取引
「この奥にあるパワーストーンを恵んでほしいの」
マリリンの口から、驚くべき言葉が出た。
「この奥に、パワーストーンがあるの?」
「コ~ン?」
私たちの質問に、マリリンが答える。
「ええ、ミイラを倒したことによって、この奥から強い力を感じるようになったの。今となってはどうでもいいけど、もしかしたらミイラとパワーストーンに何かつながりがあったのかもしれないわね。」
「ミイラ事件を解決したのはあなたたちだから、本来ならパワーストーンはあなたたちのもの。けど私はどうしてもそれが欲しいの。お金ならいくらでも出すわ。その代わりパワーストーンを譲って」
「お金って~どれくらいくれるのかな?」
カオリンが金額をマリリンに尋ねる。彼女はマリリンに全然怯えていないみたい。カオリンは怖いもの知らずだね。
「そうね。二人にそれぞれ1000コインずつ渡すわ。それでどうかしら」
「1000コインもくれるの? 1000コインもあれば10年は遊んで暮らせるね~どうしよっかな?」
カオリンが悩んでいる。私には1000コインの価値が良く分からないので、なんとも思えないな。
「うーん……やっぱり私はお金はいらないな~。代わりに何か面白いものを頂戴」
カオリンはお金にそこまで関心がないみたい。
「じゃあこのアイテムとかどうかしら?」
マリリンが変な装置を地面に設置した。そしてスイッチをオンにする。
「わぁああああああああああああああ」
「きゃああああああああああああああ」
スイッチを入れた後、周りにいた女性たちが、突然悲鳴を上げだした。一体どうしたんだろうと思っていると、私の体が、突然宙に浮きだしたのだ。
「ひゃぁあああああああああああああ」
周りには、私と同じように宙に浮いている女性たちが見える。
「うわあ! 宙に浮いちゃった。ぷかぷかして、面白い」
カオリンはなんだか楽しそう。
「コン、コ~ン♪」
スズネは至福の表情で、空中をクルクルと回転している。すっごく楽しそうでかわいい。しっぽがすごい勢いで揺れている。
「ランクBのレアアイテム、無重力装置。このダンジョンの10階で入手したものよ。スイッチを入れれば、周囲の重力が弱くなり、みんな宙にプカプカと浮かんでしまうわ」
マリリンは宙に浮かびながら、落ち着いてアイテムの説明をする。周囲の人たちを宙に浮かすことができるなんて、やばいアイテムだな。
「すごい面白いアイテムだね。けど、やっぱりいいや」
カオリンはアイテムを受け取らないみたい。
「どうしてかしら?」
「このアイテムはすごく面白いし、欲しいと思った。けど、こういったアイテムは自分の力で入手したい。そう思ったから」
カオリンは自分の力でレアアイテムを入手したいようだ。
「そう、ならいいわ」
マリリンは装置のスイッチを切り、みんな地面に足をついた。そして、私に問いかける。
「あなたは何が欲しいのかしら」
「私が欲しいのは…………パワーストーンだよ」




