ここだけの話
「お前は私たちの計画を知ってしまった。生かして帰るわけにはいかない」
坊主の男性が、恐ろしいことを口にする。
下を見れば、教室にいるすべてのオッサンたちが私たちに向かい鋭い視線を向けている。どうやら私たちを見逃す気はないようだ。これは、まずい。
「ねぇねぇ~ 話し合いで解決できないかなぁ?」
「コ~ン!」
「それはできないお約束です。我々の計画は秘密裏に行わなければなりません。人々にばれないように、少しずつ非リア向け施設を建設することで、違和感のないように非リアの権威を高めることが出来るのです。逆に、もし我々の作戦がばれてしまえば、非リアたちの立場はなくなってしまうのです」
網に絡められ、スズネに抱き着くような形で横たわっているカオリンが、スズネと共に平和的解決法を提案する。だがそれは、クリーボの言葉により否定されてしまう。
この網の上では、満足に動くことが出来ない。そして、たった今話し合いも失敗してしまった。一体どうすれば。
「♪~♪~~~♬♪~♪~~♬~」
突然、メロディーが響く。
この、繊細な歌声……カオリンの歌だ。この透き通るような歌なら、相手の戦意を喪失させることが出来るかも!
「♪~~♪~~~♬♪♬♪」
「♬♪~♪♬~♪♪♪」
カオリンの歌により、この教室一面がコンサート会場へと変わる。心地の良い音がこの教室の中を響きまわっている。これなら!
「歌がうまいんだな」
坊主の男性が、感心したように歌の感想を述べる。ほかのオッサンたちも大人しく歌を聞いている。
「♪~♪~~~♬♪~♪~~♬~」
「♬♪~♬~♪~♪」
カオリンの歌が教室に響く。
「だが残念だ。その歌は、俺達には効かない」
しばらく時間がたった後、坊主男性の顔がこわばり歌が効かないことを告げる。坊主だけではない、この教室の男すべてが戦意に満ちた顔で私たちを見上げる。
「俺たち非リア工業は、非リアの集まりによって成り立っているのだ。リア充の生歌などで心を動かすような奴は……ここにはいない!」
カオリンの歌が、効かないなんて!
「貴様らリア充の行動など、私たちの前では無意味だ! 大人しく消されるがいい」
坊主男性は容赦ない言葉を放つ。
彼らは私たちのことを、リア充だと思っている? それなら……
私がリア充じゃないことを伝えればいい!
「ここだけの話……私、この国にやって来た時、実は…………1人で遊園地で遊んでいたんだ」
「なん、だと!」
「嘘だ! そんなはずがない」
「そんなの、ありえないよ」
私の言葉に反応して、教室の男性たちがざわめきだす。そして、坊主男性が私に尋ねる。
「本当なのか、それは」




