Steam City ―蒸気都市・豊後―
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Steam City
―蒸気都市・豊後―
夜が明ける。
東の空が群青から黄金色へと変わり始める。
戦いの煙が漂う空にも、静かな朝日が差し込んでいた。
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シャドウ・ホーク闇鷹
巨大飛行母艦はゆっくりと豊後国へ針路を取る。
甲板では整備忍者たちが徹夜で修復作業を続けていた。
穴だらけになった九機のスチーム・ファイター。
バルーン部には無数の弾痕。
機銃痕。
爆風で歪んだ装甲。
整備忍者が翼を撫でる。
「……これだけ撃たれて。」
「よく帰ってきたな。」
別の整備忍者が蒸気圧力計を見る。
「普通なら空中分解してる。」
「やっぱりインフェルノ博士のスチーム・コアだ。」
「高濃度スチーム・ガスの浮力が、最後まで機体を支えてくれた。」
蒸気が吹き上がる。
プシューーーッ!
巨大レンチを握る整備忍者が笑う。
「まだ飛べる。」
「必ず飛べるようにしてやる。」
その言葉に、整備士達は力強く頷いた。
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サイレントサンダー震電丸・空中強襲仕様
一人乗りの操縦席。
夜叉丸・デスペラードは静かに操縦桿を握る。
「……やっと帰れるな。」
「…なんとか今回も…生き残れた。」
スチーム・モニター。
《自動操縦 作動中》
蒸気機関が規則正しく鼓動する。
ゴウン……
ゴウン……
夜叉丸は長州の方向を一度振り返り、小さく笑った。
「あと少しだ。」
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豊後国へ向かう空
朝日が飛行船を黄金色に染める。
その姿はまるで希望を乗せて飛ぶ巨大な蒸気の鳥だった。
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一方――
小倉湾。
長州艦隊。
軍艦「ワイル・ウエフ号」。
坂本龍馬は朝日を見つめながら大きく笑った。
「以蔵!」
「勝ったぜよ!」
「空からの戦で幕府軍に勝ったぜよ!」
カルヴァ(岡田以蔵)も海から昇る太陽を見上げる。
「まっこと撃ち落としたぜよ!」
「メリケンの飛行船を!」
少し考え込み、首をかしげる。
「しかし……」
「どういて空を飛べるがじゃ?」
龍馬も腕を組む。
「うーん……。」
「あん……飛行船ちゅうもんは、軽い空気を入れると浮くらしいがじゃ。」
「しかし、あれは違う。」
「あんな巨大な戦艦が飛ぶとは思えん。」
以蔵。
「その軽い空気は、どこで作るがじゃ?」
龍馬は苦笑した。
「わからん…」
「しかし、まっこと凄いぜよ。」
しばらく空を見つめる。
そして力強く言った。
「この力を使わん手はないぜよ!」
「幕府にはこう伝える!」
「長州には、メリケンの飛行船を撃ち落とした大友忍軍の飛行船がおる、と!」
以蔵が笑う。
「槍も鉄砲も届かん空から攻められたら……。」
龍馬。
「幕府も無血開城するしかないぜよ!」
二人は朝日に照らされながら笑った。
新しい時代の風を感じていた。
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高杉晋作
別の軍艦。
高杉晋作は静かに朝焼けを見つめていた。
「……勝った。」
「空で勝った。」
咳き込む。
ハンカチに赤い血が滲む。
高杉は静かに握り締めた。
「俺の命は……長くない。」
医師から告げられた現実。
残された時間。
しかし、一つだけ希望があった。
「豊後国……別府。」
「聖痕のジャガス鬼姫。」
「あの治療なら……。」
小さく笑う。
「まだ死ねんな。」
「桂に相談しよう。」
「この国の未来は……桂小五郎に託す。」
朝日が高杉の横顔を照らす。
その瞳には迷いはなかった。
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遠く豊後国
朝日に包まれた蒸気都市。
無数の煙突から白い蒸気が立ち昇る。
巨大な飛行船ドック。
蒸気機関工場。
整備工廠。
忍者研究所。
そして、命を救う医療施設。
日本最大のスチーム・シティ――豊後国・別府。
傷ついた英雄達を迎える準備は、すでに始まっていた。
――新章「スチーム・シティ」開幕。
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