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百も承知



「やっほ~カオリンだよ~」


 後ろを振り向くと、にこにこ笑顔のカオリンさんが手を振っていた。



 カオリンさんは赤髪のツインテールで、後ろ髪が腰まで伸びている。Tシャツとゴスロリの中間のような、黒い服がとっても似合ってるね。大きく見開かれためはとても生き生きとしている。



「カオリンさん。どうしてこんなところに」


 ロナイトが質問する。



「う~んとねぇ、カフェで一休みしていこうと思ったら、ロナイト君たちがいたからさぁ。ちょっと寄ってこうかなってね。ロナイト君、もしかして女性恐怖症を克服したのかな?」」


「はい! こちらにいるクロメさんが手伝ってくれたんですよ」



「あなたクロメさんっていうのね。知っての通り私の名前はカオリン。みんなからはトラブルメーカーって言われてるけど、私はとっても元気なの!」



「カオリンさんはエネルギッシュだね。私の名前はクロメ。職人の国を目指して旅をしてるよ」


「旅か~すごいねぇ……って職人の国ぃ? どうしてあんなところに……」



「伝説の漆職人になるためだよ。漆っていうのはね…………」


 漆についてカオリンに説明する。





「何だか面白そう。ねぇ、私も旅について行っていいかな?」


「もちろん大歓迎だよ!でも大丈夫なの?」


「うん! 私の夢は世界中の面白いことを探すこと。そのためにいろいろな世界を回ってみたいの」



 きらきらとした笑顔で、カオリンが夢を語る。カオリンと一緒の旅は楽しそうだけれど、この旅は危険なんだよね。ちゃんと伝えなきゃ。



「カオリン、これから私は恐ろしい国を通っていくよ。常識の通じない人たちが、たくさんいるらしい。それでも私と一緒に行く?」


「危険なのは百も承知だよ。でも、面白いこと探しのためには旅は避けられないの! それに、私には秘密兵器があるからね」


「秘密兵器?」



 カオリンの秘密兵器ってなんだろう?





 突然カオリンが目と口を閉じ、胸に手を当てた。


 その瞬間、



 彼女の透き通るような、繊細さを持つ歌声が、周りを美しい夜空に変え、星を浮かべさせたのだ。


 そう錯覚してしまうほどに、彼女の歌は見事なものだった。



 口を閉じているのにどうやって歌っているのかな? 





「すげえぜ、あたり一面、真っ暗になったみたいだ」


「き、金星が見えるぜ」


「なんていう歌声だ。恐ろしいよ、彼女は」





 カフェの中は大騒ぎ。星を感じていたのは私だけじゃなかったんだ。



「お嬢ちゃん、いや、カオリンちゃん。こいつを受け取ってくれ」


「俺のコインも受け取ってくれ」


「はいよ、コインだ」



 カフェにいた人たちが、次々とコインをカオリンに渡していく。すごい、コインを52枚ももらってるよ。



「これが私の秘密兵器。風魔法で音を操って、私の歌を再現したの。これならお菓子になっても歌を歌えるわ」


「歌の聞こえるお菓子になるだけじゃないの?」


「私の歌には呪いを解く力があるわ。歌うことができれば元通りになれるの」






 カオリンの歌にそんな力があるなんて。



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