仮想集団戦
「カオリンの歌ってすごいね。この歌があればお金稼ぎ放題だよ」
「いや~そんなにうまくはいかないんだよね。バンド用の力強い歌ならいくらでも歌えるんだけど、投げ銭をもらうような繊細な歌は、一度歌うと、もう一度歌うために長い時間が必要になるの」
どうやら簡単には金が稼げないみたい。地道に増やしていこう。
「ロナイト君も一緒に旅行こうよ」
カオリンがロナイトを旅に誘う。
「旅なんて僕にはちょっと荷が重いよ。ゴンドラや雪国以外の国に行くなんてとてもできない」
「そっか。残念。確かに危険だもんね」
こうして私とカオリンの旅が始まったのだ。
私たちは、娯楽の国の一つ目の町を西へと進んで行く。
家と店だらけの広場を抜けた先には、映画館、ショッピングコーナーなどの大きな建物がいっぱい見える。家や小さなお店も少し存在するが、広場にあったものとは違い、家は地味な色のものが多く、店は外観だけで中身を判断できるようになっている。
さっきの広場といいこの場所といい、この国はお洒落な場所が多いな。次の国に行ったらこの場所が恋しくなっちゃうかも。
次の国って確か、かなり危険な戦いの国だったよね。カオリンを死なさずに旅できるかな?
「この国を抜けたら戦いの国にたどり着くんだけど、カオリンは戦いの国でやっていける?」
私はカオリンに確認を取った。
「大丈夫!たぶん」
本人が大丈夫って言ってるんだからどうにかなるよね。たぶん。
「そういうクロメは大丈夫なの~? 戦いの国は危険だよ~」
「今の私の能力だと厳しいかも。何か策が必要だね」
戦いの国で、もしかしたら集団に襲われるかもしれない。私の武器、アイスソードでは大人数を倒せない。爆弾を使えば多数の人を爆破できるかもしれないが、近づかれたら使用できない。
体術を身につけるのはどうだろうか? 多くの敵を爆弾でやっつけた後、近づいてきた敵を体術で返り討ちにする。
でも、簡単に体術のスキルを取得できるのかな? 弓矢をいくら打っても弓矢のスキルは取得できなかったし。
仮に体術のスキル取得できたとして、敵を返り討ちにできるのか。筋力で私を上回るであろう敵に対して、スキルレベル1や2の体術で敵を倒せるとはあまり思えない。
じゃあ魔法ならどうか。範囲の広い魔法で、敵を殲滅。近づいてきた敵の攻撃を防御魔法で防ぎ、アイスソードで仕留める……体術よりよさそうだな。魔法にしよう。
「とりあえず防御魔法を覚えてみることにするよ」
「へぇ~防御魔法か。試しにやってみてよ」
防御魔法なら以前のような事故は起こらないだろう。よし、やってみるか。
「カオリン、念のため私から少し離れて」
「はいはーい」
心を落ち着かせて、魔法の準備をする。
「電気により作られし膜よ、私を守れ」
「シールドルーム!」
呪文を唱えた瞬間、私を中心としたドーム状の膜が出現した。電気を帯びた膜が私を守ってくれているようだ。
「すごいよクロメ。ちょっと触ってみてもいい?」
こんな危険なものを触らせるわけにはいかない
「だめ。危ない」
「少しだけならいいよね」
いつの間にか近づいていたカオリンが、膜にパンチをお見舞いする。
カオリンの手が膜に触れた瞬間、じりじりとした音が耳に響く。カオリンの手が、おかしな動きを取った後、カオリンの悲鳴が耳に響く。
「カオリンの腕が膜に触れた瞬間、魔法が解けちゃった。この魔法はまだ完成されてないみたい」
「どうすれば完成すると思う?」
カオリンが聞いてくる。魔法が消されたとき、この魔法を完成させる方法が思い浮かんでいた。
「強敵と戦う度に、この魔法は進化していくと思う」
「強敵ねぇ……あ、そうだ」
カオリンが何かをひらめいたようだ。
「ゴンドラ四天王を、つぶして回ろうよ」




