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空中を浮遊する泥の塊




「これ、どうしようか……」

「面白い物体だね♪」


 私たちは今、ただ広いだけのこの部屋の中を浮遊する、ちょうどカオリンの頭ほどの大きさを持つ茶色の物体を眺めている。この茶色い飛行物体により、この部屋の光景が乱されているのだ。この異常性を例えるなら、うさ耳が生えているスズネのようなもの。


 アイテム袋の中に収めようと追いかけようとすると、逃げてしまうのだ。カオリンの風魔法でも動かすことはできない。だからと言って無視するとしつこくついてくる。まるで猫のように。


 とはいえ捕まえようとすると空へと逃げてしまうため、放置するしかない。スズネを起こして非リア工業へと向かわなくては、っとその前に爆弾を作らなきゃ。


 

 普通の樹液×9を魔力で変化させ、できるだけ多くの爆弾を作っちゃおう。樹液がなくなるまで魔力変化を行い、様々なアイテムを作ることに成功した



 ランクF 緑の樹液石×18


 ランクD ミニマム爆弾×6



 今回はやけに緑の樹液石が出来上がるね。もしかしたら気分によって出来上がるものが変わるのかも。



「コォォン……」


 眠そうにあくびを行いながら、スズネが起き上がり私のお腹へとダイブしてきて、優しい触り心地で茶色い岩によって困惑していた私の心を癒す。



「コォン?」


 スズネも愛くるしい表情をしながら、空中に浮かぶ泥の塊に困惑しているようだ。


 空中に浮かぶ不思議な塊、それは私の中の奇妙さランキング、1位を受賞するほどの異常性にあふれている。これは今後も覆されることはないだろう。そして私も、この岩と共に旅をすることによって、奇妙な存在だと思われるようになってしまうに違いない。だが仕方ないのだ、壊す気にもなれないし、捕まえることもできないのだから。



 私たちは、宙に漂う泥の塊と共に非リア工業に向かう。まずは工場見学を行うことにしたので、受付の案内に従い進む。



 この工場のフロントは大きくて、たくさんのベンチにいくつかのお店、そしていくつかの扉が存在する。この工場の従業員らしい人が、私が案内された場所とは違う扉に進んで行くのが見える。色々な場所を目で確認しながら、案内された扉を開け、先へと歩き出す。



 小綺麗で茶色い、やや広い通路を進んで行く。左右を見渡してみればガラスにより仕切られていて、ガラスの向こうで様々な機械が稼働しているのが見える。いつまで歩いてもこの通路の終わりが見えないことから、この工場が大きいということを実感する。


 この通路は少々薄暗いように感じるが、天井に着いている白い照明により明るくも感じる。不思議な感覚だ。空を浮遊する泥の塊も、この不思議な感触を強める要因となっている。



「ねえ見てクロメ。たくさんの機械たちにほんの少しの人間。みんな元気に働いてる♪」


「みんな頑張ってるね!」



 カオリンが周りの光景を興味深そうに見ている。そしてその後、私の方を見てくる。



「私、バンドを始めるずっと前にミカンちゃんを初めて知って、その時からマーチングバンドに興味を持つようになって、カオリナイトを結成したんだ。解散後、彼女に弟子入りして、自由気ままにこの国を冒険したいなと思ってたの」


「けど、そうすることはできなかった。自分なんかがミカンちゃんの隣でやっていける訳がないって思うようになってきて、私は動くことが出来なかった」


「マーチングバンドに入る勇気のなかった私は、カオリナイトの解散に合わせて旅を始めようと思ったの。そんな時クロメに出会って、一緒に旅をしようと決意したんだ」





 カオリンは自分の過去について、しっかりと話してくれる。そうか、やっぱりミカンちゃんとマーチングバンドをしたかったのか。ならば私から言えることは一つだけだ。

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