狗神9
公園で僕と清美さんはベンチに腰掛け…
たわいも無い会話をしていた。
決して弾んだ会話とは言えないが
彼女の澄んだ声と、透き通る様に白い肌に見とれながら会話は進む。
足元では…
プレスが二人の間で跳び跳ね、元気を持て余し気味にはしゃいでいる。
そのプレスが急に身を低く構え…
唸り声を響かせた。
公園の入り口に
この間、僕に石をぶつけた青年が立っていた。
彼は、明らかに敵意のある表情でこちらへユックリと歩んでくる。
僕らとの距離が近付くにつれ…
プレスが歯を剥き出し威嚇する様に吠え始めた。
その男は
プレスのリードがベンチの足に確りと結わえてあるのを確かめる様に覗き込み
確りと僕らを嘲る様に口角を上げ…
口を開いた。
「よぉ…狗神使い!
早速清美と仲良しになったのか?
清美!!お前もその狗神使いとなら、
お似合いだぜ!」
僕は、
「あんた…僕を貶めようと、それは構わない。
だがな!
女性を貶めようとするのは大の男として
恥ずかしい事だぞ」
「ふん…お似合いだからお似合いだと言ったまでだ」
「アンタ!うちの一族だと言ったな?」
「ほう?狗神使い!
今度は本家風でも吹かそうと言うのか?
お前の親父が他所の女に産ませた鬼子の癖に…」
「啓一さん!やめて!!」
今にも消え入りそうな声で清美は啓一を制した。
啓一は更なる侮蔑の表情を浮かべ…
「人殺しの妹と人を呪い殺す狗神使いの取り合わせの何処をどう取ったら
貶める言葉になるんだ!!
教えて欲しいもんた!!」
えっ?人殺しの妹?
清美さんの兄弟の誰かが
殺人を犯したのか?
咄嗟に清美さんを見ると
じっと足元に目を落とし
俯いている。
僕は啓一を睨み付け
「いい加減にしろよ!」と
威嚇した。
「やんのか?鬼子!!」
「遣ってやっても構わないぞ!!
お前…俺の旧姓を知ってるのか?
暴力は呪術より得意だぞ!!」
啓一はその言葉に後退りし
「お似合いの二人でせいぜい仲良くやんな。」と捨て台詞にもならない言葉を残し、公園を出ていった。
「母と浩子さんは昔からの知り合いで…
住むところを無くした母と私を住まわせてくれるだけでなく。
何かと気にかけていただき感謝しています。」
項垂れたまま
事情を話す清美に僕は掛ける言葉が見当たらず
同じ様に項垂れていた。
次回もお楽しみに




