第四話 ― 江戸・北辰一刀流千葉道場、運命の前夜 ―
戦国最強の忍、幕末に舞う〜坂本龍馬を救ったのは、歴史から消された「大友宗麟の忍者」」だった〜
第四話 ― 江戸・北辰一刀流千葉道場、運命の前夜 ―
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序|剣の道場にて
江戸――
北辰一刀流の名門、千葉道場。
畳の匂い。
木刀の音。
研ぎ澄まされた剣気が満ちる場所。
その一室に、二人の男がいた。
坂本龍馬
千葉重太郎
夜。
稽古は終わり、静寂が戻る。
重太郎が腕を組み、言う。
> 「明日だな」
龍馬は柱にもたれ、遠くを見ている。
> 「ああ」
その瞳には迷いがあった。
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第一章|斬るか、生かすか
重太郎が続ける。
> 「相手は――
勝海舟」
> 「幕府の中枢にいる男だ」
龍馬は静かに言う。
> 「あやつは、日本を変えようとしちゅう」
重太郎が眉をひそめる。
> 「だから斬るんだろう」
龍馬は答えない。
ただ、拳を握る。
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第二章|道場に現れた影
その時。
スッ…
道場の空気が変わる。
灯りがわずかに揺れる。
重太郎が反応する。
> 「誰だ!」
だが、もう遅い。
道場の奥。
いつの間にか立っていた。
三つの影。
静かに立つ黒髪の女
長身の忍び
気だるく壁にもたれる女
大友忍軍。
頭領――キキ。
重太郎が木刀を掴む。
> 「忍びか!!」
だがキキは動じない。
その視線はただ一人。
龍馬だけを見ていた。
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第三章|未来を問う声
キキが一歩前に出る。
畳がわずかに鳴る。
> 「坂本龍馬」
龍馬が睨む。
> 「何者じゃ」
> 「大友忍軍」
短い答え。
そして、核心。
> 「未来と世界を考えろ」
重太郎が怒鳴る。
> 「無礼者!!」
だがその声を遮るように――
キキの言葉が落ちる。
> 「命に代えて――日ノ本を導け」
静寂。
道場の空気が張り詰める。
朧が肩をすくめる。
> 「あんたは斬る人間じゃない」
梅軒が続ける。
> 「流れを変える人間だ」
キキが言い切る。
> 「勝海舟を斬れば、日本は止まる」
> 「生かせば、日本は進む」
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第四章|揺れる龍
龍馬の目が大きく開く。
その言葉が、胸の奥に突き刺さる。
> 「……導く?」
小さく呟く。
重太郎が言う。
> 「騙されるな!忍びの言葉だ!」
だが龍馬はもう、聞いていない。
頭の中で何かが繋がっていく。
土佐の未来
商人たちの思惑
海の向こうの脅威
日本の可能性
キキの最後の一言。
> 「選べ」
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第五章|眠れぬ道場
その夜。
龍馬は道場に一人残った。
畳の上に座り、動かない。
外は静か。
風の音だけ。
考え続ける。
斬るか。
生かすか。
重太郎は離れた場所で見ている。
何も言わない。
やがて夜が明ける。
障子の向こうが白む。
その時――
龍馬は立ち上がった。
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第六章|決断
翌日。
勝海舟の屋敷。
重太郎が小声で言う。
> 「行くぞ」
二人は中へ入る。
襖が開く。
そこにいたのは――
勝海舟。
静かな目。
すべてを見通すような男。
重太郎が刀に手をかける。
だが――
龍馬が前に出た。
そして。
深く、頭を下げる。
> 「坂本龍馬と申します」
重太郎が凍りつく。
> 「龍馬!?何を――」
龍馬は顔を上げる。
その目は、完全に変わっていた。
> 「あなたの弟子にしてください」
沈黙。
そして。
勝海舟が微笑む。
> 「いいだろう」
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終章|影の勝利
千葉道場の屋根の上。
三つの影。
キキ、梅軒、朧。
キキが静かに言う。
> 「これでいい」
朧が笑う。
> 「歴史、動いたね」
梅軒は黙って空を見る。
江戸の空。
その先にある未来。
誰も知らない。
この決断の裏に――
大友忍軍がいたことを。




