「甲鉄の黒潮 USSポーハタン VS サイレント・サンダー震電丸!」Episode4 Retreat to Beppu Bay 『別府湾への撤退』
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「甲鉄の黒潮 USSポーハタン VS サイレント・サンダー震電丸!」
Episode4
Retreat to Beppu Bay
『別府湾への撤退』
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海中――。
静寂が戻りつつある。
サイレント・サンダー震電丸の魚雷発射管は、すべて空になっていた。
「魚雷……全弾発射。」
「残弾、ゼロ。」
艦内に報告が響く。
雫・ア・アンジャ・グアルディンは静かに目を閉じた。
敵は沈まなかった。
USSポーハタンの厚い装甲は、蒸気魚雷の直撃にも耐えた。
しかし――。
右外輪は二度の命中により大きく破壊された。
片側の外輪しか使えないポーハタンは、もはや本来の速力を出せない。
その姿は、誰の目にも明らかだった。
雫・ア・アンジャ・グアルディンは静かに呟く。
「……これで十分…」
「最初から撃沈は目的ではない。」
黄金の髪が静かに揺れる。
蒼い瞳は冷静だった。
「無敵と恐れられたUSSポーハタン…」
「その外輪が破壊された姿を――」
「瀬戸内海沿岸の町。」
「港。」
「行き交う船。」
「すべてに見せること。」
それこそが今回の作戦の真の目的だった。
「日本は、自信を取り戻す。」
「敵は無敵ではない。」
「勝てる。」
「それを証明する戦いだった。」
艦内の忍たちは静かに頷く。
撃沈できなくとも、その衝撃は敵味方双方に深く刻まれた。
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その時、遠くで再び砲撃音が響く。
ドォォォン!!
ドォォォン!!
ポーハタンが最後の反撃を続けている。
雫・ア・アンジャ・グアルディンは音響管へ命じた。
「これより前線を離脱!」
「進路、豊後国!」
「目標、別府湾!」
「帰投する!」
「ウォーター・シールド、維持!」
「速力、時速十キロ!」
サイレント・サンダー震電丸は海流に身を任せるように艦首を南へ向ける。
雫・ア・アンジャ・グアルディンの能力によって生み出された水の防壁が、砲弾の衝撃を受け流しながら艦を守る。
木造の潜航艦は静かに戦場を離れていった。
誰にも姿を見せることなく。
まるで海へ溶け込む影のように。
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一方。
USSポーハタン。
ロジャーズは破壊された右外輪を見つめていた。
砕けた木材。
歪んだ鉄骨。
立ちのぼる蒸気。
そして、速度を失った愛艦。
彼は歯を強く噛み締める。
ギリッ……。
「違う……。」
「あの船の目的は……。」
「我々を沈めることではなかった!」
拳を握り締める。
「外輪を破壊し!」
「この傷ついたポーハタンを!」
「ゆっくりと瀬戸内海へさらすことだ!」
「沿岸の町。」
「商船。」
「漁船。」
「幕府軍。」
「長州軍。」
「すべての者に。」
「『無敵のポーハタンは傷つく』」
「それを見せつけることが狙いだったのだ。」
ロジャーズは怒りと悔しさに震える。
「してやられた……!」
損傷したポーハタンは左外輪だけで海を進む。
本来の威容は失われ、ゆっくりと江戸への航路をたどる。
その姿は、瀬戸内海を行き交う人々の記憶に深く刻まれていく。
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傷ついた巨艦は去り、
静かなる潜航艦は別府湾へ帰る。
勝敗はつかなかった。
だが、この海戦は「無敵」と信じられていた軍艦にも限界があることを、日本中へ知らしめる戦いとなった。
そして海の底では、雫・ア・アンジャ・グアルディンは静かに次の戦いへ備えていた。
──「甲鉄の黒潮 USSポーハタン VS サイレント・サンダー震電丸!」の章 ーーーー完──
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