誰も、私のぉ、私の! 愛をぉっ! どうして? どうして? なぜ? なぜ?」
「……愛は素晴らしいものです。人と人との素晴らしい心のふれあい。私もそれを得るために色々と努力しました」
「けれども! 誰も! 私の愛を! 受け入れてくれません。ああ、なんで……何でなのですか!」
「何でなのぉっ、ですかぁぁぁあああああ!」
「うぉぉぉぉおおおおあああああぁぁぁぁぁぁんんんんん!」
一体どうしたんだろう? キンジロウの様子が明らかにおかしい。彼の狂気的な表情に、ちょっと恐怖を感じちゃうな。
「なんだかやばそうだね♪」
「コ~ン♪」
私がかすかな恐怖を感じたのとは逆に、カオリンとスズネはなんだか楽しそう。悲観的な音楽が、カオリンの風魔法により奏でられ、彼女は小刻みにステップを踏む。一方スズネは尻尾を大きく振ってご機嫌な様子。彼女たちは、恐怖を感じなかったのだろうか?
「ねえ、怖くないの?」
「全然! 彼の感情的な訴えが、新しい曲のイメージを膨らませてくるよ。あ、そうだ! 今ここでその歌を歌っちゃおう!」
私の質問に対して首を振り、恐怖を感じたのではなく、インスピレーションが湧いたことを伝えるカオリン。この場面で、歌を?
「それじゃ一曲歌います! 『愛の受け入れ先』」
彼女が曲名を宣言すると、室内に音楽が響き渡る。
「♬♪~♬♪~♪♪」
「♬♪♬♪♪~」
「♬♪♬♪~」
基本は寂しげな曲調だけれども、時々感じる希望的な雰囲気。うん、やっぱりいい曲だな。カオリンの可憐な歌声がこの曲の魅力を最大限に引き出している。
キンジロウの狂気をこんな素晴らしい曲に変えるなんて、すごいよカオリンは。
「♬♪♬♪♪~♬♪♬♪♪」
「♬♪~♬♪~♬」
「♬♪~♬♪~♬♪~」
とってもいい曲! 私の心が、洗われていくのを感じるよ。ずっと聞いていたいな。
「♬♪♬♪♪~」
「♬♪♬♪♪~♬♪♬♪♪~」
「私の愛情は、どこに受け入れられるのでしょうか? たとえ思いが誰にも受け入れられなくても、愛の為に生きていこうと思います。それが、私の生きる道なのではないのでしょうか」
「♬♪~♬♪~♬♪~」
「♬♪♬♪~」
キンジロウのセリフが、なんかいい感じに曲の間奏に混じる。見事に曲とマッチしてるよ。
その後も何度か、間奏中にキンジロウのセリフが入りつつも、無事に曲は終わった。そして、キンジロウが拍手を行いつつ感想を述べる。
「素晴らしい、素晴らしいよ。わっはっは!」
「私の気持ちを、ここまで表現出来るなんて……素晴らしい!」
「すば、すば、素晴らしいよ。君は」
「あは、あは、あはははははははははははっはっは……ははははは!」
「あああああ。沈まれ私の右腕よ!」
キンジロウの右腕の様子が、少しおかしい。




