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戦国時代に宇宙要塞でやって来ました。  作者: 横蛍・戦国要塞、10巻まで発売中です!
永禄三年(1557年)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

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第千八百四十六話・広がりつつある芽

戦国要塞、一巻から七巻まで発売中です。

七巻に関しては加筆修正をしており、女性陣の視点、土岐頼芸の最後、お市ちゃんの出番など書き下ろしの場面も随所にあります。

書籍版の書き下ろしなどは、今後webなどでの公開はありません。書籍としての付加価値は守ります。

web版と違い、一冊の本として読むことを意識した加筆修正になっており、購入をお願いできるものに仕上がっていると思います。

どうか、ご購入をお願い致します。


カクヨムにて現在『オリジナル版戦国時代に宇宙要塞でやって来ました。』と『改・戦国時代に宇宙要塞でやって来ました。』があります。

『オリジナル版』は、1881話まで、こちらより先行配信しております。

『改』は言葉、書き方、長期連載による齟齬などを微修正したものに、オマケ程度の加筆があるものです。

なお、『書籍版』の加筆修正とは別物であり、書籍版の内容とは違います。

そちらも、どうかどうか、よろしくお願いします。

Side:とある商人


 蟹江から船で桑名に来ると、少し寂しさが込み上げてくる。


 ひと月ほど滞在して、熱田と津島の祭りと花火を見た。他にも馴染みの商人に頼み込んでその間働かせてもらった。


 銭がないわけではない。尾張流とも称される商いを学ぶため。わしは久遠様が来る前から商いで尾張に来ることがあった故、学ぶことを許されたのだ。


 故郷では、尾張の商いがいかになっておるのかと首を傾げることが多かった。堺に品物を売れば、尾張との商いを禁じるなどという書状が届いたことが理由だ。


 因縁があり尾張が怒るのは分かる。されど、何故、我らの商いに口を出すのだと怒った者もおる。


 ただ、世話になっておる寺が真っ先に堺には売るなと言い出した。今思えば、斯波様、織田様、久遠様の力を理解しておったのだろう。


 尾張の商いは巧みだ。鉄砲と武具は北畠や六角など同盟相手くらいにしか売らず、金色酒はなかなか手に入らぬが、それでも絹織物など足りずに困っておると売ってくれる。


 今では、寺社でさえ尾張物がなくば困ると言われておるほど。


 最早、京の都や畿内に合わせておっても商いにならぬ。新しき商いを学ばねばならぬのだ。それもあって、尾張と縁があるわしが故郷から尾張に学びに来た。


「よい国でございましたな」


「ああ、そうだな」


 家人も同じように尾張を見ておった。


 尾張の商いは、我らとは根本が違う。寺社と座が商いを握ることもなく、誰ぞが利を独占しようとすることも、値を吊り上げようとすることも許しておらぬ。


 主な品は常に値が大きく変わらぬように心がけ、他国に高く売るより領内に遍く売ることを第一とする。


 配慮はするが、権威があっても自領の次。畿内の名立たる者らが騒ぐわけだ。


 されど、暮らすにはこれほどよい国はないかもしれぬ。


 わしは故郷に帰り、尾張の国を皆に伝えねばならぬ。この先、おかしなことをして堺のようになりたくはないからの。


 しばしの別れだ、尾張よ。また来年な。




Side:沢彦宗恩


「おしょうさま!」


 待ちきれんと言わんばかりの子らが走ってきた。熱田からほど近い浜にて水練の装束を身に纏った子らが並んで海に入る支度をする。


 体を動かし、海に入っても良いように支度をする。久遠家では『準備体操』というものだ。


 この日は久遠家と孤児と学校の学徒が、共に野営と海水浴をするために来ておる。久遠家では年に幾度か海に来るが、これはそのひとつになる。


 海水浴とは海で生きる久遠の風習であり、今では尾張でも同じくする者が多い。


「沖に出ては駄目よ~」


 支度が整うと海に掛けていく皆に、天竺殿が声を掛けておる。子らも分かっておるであろうが、それでも待ちきれぬといったところか。


 ふと見渡せば、内匠頭殿はまだ海に入れぬ子らと浜で遊んでおられる。


 権威ある者の相手を心底好まず、幼子や身寄りのない子の相手をしておるほうが楽しげな御仁だ。危ういと今でも思う。


 かつて織田の大うつけ殿と蔑まれた若殿もまた、周囲の者が願うままの在り方でおることを拒み、己の意思で生きておられた。ただ、若殿はそれでも性根が真っすぐなこともあり、権威ある者には敬意を常に払っておられた。


 されど、内匠頭殿は信義を重んじず己が為に世を乱す権威や身分ある者には、驚くほど冷たい。愚か者を始末すれば国が安寧となるならば、遠慮せぬくらいにはな。


 誰のための国で、誰のための太平の世か。その問いを尾張に住まう皆に問い掛けたのが内匠頭なのだ。


「おしょうさま! おしょうさま!」


「おしょうさま! ほら! いっぱい!!」


 しばし海を眺めておると、幼子らが海や浜から拾った貝を見せに来てくれた。


 学校でも使う白墨の材料がこれになる。幼子らはこれを集めると天竺殿や内匠頭殿が喜ぶと思い、海に来ると皆で集めるのだ。


「ほう、良く集めたの」


「はい!」


 子らはまだまだ止まらぬ、ある者は昼餉の支度をしている大智殿らの下に手伝いに行くと駆けていき、ある者は泳ぎを習うと海に駆けていく。


 久遠家の子を育てる極意であろうな。子に自らなにをするか選ばせるのだ。その才が見事に開花した者も相応におる。


 人を教え導くのも悪うない。されど、拙僧も今日くらいはゆるりと休み、海を眺めるか。


 この海の先に広がる、果てしない世を見つつな。




Side:久遠一馬


 ウチの女性陣は、年齢の変化や出産を経験してもスタイルがほとんど変わらないなぁ。最年長であるかおりさんとかもそれは同じだ。


 歳を重ねるのはいいことばかりじゃない。老いもまたある。もっともウチはアンチエイジングもしているので、他の人よりは若く見えるけど。


「ちーち、ちーち」


 おっと、かおりさんの産んだ武昌丸。歩くのが安定してきたなぁ。砂浜だから少し危なっかしいけど。


「歩くの上手になったな」


「うん!」


「ちーち!」


 武昌丸を受け止めて抱きかかえてやると、お清ちゃんが産んだ武護丸が自分も抱っこしてほしいとよちよちと歩いてくる。


 この歳の頃は本当に元気いっぱいで甘えん坊だ。


 ただ、大武丸、希美、あきら、武典丸なんかは、下の子たちと一緒に遊んだり面倒を見たりしてくれるようになった。


 周りの大人や孤児院の子供たちを見て、自発的に学んで成長しているんだ。


 とはいえヤンチャな子もいるから目が離せないけどね。


 特にウチは家臣とか忍び衆の子もいる。こういう行事では、保育士さんの苦労が一部でも理解出来るくらいに子供たちが集まるから大変だ。


「ああ、あかんえ。そっちに行ったらあかん」


 ふふふ、普段あまり子供たちと一緒にいない鏡花は大人気だ。子供たちに囲まれて振り回されている。


 そんな鏡花だけど、実は妊娠した。今は十週くらいで、頃合いをみて公表するつもりだ。


 ただ、鏡花の場合は産休に入ると造船に影響が出ることから、その調整を密かに行なっている。船大工である善三さん以下、すでに織田の造船は一大産業に成長した。


 とはいえ、恵比寿船の建造を差配出来るレベルになるとまだまだ船大工が足りないからなぁ。


「とのさま?」


「うん、なんでもないよ。みんなを見ていると嬉しくなってね」


 ちょっと仕事のことを考えていると、孤児院の子に心配そうに声を掛けられた。駄目だなぁ。子供たちに心配をかけるなんて。


 よし、今日はとことん遊んでやろう!




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書籍版戦国時代に宇宙要塞でやって来ました。

第十巻まで発売中です。

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