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狗神12
どんな状況であろうとも、女の人の涙にはドキリとしてしまう。
一筋ハラリと流れた涙を拭いもせずに
「あの女はうちの拓美をたらしこみ、何食わぬ顔で幸せそうに暮らしているのです。
死んでしまえば良いのに…とも思いましたが
あのメス豚に怨みの矛先を向けて
私に因果が帰ってきては…拓美が戻ってくる場所が無くなります。
ですから…
ここは…呪いのプロに、お願いしようかと…
「清水さん…」
「はい…」
「それれでは、その、福島陽子さんへ
狗神を飛ばしますが?
お覚悟は宜しいでしょうか?」
「覚悟とは?
やはり因果が私に報いるのでしょうか?」
「そう言う訳ではありません。
貴女に促す覚悟とは
その福島陽子さんが破滅を迎える事についてです。」
「あんな…あんな…
メス豚に掛ける情けなどありません!!」
その時の清水靖子さんの
表情は
まるで能の般若の面を思わせる程に
鬼の表情をしていた。
この表情を認めた辺りから彼女の背後に妖しい光が吹き出している事に気がついた。




