第七話 ― 剣を捨てた男 ―
戦国最強の忍、幕末に舞う〜坂本龍馬を救ったのは、歴史から消された「大友宗麟の忍者」」だった〜
第七話 ― 剣を捨てた男 ―
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第一章|訪問者
江戸・屋敷。
朝の静けさ。
障子の外に、気配が一つ。
スッ……
音もなく現れる影。
岡田以蔵。
中では――
坂本龍馬と
勝海舟が向き合っていた。
龍馬が、ふと顔を上げる。
> 「……来たか」
障子が開く。
以蔵が立っていた。
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第二章|宣言
部屋に入るなり、以蔵が言う。
> 「勝海舟を殺しに来た」
空気が止まる。
だが――
勝は微動だにしない。
> 「ほう」
龍馬は静かに立ち上がる。
> 「以蔵……やめちょけ」
以蔵の目は揺れない。
> 「これは命令だ」
龍馬が一歩前に出る。
> 「おまんは、誰のために剣を振るうちゅうがじゃ」
沈黙。
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第三章|龍馬の言葉
龍馬の声は、強くも静かだった。
> 「斬って何が残る」
以蔵の眉がわずかに動く。
> 「敵は減る」
龍馬は首を振る。
> 「違う」
一歩、近づく。
> 「国は変わらん」
部屋の空気が重くなる。
> 「勝先生は、斬る相手じゃない」
以蔵が低く返す。
> 「なら何だ」
龍馬は即答する。
> 「日本を動かす人間じゃ」
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第四章|昨夜の影
沈黙の中。
以蔵がゆっくり口を開く。
> 「……昨日」
勝が目を細める。
> 「何かあったか」
以蔵の視線がわずかに下がる。
> 「忍びがいた」
龍馬が反応する。
> 「忍び……?」
以蔵の声が変わる。
> 「鎖鎌を使う男だ」
空気が一変する。
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第五章|恐怖
以蔵が続ける。
> 「あの剣は通じなかった」
龍馬の目が見開く。
> 「おまんの剣が……?」
> 「弾かれた」
短く。
> 「すべてだ」
勝が興味深そうに身を乗り出す。
> 「ほう……」
以蔵の拳がわずかに震える。
> 「鎖が……曲がる」
> 「追ってくる」
> 「絡む」
一瞬、言葉が止まる。
> 「……動きを止められた」
龍馬が息を呑む。
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第六章|敗北
以蔵が静かに言う。
> 「負けた」
沈黙。
あの岡田以蔵が。
勝が小さく笑う。
> 「それは面白い」
龍馬は真剣な顔で問う。
> 「それで……どうしたがじゃ」
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第七章|約束
以蔵はゆっくり顔を上げる。
> 「約束した」
> 「負けたら――」
一拍。
> 「守れ、と」
龍馬が目を細める。
> 「誰を」
> 「お前と……」
視線が勝へ向く。
> 「勝海舟を」
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第八章|決断
部屋の空気が変わる。
龍馬が、静かに笑う。
> 「ほうか……」
> 「やっと気づいたか」
以蔵がわずかに眉をひそめる。
> 「何がだ」
龍馬はまっすぐ言う。
> 「おまんは、斬るための男じゃない」
沈黙。
> 「守るためにおる」
以蔵の目が揺れる。
初めてだった。
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第九章|受け入れ
勝がゆっくり立ち上がる。
> 「いいだろう」
龍馬が振り返る。
> 「先生……」
勝は以蔵を見る。
> 「お前のような剣は、使い道がある」
静かに言う。
> 「守ってみろ」
以蔵は黙って頷いた。
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終章|新たな役割
屋敷の外。
風が吹く。
そこに立つ以蔵。
刀はある。
だが――
もう違う。
> 「……守る」
その言葉は小さく。
だが確かだった。
遠く。
屋根の上。
鎖が、わずかに揺れた。




