新技披露
「う~ん、すごく濃厚! 深い味わい! 美味しい!」
「大人の味わいだね♪」
「コオォ~ン♪」
私たちは、ベンチに座りながらタピオカチーズティーを味わっている。倉庫の中に食器とストローが沢山あったおかげで、万能鍋に入っていたチーズティーを保存することが出来たのだ。
甘さ控えめのスッキリとしたミルクティーに、うまみの凝縮されたチーズを混ぜ合わせる。すると、絶妙な甘さの濃厚ドリンクが出来上がる。凄く美味しい。
ふと右を見てみると、ほっぺの落ちそうなマッタリとした表情のカオリンが。左を見ると、熱心にお皿のチーズティーを飲んでいるスズネが。みんな気に入ってくれたみたいでよかった。
「ざわ、ざわ、ざわ」
あれ? 何だか突然騒がしくなってきたなぁ。私たちの座るベンチの前に、大きな人の塊がいつの間にか出来上がっていた。
「うおおおおおおお! すごい、本物だぁ!」
「まさか、生のミカンちゃんを見れるなんて!」
ミカンちゃん……有名人かな?
「嘘! 本物のミカンちゃんがいるの? ねえクロメ、ちょっと見てきていい?」
「行ってらっしゃい!」
「コ~ン」
カオリンが人の塊をかき分け、前へと進んでいく。ミカンちゃんってすごく人気があるのかも。私も彼女に会ってみようかな?
よし! 会ってみよう。魅力的な人と関わることで、自分も魅力的になれるかもしれない。そうと決まれば突撃だ。
ミカンちゃんのもとへ向かおうとする私だったが、目の前の人の塊が障害となりなかなか進めない。ここは気合で乗り越えよう!
「せいや~」
「ぽよーん」
「わあ!」
人ごみに向かって進んでみたものの、見事に弾かれてしまう。こうなったら!
「分身囲みの術!」
私が術を唱えると、一瞬にして私があふれる。私がたくさん!
あちこちに散らばった私たちが、私のいる場所へと集まっていく。そして、分身が分身を肩車し、さらにほかの分身がそれに上る。すると、30Mくらいの高さまで届いたところで分身が尽きた。後は私だけ。
「それじゃ、行くよ!」
私は、恐る恐る肩車されている私の分身を上る。上るたびに少しグラグラして不安だったけれど、何とか登り切って見せた。今の私は一番上にいた分身に肩車されている。
「「「これが私の新技、クロメタワーだよ!」」」
新技、クロメタワーが完成した。
「おい、見ろよあれ!」
「すっげぇぜ……」
「正気の沙汰ではないな……」
私が大声で技名を叫んだせいなのか、周りの人たちが私に注目している。ここは、アレをする場面だな。
「スズネ! 力を貸して」
タワーの頂上でゆらゆらしている私は、スズネに声をかける。
「コンコ~ン♪」
スズネが私に黄色いエネルギーのようなものを送ってくれる。これで……
「分身解除!」
分身たちが、黄色いエネルギーと共に私のもとへと集まってくる。
支えを失った私は当然落下するが、落ちながら私は前へと進んで行く。
そして、黄色いエネルギーの様なものが私を包み込んだとたん、私は、自分の姿が変わっていくのを感じる。スズネのようなモフモフの姿になったのである。
少しだけパワーアップした私は、すぐに体勢を整え、着地に備える。
「着地!」
私は、きれいな着地に成功した。すると、周りが騒ぎ出す。
「キツネ、キツネ少女だ! すごいぜ」
「ナイス着地!」
「あの時の、キツネの子だ。可愛い!」
そしてその後、とてつもない存在感を放つ少女に声をかけられるのだった。
「ボンジョルノ♪ 初めまして。私の名前はミカンだよ~♪ お友達になろ!」




