四境戦争後の坂本龍馬! 坂本龍馬が命名!「ワイル・ウエフ飛行船」 ― 萩城上空決戦 ―
坂本龍馬が攻撃室で突然ひらめき、台湾航路用木造輸送飛行船に勝手に**「ワイル・ウエフ飛行船」**と命名。
以後、この飛行船は物語上「ワイル・ウエフ飛行船」と呼ばれる流れにします。
『幕末!忍者スチーム・ワールド戦記!』
四境戦争後の坂本龍馬!
THE BATTLE ABOVE HAGI CASTLE
― 萩城上空決戦 ―
HMS EURYALUS VS SHADOW HAWK + WYLE UWEF
― 三隻の蒸気飛行船、長州の空で激突!―
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――萩城上空・高度30メートル――
轟音が、萩の空を震わせていた。
巨大な英国海軍の戦闘フリゲート飛行船。
HMS Euryalus――ユーライアラス。
その巨大な船体を中心として――
右舷。
そこには、
駆逐艦
シャドウ・ホーク――闇鷹。
左舷。
低空を飛ぶ、
台湾航路用木造輸送飛行船。
……いや。
それは、まだ「ワイル・ウエフ」という名前ではなかった。
ただの台湾航路用輸送飛行船だった。
だが――
この戦場で、その名が生まれることになる。
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――HMS Euryalus・艦橋――
アレクサンダー艦長は周囲を見渡した。
右舷にはシャドウ・ホーク。
左舷には木造輸送飛行船。
完全に挟み込まれている。
「……挟み撃ちの形だ!」
副艦長が叫ぶ。
「艦長! 両舷に敵!」
アレクサンダー艦長は即座に命令した。
「右舷はシャドウ・ホークを狙え!」
「左舷は輸送船を狙え!」
「両舷砲撃戦続行!」
「了解!」
ユーライアラスの砲塔が動き出す。
右舷砲。
シャドウ・ホークへ。
左舷砲。
台湾航路用木造輸送飛行船へ。
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――ユーライアラス左側・高度30メートル――
萩の森。
その木々すれすれを――
台湾航路用木造輸送飛行船が飛んでいる。
船内・攻撃室。
その中央に立つのは――
加藤アサキ。
15歳。
現在、
砲術長代理。
父・加藤智から突然託された指揮。
しかし――
アサキ自身はまだ知らない。
自分が、
弾道計算の天才
であることを。
それを知っているのは――
父・加藤智。
そして長年、演習を共にしてきた砲術班員たちだけだった。
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――アサキの才能――
過去の砲術演習。
砲術班が何度も失敗していた弾道計算。
そこへアサキが、
「……少しだけ角度を変えたら?」
そう言って計算した数値。
ドォン!
命中。
別の演習。
風向きが変化。
砲術班員たちが迷っていると――
「風が変わったから、ここを修正したほうがいいと思う。」
ドォン!
命中。
加藤智は、それをずっと見ていた。
「……アサキ。」
「お前は、とんでもない才能を持っている。」
しかし本人は、
「そうかな?」
程度にしか思っていなかった。
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――現在――
アサキは照準器を覗く。
標的――
HMS Euryalus。
高度差。
風向。
速度。
船体の角度。
砲弾の飛翔時間。
すべてを頭の中で組み立てる。
そして――
「仰角!」
「45度!」
砲術班員が復唱。
「仰角45度!」
アサキ。
「進路、そのまま!」
伝達管へ叫ぶ。
「進路そのまま!」
---
――艦橋――
伝達管からアサキの声が響く。
夜叉丸・デスペラード艦長が聞く。
「進路そのまま!」
「了解!」
夜叉丸は前方を見る。
「そのまま進め!」
そして――
「砲撃位置に来たら!」
「撃て!」
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――攻撃室――
アサキ。
「了解!」
右舷1番。
右舷2番。
右舷3番。
三門のアームストロング砲がユーライアラスを狙う。
アサキが時間を読む。
「砲撃――」
「5秒前!」
砲術班が構える。
「4!」
「3!」
「2!」
「1!」
アサキが叫ぶ。
「ファイア!!!!」
---
――右舷1番~3番――
ドドドォォォォン!!!
三門のアームストロング砲が一斉発射!
砲弾が空へ飛び出す。
一発目。
ユーライアラスへ迫る。
二発目。
わずかに逸れる。
三発目も外れる。
しかし――
一発目が命中!
---
――HMS Euryalus――
ズドォォォォン!!!
左側下部船体に直撃!
強化コンクリート装甲が、
バキィィィン!!
と大きく弾け飛ぶ。
しかし――
内部の木造船体までは届かない。
副艦長が叫ぶ。
「左舷下! 被弾!」
「損害軽微!」
アレクサンダー艦長が下を見る。
「……あの輸送船。」
「ただの輸送船ではないな。」
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――攻撃室――
その光景を見ていた坂本龍馬。
「…………。」
龍馬の目が輝く。
左右の砲塔。
アームストロング砲。
蒸気機関。
低空飛行。
そして長州の空を自在に動く木造飛行船。
龍馬が突然――
ひらめいた。
「……そうじゃ!」
カルヴァが振り返る。
「龍馬?」
龍馬は船内を見渡す。
「この飛行船は――」
「凄いのう!」
「アームストロング砲まで積んでおる!」
加藤アサキが振り返る。
桂小五郎も驚く。
「坂本くん?」
龍馬は腕を組む。
そして満面の笑み。
「決めたぜよ!」
カルヴァ。
「何をじゃ?」
龍馬は堂々と宣言する。
「この飛行船の名じゃ!」
「……名前?」
龍馬は船体を見渡す。
「台湾航路用木造輸送飛行船――」
「長い!」
「呼びにくい!」
そして――
龍馬が叫ぶ!
「今日から!」
「ワイル・ウエフ飛行船じゃ!」
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一同。
「…………。」
カルヴァが呆れる。
「龍馬……。」
「おまん、勝手に名前をつけたがか?」
龍馬は笑う。
「ええ名前じゃろ!」
カルヴァ。
「……まあ、ええが。」
桂小五郎も苦笑する。
「坂本くんらしいね。」
夜叉丸・デスペラードが艦橋から通信を聞いている。
「……ワイル・ウエフ飛行船。」
少し間を置いて――
「了解した。」
龍馬が勝手につけた名前が、
この瞬間――
新たな戦闘飛行船の名として、
大友忍軍と長州の間に定着していく。
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――HMS Euryalus・左舷砲座――
その時。
副艦長が叫ぶ。
「艦長!」
「左舷下の敵飛行船!」
「距離、接近!」
アレクサンダー艦長が命令する。
「撃ち落とせ!」
「左舷アームストロング砲!」
「最大俯角!」
「真下を狙え!」
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――ガコンッ!!
ユーライアラスの左舷砲座が動く。
通常の艦船では考えられない角度。
砲身が、
ほぼ直角に下へ向く。
これこそ――
飛行船化改修の際に、
ヴィクター博士
が組み込んだ特殊砲撃システムだった。
真下の飛行船を攻撃できる。
地上目標にも対応できる。
そして、その巨大な船体を空中で動かしているのが――
ヴィクター博士が開発した、
スチーム・コア・エンジン。
アレクサンダー艦長。
「照準!」
「左舷下!」
「敵――」
「輸送飛行船!」
副艦長が一瞬止まる。
「……台湾航路の飛行船?」
アレクサンダー艦長。
「何だ、ただの輸送船が武装しただけなのか!?」
その頃、ワイル・ウエフ飛行船の攻撃室では――
坂本龍馬が満面の笑みを浮かべていた。
「ええ名前じゃろ?」
カルヴァ。
「……今、つけたばっかりぜよ。」
そしてアサキは、
ユーライアラスの砲身を見つめていた。
「……来る。」
アサキの目が鋭くなる。
「敵砲――」
「発射準備。」
ワイル・ウエフ飛行船の船内に、
緊張が走る。
次の瞬間――
ユーライアラス左舷砲座から、
巨大な砲口炎が――
閃光を放った!
ドォォォォォォォン!!!
砲弾が、
低空を飛ぶワイル・ウエフ飛行船へ向かって――
一直線に迫る!
――つづく――
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