第六話 ― 江戸、剣を止める鎖 ―
戦国最強の忍、幕末に舞う〜坂本龍馬を救ったのは、歴史から消された「大友宗麟の忍者」」だった〜
第六話 ― 江戸、剣を止める鎖 ―
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第一章|江戸の密命
江戸――長屋の奥座敷。
灯りは一つ。
障子の外には、武家屋敷の静寂。
座するのは――
武市半平太。
その正面に、無言で座る男。
岡田以蔵。
武市が静かに口を開く。
> 「ここは江戸だ」
一拍。
> 「幕府の心臓……」
以蔵の目がわずかに動く。
> 「誰を斬る」
武市は迷わない。
> 「勝海舟」
空気が張り詰める。
> 「坂本龍馬が護っている」
以蔵はゆっくり立ち上がる。
> 「問題ない」
その声に、迷いはなかった。
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第二章|人斬りの影
江戸・夜。
屋敷と屋敷の隙間。
足音はない。
以蔵が進む。
刀に手を添えたまま。
> 「……終わらせる」
その時。
前方に“違和感”。
誰かがいる。
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第三章|待つ男
月明かりの中。
鎖が、わずかに光る。
立っているのは――
宍戸梅軒。
> 「そこまでだ」
以蔵の足が止まる。
> 「……忍びか」
梅軒が鎖鎌を構える。
> 「ああ」
静かに言う。
> 「お前を止めに来た」
空気が張り詰める。
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第四章|条件
梅軒が一歩踏み出す。
ジャリ……
鎖が地を擦る。
> 「勝負しろ」
以蔵は動かない。
> 「理由は」
梅軒の目が鋭くなる。
> 「俺に負けたら」
間。
> 「坂本龍馬と共に勝海舟を守れ」
沈黙。
風が吹く。
以蔵が刀を抜く。
> 「……いい」
低い声。
> 「斬って決める」
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第五章|初撃
次の瞬間――
消えた。
以蔵の踏み込み。
一直線。
最短距離の斬撃。
ガキィィン!!
火花。
梅軒の鎖鎌が弾く。
> 「速いな」
以蔵は止まらない。
二撃。
三撃。
連続の剛剣。
空気を裂く音。
だが――
すべて弾かれる。
流される。
> 「……!」
初めて、以蔵の表情が変わる。
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第六章|間合いの支配
梅軒が笑う。
> 「剣の間合いで勝てると思うな」
ブンッ!!
鎖が唸る。
鞭のようにしなる。
以蔵が避ける。
だが――
軌道が変わる。
> 「なっ……」
鎖が追う。
絡む。
刀で受ける。
重い衝撃。
腕がしびれる。
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第七章|崩し
以蔵、再突入。
低く潜る。
斬り上げ。
鋭い一撃。
その瞬間――
ジャラッ!!
足に違和感。
> 「しまっ――」
鎖が絡む。
引かれる。
体勢が崩れる。
そこへ――
ザンッ!!
梅軒の鎌が走る。
肩を斬る。
血が飛ぶ。
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第八章|捕縛
以蔵が後退。
だが次の瞬間。
鎖が再び走る。
足。
腕。
胴。
絡む。
締める。
完全に封じられる。
目の前。
鎌の刃。
喉元、数寸。
止まる。
静寂。
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第九章|敗北
梅軒が低く言う。
> 「終わりだ」
以蔵は動かない。
呼吸だけが聞こえる。
やがて――
刀を納めた。
> 「……負けた」
その声は静かだった。
だが確かに認めた。
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第十章|転換
梅軒が言う。
> 「約束だ」
以蔵は顔を上げる。
その目は――
先ほどとは違っていた。
> 「守る」
短く。
> 「坂本龍馬と勝海舟を」
風が吹く。
江戸の夜。
“人斬り”が初めて剣を収めた。
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終章|知らぬまま
その頃――
屋敷の中。
語り合う男たち。
坂本龍馬。
その外で。
歴史は静かに変わった。




