19/22
狗神19
少女は忠太郎が如何なる決心をし…
実行したのか?
遠い昔を思い返す様な表情で語り始めた。
「忠太郎には二人の子供がおった。
一人はオレ…初と言う
もう一人は二つ違いの弟
多吉だ…
父、忠太郎はオレを呼び
納屋へ連れて行き
柱に縛った。
縛られたのはオレだけ…
多吉は自分も縛られるのでは無いかと怯えて納屋には近づかなんだ。
オレは…
事態の呑み込めぬままに捨て置かれ
たまに…忠太郎が水をほんの少し飲ませてくれるだけだった。」
僕は、合点の行かない忠太郎の行動に少女初はさぞ…怒りを覚えたのでは無いかと推測した。
「それでのう…透よ…
オレは何日も僅かな水だけを与えられ柱に縛り付けられたまま
次第に父忠太郎への怨みが募って行った。
その時のオレは只の獣に成り下がり
言葉すら忘れて吠えるのみであった。
すると忠太郎はオレの前に一枚の半紙を置いた。
その半紙には
海野播磨と書いてあった。
それこそが…
野村大学の地位を脅かす
我が父…
忠太郎が呪詛せねばならぬ男の名前であった。
次回もお楽しみに。




