お願い
「私の名はマリリン。ゴンドラ四天王の内の一人よ」
これがゴンドラ四天王、マリリンか……彼女の近くにいるだけで、呼吸が速くなる。近づかない方がいいと、私の本能が叫んでる。それほどまでの強さを彼女から感じ取れる。
「コ、コ~ン」
スズネの身体も小刻みに震えている。やっぱり怖いみたい。私の服の中へとスズネは入り込んでいく。
この嫌な感じ、ゴンドラ国王女オールと出会ったときに感じたものと少し似ている。だが、彼女よりもマリリンの方がいくらかマシに思える。
マリリンからは、恐ろしさのほかに、親しみやすさを感じ取れたのだ。意外と彼女とは仲良くなれる、そんな気もした。
「な、何をしに来たの、マ、マリリン」
緊張感により、言葉が思うように出せない。対話値が低いと、こういう場面で上手くしゃべれなくなっちゃうのか。いつの間にか私の腕にやって来たスズネを撫でて、気持ちを落ち着かせる。やっぱりスズネの毛並みは最高!
「コ~ン」
「まあまあ。そんなに焦っても何もいいことはないわ。まずは女の子たちを助けましょう」
長くて青い髪の毛を手でかき分けながら、落ち着いた表情でミイラ少女のもとへと進むマリリン。
「エイっと」
何とマリリンは、手に持っていた杖を逆さにして、包帯を切り裂いたのだ。うそ、あんな武器で包帯を切りつけるなんて。でも、包帯を切り裂いたら……
シュッ
包帯がマリリンを包み込もうと襲い掛かる。ああ、マリリンの右腕が……ってええ!
ビシッ
マリリンは腕の力で包帯を粉砕する。
「マリリン、すごく強いね」
「コンコン」
私がスズネに話しかけていると、マリリンが無事に女の子を救出した。
「どうも、ありがとうございます。マリリンさん、それにこの場所を突き止めてくれて、さらに二体もミイラを倒してくれたクロメさん」
髪の長い、茶髪の女の子が私たちにお礼をする。私より年下の女の子だ。
「ミイラに取りつかれている間はどんな感じだったのかしら?」
マリリンが興味深そうに女の子に質問をする。
「ええっと。たしか、包帯に包まれたとき、最初は包帯によって無理やり体を動かされてるような感覚でした。私がいくら抵抗しても、逆らうことができなかったんです。抵抗することをあきらめた私は、ぐっすりと眠ってしまいました。
「目が覚めると、何故か帰らなきゃという気持ちがなくなってしまってたんです。どうやら、私の思考はミイラと一体化してしまったようでした。感覚でいうと一年間くらい私はその辺をうろうろしていました。ある少女の歌を聞いて、私は正気に戻ったのです」
「へ~そんなことがこのダンジョンで起きてたなんてね~」
マリリンは何かを考えているようだった。
「それじゃあみんなを助けるわ。あなたは、えっと……クロメっていうのね。手伝って」
「は、はい」
「コン」
こうして私たちは、少女たちを救いだしたのだった。
「いやぁ助かったよ、クロメ。どうもありがとう」
「はぁ。カオリンがぶじでよかったよ」
カオリンが私に抱き着いてくるくると回転する。カオリンって意外と力があるんだね。
「わあ! スズネが近い。すっごくかわいい! モフモフしているね」
「うん! 凄く可愛いんだよ。とってもふわふわ!」
「コ~ン♪」
「あれ? この人、もしかしてマリリン?」
カオリンがマリリンの方を見ながら疑問を抱く。
「ええ。私がマリリンよ。実はあなたたちにお願いがあるの」
「お願い?」
「この奥にあるパワーストーンを恵んでほしいの」
パワーストーンがこの奥に?




