Steam City: Awakening in the Land of Steam ― スチーム・シティ ― 目覚めたガンマン ―
「いつも応援ありがとうございます!よりクオリティの高い物語をお届けするため、今後の更新ペースを【毎週 月・木・土の0:00】に変更させていただきます。引き続き、大友忍軍とスチームパンクな忍者の旅をお楽しみください!」
Xで毎日イラストを投稿しています。
幕末!忍者スチーム・ワールドの世界!
蒸気機関戦闘忍者飛行船!
サイレントサンダー震電丸!
震電丸の五影!
ビリー・ザ・キッド!
大友忍者!
https://x.com/sa104095
是非!
ご覧下さい!
Steam City: Awakening in the Land of Steam
― スチーム・シティ ― 目覚めたガンマン ―
豊後国・別府――吉祥寺。
寺院であり、要塞であり、研究施設であり、病院でもある巨大建造物。
その静かな病室で、一人の男が長い夢を見ていた。
---
ビリー・ザ・キッド。
アメリカ西部。
乾いた大地。
若き日の仲間たち。
笑い合いながら馬を走らせた日々。
銀行強盗。
列車強盗。
保安官との銃撃戦。
二丁のリボルバーが火を吹き、
何度も死線を越えた。
仲間は笑った。
そして――
一人、また一人と倒れていった。
血だまり。
夕日に染まる荒野。
「ビリー……逃げろ……」
その声だけが耳に残る。
---
やがて捕らえられた。
縛り首を待つ牢獄。
しかし、ある条件が提示された。
「ジャパンへ向かう黒船の警備兵となれ。」
「従えば命は助けてやる。」
ビリーは迷わず承諾した。
生きるためだった。
---
黒船は東へ向かう。
朝鮮。
港には藁葺き屋根が並び、多くの民は貧しく暮らしていた。
さらに南へ。
清国。
広大な大地。
槍や刀を持つ兵士たち。
イギリスの植民地…西洋列強の影が各地に落ち、港にはイギリスや欧州諸国の蒸気船が停泊している。
一方、中国側の船の多くは帆船だった。
さらに航海は続く。
フィリピン。
インドネシア。
植民地支配の中で暮らす貧しい人々…
そして――
ジャパン。
最初に驚いた。
町が綺麗だった。
道にゴミが落ちていない。
町人たちは身なりを整え、
衣服も清潔だった。
湯に浸かる文化。
笑顔で働く人々。
活気ある市場。
京都。
江戸。
どの町にも秩序があった。
艦長たちは笑って言っていた。
「ジャップは猿より少し賢い程度だ。」
ビリーは、その言葉を信じていた。
しかし――。
違った。
ニンジャ…
蒸気を噴射して空を飛ぶ。
スチーム・ジャンパー。
想像もできない忍術。
USSポーハタン。
USSサスケハナ。
命を賭けた空中戦闘…
そして最後に浮かぶ光景…
---
炉・ア・ガーラ・デ・フェーロ…
敵だったニンジャ…
右胸に我がスチーム・リボルバー弾丸が貫通したまま…
サスケハナから放たれた砲撃を…
自らのスリケンでインターセプトした…
その姿…
そして――
空から飛来した一隻の飛行船。
サイレントサンダー震電丸・空中強襲仕様。
そこから先は覚えていない。
(……俺も……ガーラも……。)
(みんな……死んだだろう……。)
---
ゆっくりと瞼が開く。
木の天井。
木の梁。
木の香り。
(……生きてる。)
身体を起こそうとした瞬間、
右胸に激痛が走る。
「ぐっ……!」
ゆっくりと身体を起こす。
すると隣のベッドから声がした。
「目が覚めたか…」
白い病衣を着た青年。
リンゴをかじりながらこちらを見ている。
「七日間、昏睡状態だったんだよ…」
「まあ……ジャガス様の血で治療したんだ。目は覚めると思ってたけどな…」
ビリーはゆっくり尋ねる。
「ここは……?」
「俺は……生きてるのか?」
青年は笑った。
「生きてる…」
「ここは豊後国・別府・吉祥寺。」
「まだ治療は必要だけどな…」
青年が鈴を鳴らす。
しばらくして医療術師たちと、一人の女性が病室へ入ってきた。
聖痕のジャガス鬼姫。
黒く長い髪。
深紅の瞳。
紅の着物と袴。
気品と優しさを併せ持つ女性だった。
「お目覚めですね。」
「顔色も良くなりました。」
「しばらくは治療に専念してください。」
ビリー・ザ・キッドの胸の包帯をほどき患部を処置する。
スチーム十字手裏剣の傷穴が塞がりかけている…
医療術師へ的確に指示を出し、
看護師にも細かく説明していく。
その姿は戦場の忍者ではなく、
名医そのものだった。
立ち去ろうとする背中へ、
ビリーは思わず声を掛ける。
「待ってくれ……。」
「俺は……敵だぞ?」
ジャガスは振り返り、
優しく微笑んだ。
「あなたは私たちを助けてくださいました。」
「命の恩人です。」
「敵ではありません。」
少し間を置いて続ける。
「それに……。」
「アメリカ艦隊は、あなたを裏切り者として処刑しようとしました。」
「こちらで、安心して療養してください…」
その笑顔に、
ビリーは言葉を失う。
(この人が……。)
(ニンジャたちの女王なのか。)
ジャガスは出口で振り返った。
「分からないことがあれば。」
「あちらの炉・ア・ガーラ・デ・フェーロに聞いてください。」
静かに退室した。
ビリーは驚く。
「……え?」
「ガーラ?」
リンゴを食べている青年を見る。
(戦場じゃ鎧兜で顔なんか見えなかった……。)
(もっと大男だと思ってた。)
(もっと年配かと……。)
目の前には、
整った顔立ちの若い青年。
アーモンド状の大きな瞳。
穏やかな笑顔。
「……お前がガーラ?」
青年は笑った。
「改めてよろしくな…ビリー・ザ・キッド…」
そう言って窓際へ歩く。
「こっちへ来い。」
ビリーもゆっくり歩く。
窓から見えた景色に、
思わず息を呑んだ。
眼下には、
別府の町。
立ち上る温泉の湯けむり。
煙突から白煙を噴き上げる巨大蒸気機関。
港を走る蒸気船。
空には木造飛行船。
整然と並ぶ街並み。
蒸気と温泉が共存する都市。
「……。」
「凄ぇ……。」
「アジアに……こんな町が……。」
瞳が少年のように輝く。
ガーラが笑う。
「歩けるようになったら案内してやる。」
「楽しい町だぞ。」
ビリーは思わず笑った。
「楽しみになってきた。」
その時――
コンコン。
病室の扉がノックされた。
「どうぞ。」
ガーラが声を掛ける。
扉が静かに開く。
入ってきたのは、
白い病衣を着た、小柄で華奢な少女。
大きな瞳。
小さな顔。
どこか見覚えがある。
少女は深く頭を下げた。
「ビリー・ザ・キッドさん…」
「珠・ア・プラーガ・ヴェルメーリャと申します…」
「助けていただき……本当にありがとうございました…」
その瞬間!
ビリーは思い出した!
(あの時の少女だ……!)
泣きながら!
アルジャーノンに犯されて!
小さな乳房を食われていた少女!
ビリーは優しく尋ねる…
「……君こそ…大丈夫なのか?」
プラーガは小さく微笑む。
「はい…。」
「私は大丈夫です!」
「また……来ますね!」
もう一度頭を下げ、
静かに病室を後にした。
扉が閉まる。
ビリーはしばらく扉を見つめたまま動かなかった。
(もっと……話したかったな。)
胸の奥が、
少しだけ温かくなる。
その横で、
ガーラはリンゴをかじりながらニヤリと笑った。
「……ふーん。」
「目が覚めた初日から…その顔か…」
「どんな…顔だよ…。」
ビリーは照れ隠しに咳払いをする。
窓の外では、温泉の湯けむりが朝日に照らされ、スチーム・シティ別府が静かに息づいていた。
――続く。
読んでくださり、ありがとうございます。
ブックマーク・いいね・評価、励みになっております。
悪い評価⭐︎であっても正直に感じた気持ちを残していただけると、
今後の作品作りの参考になりますので、よろしくお願いいたします。




