第九話 ― 血煙の料亭 ―
戦国最強の忍、幕末に舞う〜坂本龍馬を救ったのは、歴史から消された「大友宗麟の忍者」」だった〜
第九話 ― 血煙の料亭 ―
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第一章|束の間の宴
江戸・料亭。
灯りは柔らかく、三味線の音が静かに流れる。
座敷の中央――
勝海舟が盃を傾ける。
向かいには――
腕を組み、周囲を睨む男。
岡田以蔵。
勝が笑う。
> 「岡田くん。そーギラギラしなさんな」
以蔵は視線を動かさず答える。
> 「龍馬から勝先生を守れち言われたがき」
> 「いつ刺客が来るかもしれんけんの」
勝は豪快に笑う。
> 「そんときゃ、それまでよ!」
盃を掲げる。
> 「さあ!飲も!」
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第二章|人斬りの過去
酒が進む。
空気が少し緩む。
以蔵がぽつりと言う。
> 「わしゃ……人斬り以蔵ち言われちょる」
勝が興味深そうに見る。
> 「ほう、聞かせてくれ」
以蔵はゆっくり語り出す。
> 「京でな……尊王攘夷の敵を斬った」
> 「夜道で呼び止めて、一太刀」
> 「逃げる暇もない」
静かな声。
だが重い。
> 「相手は剣を抜くこともできん」
> 「それでも……斬った」
勝は黙って聞く。
> 「何人か?」
以蔵は少し間を置く。
> 「数えちょらん」
> 「ただ……斬った」
酒をあおる。
> 「それが役目やったき」
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第三章|異変
その時――
ピタリ。
音が消えた。
三味線が止まる。
風もない。
以蔵の目が変わる。
> 「……来た」
次の瞬間――
ズバァッ!!
襖ごと斬り裂く。
血飛沫。
隠れていた刺客が崩れ落ちる。
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第四章|包囲
周囲の襖が一斉に開く。
バンッ!!
現れる影――九人。
覆面。
刀。
一斉に抜刀。
勝が盃を止める。
以蔵がゆっくり立つ。
> 「わしゃ人斬り以蔵じゃ」
刺客たちの動きが一瞬止まる。
その脳裏に浮かぶ声――
武市半平太。
> 「四方から一斉に斬れ」
> 「裏切り者はこうなると見せつけろ」
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第五章|殺到
次の瞬間。
四方から同時に動く。
一方向から二人。
中段の横斬り。
下段の突き。
別方向からも同時。
死角。
完全な包囲。
> 「……!」
以蔵、動けない。
避けきれない。
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第六章|轟音
その瞬間――
ドンッ!!
ドドドドンッ!!
室内に轟く爆音。
火薬の匂い。
四人の刺客が倒れる。
動かない。
頭を撃ち抜かれていた。
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第七章|朧
窓。
木枠にしゃがむ影。
両手に拳銃。
煙を上げる銃口。
くノ一――朧。
> 「岡田以蔵!」
その声で――
以蔵の目に火が灯る。
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第八章|覚醒
踏み込む。
一瞬。
視界が消える。
次の瞬間――
ズバァァッ!!
二人まとめて斬り裂く。
一太刀。
体が分かれる。
血が舞う。
> 「……これが」
> 「人斬りじゃ」
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第九章|嵐
以蔵が動く。
速い。
いや――速すぎる。
一人。
二人。
三人。
斬る。
斬る。
斬る。
狭い室内。
逃げ場なし。
> 「ぐあっ!」
> 「な、何だこいつは!」
恐怖が広がる。
刀を振るう暇もない。
斬撃だけが通る。
まるで――
竜巻。
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第十章|終焉
最後の一人。
震える手。
> 「た、武市先生が……」
言い終わる前に――
一閃。
静寂。
血が滴る音だけが残る。
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第十一章|静寂の後
以蔵は立っていた。
息は乱れていない。
ただ静かに刀を払う。
勝がゆっくり盃を置く。
> 「……大したもんだ」
朧が降りてくる。
> 「遅れたら死んでたわよ」
以蔵は短く答える。
> 「助かった」
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終章|迫る影
遠く――
江戸の闇。
武市が静かに目を閉じる。
> 「……そうか」
その顔に感情はない。
だが。
次の一手を考えていた。




