表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/50

第五話 ― 医術の影、国を繋ぐ女 ―

戦国最強の忍、幕末に舞う〜坂本龍馬を救ったのは、歴史から消された「大友宗麟の忍者」」だった〜


第五話 ― 医術の影、国を繋ぐ女 ―



---


序|剣ではなく、命で支配する者


忍者とは何か。


影に生き、影で斬る者――ではない。


その夜、乙原の里でキキは言った。


> 「斬るだけでは国は変わらない」




その瞳は静かだった。


> 「命を握る者が、すべてを動かす」





---


第一章|将軍の命


江戸城。


誰もが頭を垂れる場所に、ただ一人、頭を下げない女がいた。


キキ。


床に伏すのは――

徳川家茂。


呼吸は浅く、顔色は悪い。


側近が声を荒げる。


> 「無礼であるぞ!」




キキは無視した。


脈を取り、瞼を開く。


> 「脚気。食事が原因」




静まり返る部屋。


将軍がかすかに目を開ける。


> 「治せるか」




> 「ええ」




迷いはない。


> 「ただし、食を変える」




武士の世界に――“医の理”を突きつける。


その瞬間。


将軍の命は、キキに預けられた。



---


第二章|崩れる頂点


別の間。


徳川家定。


言葉を発せず、ただ震える将軍。


キキは静かに観察する。


> 「脳の病。発作が出ている」




誰も理解できない診断。


だがキキは続ける。


> 「抑えることはできる。でも――完全には戻らない」




幕府の“限界”を知る者。


それがキキだった。



---


第三章|長州の知


長州。


夜の密室。


咳の音が響く。


桂小五郎。


キキは胸に耳を当てる。


> 「肺病……結核」




桂は微笑む。


> 「死ぬか」




> 「延ばせる」




短い沈黙。


> 「その時間で、何をするの?」




桂の目が変わる。


> 「日本を変える」




キキは小さく頷いた。


信頼が、静かに成立した。



---


第四章|薩摩の炎


薩摩。


重い空気の中に座る男――

西郷隆盛。


キキは淡々と診る。


> 「フィラリア。進行している」




西郷が笑う。


> 「治るか」




> 「私なら」




西郷は豪快に笑った。


> 「女子にしておくには惜しいな!」




キキは表情を変えない。


> 「私は忍びよ」




その一言で、空気が変わる。


対等な者同士の沈黙。



---


第五章|土佐の影


暗い牢。


鎖の音。


そこにいるのは――

武市半平太。


痩せ細りながらも、目は死んでいない。


キキが座る。


> 「無理をしている」




武市は静かに言う。


> 「理想のためだ」




キキは即答する。


> 「死ねば終わり」




沈黙。


> 「……では、生きて何を変える」




キキの目が鋭くなる。


> 「世界を見なさい」




その言葉は、武市の内側を揺らした。



---


第六章|酒の支配者


土佐の上座。


酒に満ちた空間。


山内容堂が笑う。


> 「医者か。わしを治せるか」




キキは冷たく言う。


> 「酒をやめれば」




場が凍る。


容堂は笑う。


> 「それはできぬ」




キキは立ち上がる。


> 「なら死ぬ」




沈黙。


そして――


> 「面白い」




容堂の目が変わった。



---


第七章|短い命の火


長州。


若き革命家――

高杉晋作。


咳をしながら笑う。


> 「俺は長くない」




キキは薬を置く。


> 「延ばせる」




> 「その時間で何をする」




> 「好きにしなさい」




高杉は笑う。


> 「なら、暴れるだけだ」





---


終章|影の支配


江戸。薩摩。長州。土佐。


すべてに共通する存在。


キキ。


将軍も、志士も、敵も味方も。


> 「関係ない」




命を救い。


秘密を握り。


信頼を得る。


そのすべてが――力になる。


乙原へ戻る夜。


梅軒が問う。


> 「なぜそこまで関わる」




キキは振り返らない。


> 「国を動かすためよ」




静かに続ける。


> 「龍馬だけじゃ足りない」




その言葉の意味を、誰もまだ知らない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ