「四境戦争後の坂本龍馬!」 イギリス・戦闘フリゲート飛行船・HMS Euryalus VS シャドウ・ホーク闇鷹 長州上空での大決戦 Ⅱ
HMS Euryalusvs シャドウ・ホーク闇鷹の砲撃戦から、台湾航路用木造輸送飛行船が被弾し、加藤アサキが砲術長代理に就任する!
『幕末!忍者スチーム・ワールド戦記!』
「四境戦争後の坂本龍馬!」
イギリス・戦闘フリゲート飛行船・HMS Euryalus VS シャドウ・ホーク闇鷹
長州上空での大決戦 Ⅱ
British Battle Frigate Airship HMS Euryalus VS Shadow Hawk
The Great Aerial Battle Over Choshu II
---
――長州上空・高度――
長州の空を震わせる、二隻の巨大飛行船。
一方は――
英国海軍。
HMS Euryalus――ユーライアラス。
もう一方は――
大友忍軍。
駆逐艦シャドウ・ホーク――闇鷹。
その周囲を飛び回っていたスチーム・ファイター改の編隊が、突然、方向を変えた。
---
――シャドウ・ホーク闇鷹・艦橋――
艦長代理、
鞍馬・デステロ。
「左舷!砲撃戦用意!」
砲術員たちが一斉に動く。
「了解!」
鞍馬・デステロは前方を見据える。
「スチーム・シールド、オープン!」
「了解!」
ガコン!
シャドウ・ホークの船体各所から特殊な防御機構が展開する。
シュゥゥゥゥ……!
大量の蒸気が船体周囲へ噴き出す。
スチーム・シールド。
敵砲弾の衝撃を蒸気圧と特殊防御層によって分散させる、大友忍軍の新型防御機構。
鞍馬・デステロが叫ぶ。
「スチーム・ファイター隊を退却させろ!」
通信員が応答する。
「了解!」
---
――スチーム・ファイター改編隊――
モールス信号から言葉による指示が入る。
『スチーム・ファイター隊!』
『撤収!』
『これより砲撃戦に入る!』
隊長機が旋回。
「了解!」
一機。
二機。
三機。
次々とシャドウ・ホークから距離を取る。
その瞬間――
シャドウ・ホークの主砲が、
HMS Euryalusへ向けて旋回した。
---
――スチーム・モールス通信――
台湾航路用木造輸送飛行船。
艦橋。
通信員がスチーム・モールス信号送受信機を操作する。
カチッ……カチッ……シュッ……カチッ……
シャドウ・ホークからの通信。
そして――
夜叉丸・デスペラード艦長が通信機の前に立つ。
「返答する。」
通信員が振り返る。
夜叉丸はモールス信号で短く命令を送る。
『スチーム・ファイターを一機、こちらに回せ!』
さらに続ける。
『珠・ア・プラーガ・ヴェルメーリャ、出撃する!』
通信員が送信。
---
――シャドウ・ホーク闇鷹――
通信を受信。
鞍馬・デステロが頷く。
「了解した。」
そして隊長機へ伝達。
「隊長機!」
「台湾航路用木造輸送飛行船へ向かえ!」
「珠・ア・プラーガ・ヴェルメーリャを輸送する!」
「了解!」
一機のスチーム・ファイター改が編隊を離れる。
そして――
台湾航路用木造輸送飛行船へ向かって飛翔する。
---
――HMS Euryalus・艦橋――
アレクサンダー艦長は望遠鏡を覗いていた。
「……小型飛行船が撤収してゆく。」
副官が尋ねる。
「追撃しますか?」
アレクサンダー艦長は首を横に振る。
「いや。」
そして――
鋭い目でシャドウ・ホークを睨む。
「砲撃戦だ!砲撃戦がくる!」
「右舷!砲撃戦用意!」
「了解!」
ユーライアラスの16門のアームストロング砲の右半分が砲撃用意!
巨大な砲身が、
シャドウ・ホーク闇鷹
へ向く。
---
――相対距離2000メートル――
シャドウ・ホーク。
鞍馬・デステロがスチーム測量機を見る。
「距離……2000。」
砲術長が叫ぶ。
「照準完了!」
鞍馬・デステロが立ち上がる。
「……今だ。」
そして――
「ファイア!!!」
ドドドドドドドドド!!!!
シャドウ・ホークの砲門から一斉に砲弾が放たれる!
砲煙が空を覆う。
---
――HMS Euryalus――
アレクサンダー艦長。
「敵艦、発砲!」
「こちらも撃て!」
そして――
「ファイア!!!!!!」
ドドドドドドドドド!!!!
ユーライアラスのアームストロング砲が一斉射撃。
二隻の巨大飛行船から砲弾が飛び交う。
---
――直撃!――
シャドウ・ホークの船体が揺れる。
ドォォォォン!!!
「命中!」
「第二弾、接近!」
ドォォォン!!!
シャドウ・ホークの船体に命中。
激しい衝撃。
しかし――
シュゥゥゥゥゥ……!
スチーム・シールドが展開!
衝撃が防御層へ分散される。
船体の一部が損傷するものの、被害は大幅に軽減された。
「被害、軽微!」
砲術員が叫ぶ。
鞍馬・デステロが笑う。
「素晴らしい防御機能だ。」
「これならまだ戦える!」
---
――HMS Euryalus――
ドォォォォン!!!
ユーライアラスにも命中。
「右舷被弾!」
「装甲損傷!」
アレクサンダー艦長が叫ぶ。
「被害は!?」
「強化コンクリートが弾け飛んでいます!」
ユーライアラスの木造船体を覆う、
厚さ1メートルの強化コンクリート装甲。
命中した砲弾によって表面が激しく砕ける。
しかし――
「貫通していません!」
アレクサンダー艦長が息を吐く。
「……まだだ。」
「まだ戦える!」
---
――凄まじい砲撃戦――
ドォォォォン!
ドォォォォン!
ドドドドドドド!
二隻の巨大飛行船が砲撃を繰り返す。
空中に砲煙が広がる。
砲弾が交差する。
シャドウ・ホークのスチーム・シールド。
ユーライアラスの1メートル強化コンクリート装甲。
互いに強固な防御を持つ二隻。
そして――
その下では、長州の森と町が広がっている。
---
――高度50メートル――
その時。
下方から巨大な影が浮上してきた。
台湾航路用木造輸送飛行船。
長州の重臣たち。
毛利敬親。
桂小五郎。
井上馨。
伊藤博文。
前原一誠。
広沢真臣。
山県有朋。
山田顕義。
品川弥二郎。
そして――
坂本龍馬。
カルヴァ。
彼らを乗せて、
高度50メートル。
---
――隠しアームストロング武装――
左右の砲塔が開く。
ガコン!
ガコン!
左右三門ずつ。
合計――
6門のアームストロング砲。
夜叉丸・デスペラードが艦橋から命令する。
「右舷1番から3番!」
「砲撃戦用意!」
攻撃室。
砲術長の加藤智が叫ぶ。
「右舷1番から3番!」
「砲撃戦用意!」
「了解!」
砲術班が一斉に砲へつく。
---
――HMS Euryalus――
副艦長が突然叫んだ。
「艦長!」
「左舷下から飛行船!」
アレクサンダー艦長が振り返る。
「何だと!」
眼下。
巨大な木造輸送飛行船が迫ってくる。
「敵飛行船だ!」
アレクサンダー艦長が命令する。
「撃ち落とせ!」
副艦長。
「了解!」
「左舷下、敵飛行船!」
「砲撃戦!」
「ファイア!!」
---
――台湾航路用木造輸送飛行船――
砲術長の加藤智が叫ぶ。
「右舷1番!」
「右舷2番!」
「右舷3番!」
「照準!」
アームストロング砲が、
HMS Euryalus
を捉える。
しかし――
その瞬間。
上空から巨大な砲弾が飛来した。
砲術長
加藤智の顔色が変わる。
「……まずい!」
「敵弾!」
「直撃コース!」
加藤智が伝達管へ叫ぶ。
「衝撃に備えろ!!!!」
---
夜叉丸・デスペラードも叫ぶ。
「全員!」
「衝撃に備えろ!!!!」
---
ドォォォォォォォォォン!!!
直撃。
台湾航路用木造輸送飛行船の上部が大きく破壊される。
木材が弾け飛ぶ。
爆風が船内へ吹き込む。
爆炎が走る。
「うわあああああ!!!」
船体が大きく傾く。
長州の重臣たちが床へ投げ出される。
「殿!」
「桂さん!」
「龍馬!」
「カルヴァ!」
飛行船は急降下しかける。
---
――艦橋――
夜叉丸・デスペラードが操舵装置を握る。
「地面を這うように飛行しろ!」
「高度を下げろ!」
操舵員。
「了解!」
船体が急速に高度を下げる。
その頭上を――
HMS Euryalusの砲弾が通過する。
そして――
ドォォォォン!
ドォォォォン!
次々と萩の森へ着弾。
木々が揺れる。
煙が立ち上る。
---
――台湾航路用木造輸送飛行船・損害確認――
夜叉丸。
「被害状況報告!」
伝達管から管を通して声が聞こえる!
「コントロール室!」
『被害軽微!』
「機関室!」
『被害軽微です!』
夜叉丸が続ける。
「攻撃室は!?」
一瞬の沈黙。
そして――
「……砲術長!」
「重体です!」
夜叉丸の表情が変わる。
「何だと!」
伝達管から管を通して声が聞こえる!
「意識がありません!」
「負傷しています!」
「砲術長の真上で爆発しました!」
「しかし――」
声の主は、
加藤アサキ。
15歳の砲術長見習いだった。
アサキは必死に父親のそばにいる。
「左右のアームストロング砲と砲術班は無事です!」
「他の砲術班に大きな被害はありません!」
夜叉丸が尋ねる。
「アサキ!」
「他に被害は!?」
アサキは涙をこらえながら答える。
「ありません!」
「砲術長だけです!」
---
――加藤智――
床に倒れている加藤智。
意識はもうろうとしている。
しかし――
娘の声だけは聞こえていた。
「……アサキ……。」
「父さん!」
アサキの目から涙がこぼれる。
「父さん!」
加藤智は、ゆっくりと娘を見る。
そして――
かすかな笑顔。
「……お前が……今から…」
「砲術長だ…」
アサキは首を横に振る。
「出来ない……!」
「私には……出来ないよお!」
加藤智は苦しそうに息をしながら、それでも言葉を続ける。
「できる……。」
「お前は……弾道計算の達人だ。」
「この船で……」
「私が動けない今……」
「砲術を指揮できるのは……」
一瞬、息を整える。
「……お前しかいない!」
アサキは父を見る。
「父さん……。」
加藤智は手を伸ばす。
そして――
アサキの頭をそっと撫でる。
「頼んだぞ……。」
アサキの目から涙がこぼれる。
「……はい。」
---
――艦橋・伝達室――
その親子の会話は、伝達管を通して艦橋にも届いていた。
夜叉丸・デスペラードは黙って聞いていた。
そして――
決断する。
「攻撃室!」
伝達管から管を通して声が聞こえる。
「はい!」
「加藤アサキ!」
「今より――」
一拍。
「砲術長代理に任命する!」
アサキが顔を上げる。
「……!」
夜叉丸は続ける。
「直ちに!」
「砲撃戦用意!」
「敵艦は目の前だ!」
「我々は戦闘を続行する!」
アサキは涙を拭う。
父を見る。
加藤智は――
火傷と負傷で苦しみながらも、
笑っていた。
そしてもう一度、
娘の頭を撫でる。
---
――加藤アサキ――
その瞬間。
アサキの表情が変わった。
涙を拭う。
望遠照準器を手に取る。
目の輝きが変わる。
さっきまでの少女の顔ではない。
まるで――
試合開始直前の選手のような、
鋭い集中力を宿した目。
敵艦。
風向。
高度。
距離。
速度。
砲身角度。
すべてを一瞬で確認する。
そして――
「……見える。」
アサキは呟いた。
「敵艦の動きが……。」
---
――その時――
激しい衝撃。
ドォォォォォン!!!
飛行船が大きく揺れる。
コントロール室から――
長州の重臣たちが転がり込んでくる。
「うわあああ!」
桂小五郎。
井上馨。
伊藤博文。
前原一誠。
山県有朋。
山田顕義。
品川弥二郎。
広沢真臣。
そして――
毛利敬親。
坂本龍馬。
カルヴァ。
全員が攻撃室へ集まった。
龍馬が顔を上げる。
「ここが……砲術室か!」
カルヴァが叫ぶ。
「龍馬! 立てるか!」
「大丈夫じゃ!」
桂小五郎は目の前の光景に言葉を失う。
そこにいたのは――
父親から砲術指揮を託された、
15歳の少女!加藤アサキ。
アサキは望遠照準器から目を離さない。
そして――
静かに口を開いた。
「敵艦……。」
「風向、右から。」
「高度差……。」
「速度……。」
長州の重臣たちは息を呑む。
龍馬も見つめる。
カルヴァも黙る。
アサキが砲術班を見る。
その声が――
攻撃室に響き渡る。
「右舷1番から3番!!!」
「砲撃戦用意!!!」
砲術班が一斉に動く。
「了解!!!」
アサキの目は――
完全に戦場を捉えていた。
そして長州の重臣たちは、この瞬間初めて知る。
15歳の少女が持つ、天才的な砲術能力を。
――つづく――
読んでくださり、ありがとうございます。
よろしければ、ブックマーク・いいね・評価、お願い致します。
そして、よろしければ感想を聞かせてください。
感想を一人でも聞かせて頂きたいと思っています。




