Steam City ― The Morning After the War ― 「Steam City ― 戦いの後の朝 ―」
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Steam City ― The Morning After the War ―
「Steam City ― 戦いの後の朝 ―」
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朝――。
豊後国・別府。
吉祥寺。
医療棟。
窓から柔らかな朝日が差し込む。
鳥のさえずり。
遠くから聞こえる蒸気機関車の汽笛。
ボォーーーッ……。
ビリー・ザ・キッドはゆっくりと右胸の包帯に触れる。
「……痛ぇ。」
そこへ同室の炉・ア・ガーラ・デ・フェーロが話しかける。
笑顔だった。
「朝飯だ。」
ビリーは苦笑する。
「病院の飯か……。」
ガーラは肩をすくめた。
「そうだ…」
「みんな待ってる…」
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吉祥寺 食堂
大きな木造の食堂。
朝日が障子から差し込み、
木の香りが漂う。
長い机。
そこには全員が揃っていた。
ビリーは足を止める。
「…………。」
一番奥。
新聞のような蒸気印刷物を読みながら、
パイプをくわえる男。
影丸・インフェルノ。
右腕には包帯。
だが普通に動いている。
(……腕が……繋がってる?)
インフェルノは新聞から目を離さず言う。
「おはよう。」
「よく眠れたか?」
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隣では、
豪快に笑う大男。
鉄馬・フォイセ・ブーメランギ。
左腕には包帯が巻かれている。
しかし、
ちゃんと左手で湯飲みを持っている。
「おう!」
「目が覚めたか!」
「金髪のプリンス!」
ビリーの目が丸くなる。
(左腕……斬れたよな……。)
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その隣。
白い病衣姿。
珠・ア・プラーガ・ヴェルメーリャ。
右胸には包帯。
それでも笑顔は変わらない。
「おはようございます。」
「体調はいかがですか?」
その優しい笑顔に、
ビリーも思わず笑ってしまう。
「うーん……悪くねぇ…」
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ガーラが椅子を引く。
「ここ。」
ビリーは座る。
ガーラとプラーガの間。
ふと視線を向ける。
……え?
……デカい。
そこにいたのは、
巨大な身体を小さくして座る男。
影丸・フランケンシュタイン・Jr.
肩をすぼめ、
申し訳なさそうな顔で座っていた。
「…………。」
ビリーは固まる。
(フランケンシュタイン!?)
(大きすぎて…インフェルノの横にいたので気付かなかった……。)
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「いただきます。」
全員が手を合わせる。
朝食が始まる。
焼き魚。
味噌汁。
白米。
卵焼き。
漬物。
湯豆腐。
湯気が立ち上る。
食欲をそそる香り。
しかし、
ビリーの前だけ。
小さな茶碗。
おもゆ。
ビリーは不満そうに見る。
「おい。」
「やっぱり捕虜だから粥か。」
ガーラは呆れた。
「違う…」
「七日も昏睡してた奴がいきなり飯食ったら身体がびっくりする…」
「最悪、命に関わる…」
「知らないのか?」
ビリーは黙る。
「……知らねぇ。」
プラーガが笑う。
「明日から少しずつ増えますよ。」
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食事が進む。
鉄馬・フォイセ・ブーメランギが箸を伸ばす。
「ビリー。」
「キュウリの漬物取って。」
ビリーは赤い梅干しを取る。
鉄馬・フォイセ・ブーメランギ
「それは梅干し。」
「あ、その緑。」
「キュウリ。」
「ああ、それだ。」
「ありがとう。」
笑いが起きる。
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その横で、
フランケンが夢中で食べていた。
「おいしいね。」
「ダディ。」
笑顔。
インフェルノも笑う。
「よく噛んで食べなさい。」
「ゆっくりな。」
「はい!」
元気よく返事をするフランケン。
プラーガも微笑む。
「Jrさんは本当に何でも美味しそうに食べますね。」
「見てるだけでお腹が空きます。」
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ビリーは箸を止めた。
何度見ても理解できない。
目の前にいるのは、
命を懸けて殺し合った相手。
フランケンも。
鉄馬・フォイセ・ブーメランギも。
ガーラも。
皆、
笑って朝飯を食べている。
そして、
死ぬはずだった自分も生きている。
ビリーは耐え切れず口を開いた。
「なあ……。」
全員が顔を上げる。
「何で腕が繋がってる?」
「ガーラも俺も胸を貫かれた。」
「鉄馬の腕は切り落とされた。」
「インフェルノの腕も食いちぎられた。」
「フランケンだって……。」
「俺達……。」
「死んでるはずだろ?」
食堂が静かになる。
フランケンも箸を止めた。
ビリーはさらに首を振る。
「それに……。」
「フランケン。」
「お前……。」
「飯食うのか?」
「死闘した相手と同じ食卓で……。」
「俺には何が何だか分からねぇ……。」
影丸・インフェルノは新聞を静かに畳み、
パイプを机に置いた。
眼鏡を指で押し上げる。
少し考えたあと、
穏やかに笑う。
「うーん……。」
「それは、少し長い話になるな…」
食堂のみんなが静かに耳を傾けた。
――次の瞬間、影丸・インフェルノは、自らが目指した「科学」と「命」の物語を語り始めようとしていた。
――つづく。
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