食事会
「カオリンさん! 僕はあなたの歌に救われました。生きる希望をもらいました。どうか、これを受け取ってください!」
ロナイトは、しっかりとカオリンの目を見ながら、彼女にプレゼントを渡すことに成功した。
「ロナイト君。女性恐怖症を克服できたんだね、おめでとう。プレゼント、大切にするね」
プレゼントはきちんとカオリンのもとへと渡っていく。よかった。うまく渡せて。プレゼントを渡したロナイトが、私のところにやってくる。
「やりましたぁ! うまく、渡せました。」
「やったじゃん。ちゃんと目見て話せてたよ。あ、でもこれでお別れになっちゃうのか。寂しくなっちゃうな」
「お別れの前に前行ったカフェでお話でもしませんか?」
「いいね。行こう」
カフェに向かう私たちを囲むのは、暖色の建物たち。明るい色の建物は、見ていると不思議な感覚になるが、楽しい気分にもなる。この国を出たらこの感覚を味わえなくなるのかな?
あ、あった。あそこのカフェだ。外観が黄色一色で眩しい。
「クロメさん。せっかくだから四人用のテーブルに座りませんか? 広いテーブルのほうが落ち着いてお話しできると思いますし。席はいっぱい余っていますし大丈夫だと思います」
「それいいね。じゃあ四人用のテーブルに行こう!」
私たちは四人用のテーブルに座り、二人で料理をつまみながらお話をする。
話によるとロナイトの夢は、偉い人になってゴンドラ国で多発している盗み行為をなくすことらしい。立派な夢だね。けど、かなり難しそう。偉い人になるだけで大変なのに国のルールを変えるのか。私にはとてもできないな。
私の夢を話してみると、ロナイトは驚いたようだった。この世界の人たちには、木の樹液を芸術作品に利用するという発想があまりないみたい。
「ロナイト、近くに行くと痒くなる木とか知らない?」
「痒くなる木、ですか。すみません僕は知りません。あ、でもゴンドラ国の西の方にある森には、変わった木が多いといううわさを聞いたことはありますね」
「西の方にある森?」
「ここから何個か街を通り越したところに、森があるんですよ。そこに変な木がいっぱいあるそうです」
西の方にある森か。少しづつ情報を集めていこう。
「ロナイトって召喚士だよね。私も召喚士なの。何か召喚できたりする?」
「まだ召喚したことはないですね。いつかは召喚したいと思ってるんですけどね」
召喚に何か道具が必要なのはプレイヤーだけじゃないのか。その道具っていったい何だろうな?
シノキはウサギのぬいぐるみで召喚できるみたいだし、よく分からないな。シノキが言うには、青い石が召喚のカギを握っているそうだけど……一体どういうことだろう。
「あ、さっきの人たちだ。一緒にお話ししましょうよ」
私の後ろで女性がこちらに話しかけてきた。あれ? この声は。
「カオリン、さん」
ロナイトは固まりながら彼女の名前を呼ぶ。




