小さな職人
私は、自身の着色能力のなさを実感することになったのだ。目の前には無数の青いお皿、それもムラだらけのもの。自身の作りだした粗雑な彩色の素地を見ていると、職人としての無力感に襲われる。
職人の世界では、ムラなく色を塗れるのが常識となっている。このままでは職人を名乗れない。色の濃淡をなくさなければならない。だが、何度塗っても均一にならない。どうしたものか。
いろいろ悩んでいた私のもとに、一人の少女がやって来たのだ。水色のドレスに、長くて青いきれいな髪を持つ、愛嬌ある少女。彼女が言うには、私の作品には魂がこもっているらしい。やっぱり作品には魂を込めないとね。
彼女と私は職人について、色々と話し合った。職人の心構え、職人の大変さ、職人がリラックスのためによく食べるおやつについてなど、意見を交換することが出来た。
最初に見た時の彼女は、自由で自分の道を進む、そんなイメージがあった。だが職人について話している彼女は、まるで別人のように喋りだしたのだ。彼女の語りから、職人技に対しての熱意を感じ取ることが出来る。おそらく彼女も職人なのだろう。
しばらく話をした後、私たちは別れ、それぞれ別の場所で練習を始める。私は、時間が来るまでがむしゃらに練習に取り組んだ。
「Aグループ、勝者は………………………………何と! 剣士のシーさん。これは予想外! 勝ち残れないと思われていたCさんが、なんと奇跡の塗りを現実のものに。これは完全に予想外だ!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
「シーちゃん~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」
大きな拍手喝采が観客から流れ込んでいく。私も負けてられないな。それにしてもシーちゃんがスズネに勝つなんて。一体どんな作品を作ったのだろうか?
「それではBグループの試合を開始したいと思います。ルールは簡単。一人ずつ呼ぶので、呼ばれた人はその場で作品を仕上げてください。一番多く審査員の心を動かした作品を作り上げた人が、Bグループの勝者になります。それでは、Bさん、どうぞ」
「はい。Bと申します。どこまで行けるかどうかわかりませんが、全力を尽くしていきたいと思います。
Bさんの塗りは、一言で言うなら「丁寧」といったところか。けして焦ることなく筆を進めていくBさん。ミスが非常に少ない。これはかなりの高評価だね。
「これは素晴らしい!」
「この作品から、作者のまじめな性格が感じ取れます」
「いいね!」
審査員たちからも好評だ。これは優勝するかもしれない。
「Bさんありがとうございました。素晴らしい作品でしたね。それでは二人目、デイさんどうぞ」
「は~い! デイちゃんで~す。頑張りたいと思います♪」
青髪の女の子が、ふんわりと自己紹介を済ませた後、急に表情を変え、熱心に作品作りへと取り掛かる。




