「甲鉄の黒潮 USSポーハタン VS サイレント・サンダー震電丸!」 Episode3 『甲鉄の黒潮の反撃』
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「甲鉄の黒潮 USSポーハタン VS サイレント・サンダー震電丸!」
Episode3
Counterattack of the Ironclad Black Current
『甲鉄の黒潮の反撃』
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瀬戸内海――。
ドォォォン!!
右舷外輪に命中した蒸気魚雷が巨大な水柱を巻き上げる。
木片が四方へ飛び散り、外輪の一部が吹き飛んだ。
「右舷外輪損傷!」
「回転数低下!」
「しかし、航行可能です!」
艦橋でロジャーズは歯を食いしばった。
「まだ動く!」
「奴らは海中だ!」
双眼鏡を海面へ向ける。
白く消えゆく魚雷の航跡。
「三時方向だ!」
「海を潜るニンジャの船だ!」
ロジャーズは剣を抜くような勢いで右腕を振り上げる。
「三時方向!」
「全砲塔!」
「ファイア!!」
その号令と同時に、USSポーハタンのアームストロング砲が一斉に火を吹く。
ドォォン!!
ドドドドドン!!
右舷の砲塔から砲弾が次々と飛び出し、海面へ雨のように降り注ぐ。
着弾のたび、巨大な水柱が立ち上がる。
海が揺れ、爆音が幾重にも重なり合う。
しかし――。
砲撃は目標を捉えられない。
海面下約十数メートル。
サイレント・サンダー震電丸は約八キロ先の深みに静かに潜み続けていた。
木造船体に被害はない。
だが、海そのものが震えるほどの爆発は、雫・ア・アンジャ・グアルディンの能力へ影響を及ぼしていた。
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サイレント・サンダー震電丸艦橋。
雫・ア・アンジャ・グアルディンは艦内の隔壁へ右手を添えていた。
彼女は海流を通じて敵の位置を感じ取る。
しかし今、その感覚は乱されていた。
海中へ響き渡る無数の爆発音。
衝撃波。
乱れる水流。
「……っ!」
蒼い瞳が大きく開かれる。
「見失った……。」
その美しい顔が苦悩に歪む。
まるで西洋絵画から抜け出してきたような端正な顔立ち。
黄金色の髪。
雪のような白い肌。
透き通る蒼い瞳。
誰もが見惚れるほどの美貌。
だが、その瞳には今、戦場を支配する猛禽のような鋭さが宿っていた。
怒っている。
敵ではない。
自分自身に。
「アタシは!まだ未熟者だ!!」
「音を潰された程度で、敵を見失うなんて……!」
唇を強く噛みしめる。
美しさとは対極にある、獣のような闘志が彼女の全身から立ち昇る。
艦内の乗組員は、その静かな怒りに息を呑んだ。
これこそが――
大友忍軍、海のエース。
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雫・ア・アンジャ・グアルディンは大きく息を吸う。
「1番魚雷室!」
「2番魚雷室!」
「一番、二番魚雷!」
「装填!」
音響管から復唱が返る。
「一番魚雷装填!」
「二番魚雷装填!」
砲雷長
「装填完了!」
蒸気機関を停止した震電丸は、音を立てない。
推進力はただ一つ。
雫・ア・アンジャ・グアルディンが操る水流だけ。
時速十キロ。
まるで海そのものと一体化したかのように、静かに移動する。
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雫・ア・アンジャ・グアルディンは再び目を閉じた。
「音では捉えられない……。」
ならば。
「読む。」
脳裏にUSSポーハタンの姿を描く。
右外輪が破損。
速力は低下。
砲撃を継続。
砲撃の反動。
艦首の向き。
海流。
風向き。
すべてを組み合わせる。
頭の中で立体的な戦場が完成する。
「ここだ!」
雫・ア・アンジャ・グアルディンの蒼い瞳が鋭く光る。
「敵艦……。」
「十一時方向!」
サイレント・サンダー震電丸が静かに艦首を回頭する。
「一番!」
「二番!」
「ファイアーー!!!!」
二本の蒸気魚雷が海中へ飛び出した。
泡だけを残しながら一直線に疾走する。
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USSポーハタン。
見張り員が絶叫する。
「魚雷!」
「五時方向!!」
「航跡確認!」
ロジャーズは叫ぶ。
「取舵!!」
「進路変更!」
操舵手が舵輪を力いっぱい回す。
しかし――。
「右外輪損傷により!取舵が効きません!」
「旋回性能低下!」
巨大な艦体は思うように曲がらない。
一発目。
魚雷は艦首をかすめて通過する。
「回避!」
歓声が上がる。
しかし。
「二発目!」
誰かが叫んだ瞬間――。
ドゴォォォォン!!
右外輪へ直撃。
木製の羽根が粉々に砕け散り、巨大な外輪が吹き飛ぶ。
蒸気が噴き出し、艦体が大きく傾く。
ロジャーズは歯を食いしばった。
「見つけたぞおお……!!!」
彼は魚雷の航跡を最後まで見逃さなかった。
「距離、およそ六〜八キロ!」
「五時方向!」
「全アームストロング砲!」
「集中砲火!」
轟音とともに砲弾が海面へ降り注ぐ。
海中。
震電丸の周囲に爆発が連続する。
ドォォン!!
ドォォォン!!
艦体が激しく揺れる。
「至近弾!」
「近い!」
乗組員たちの表情が凍りつく。
木造の震電丸なら、本来は爆圧だけで船体が裂けてもおかしくない。
だが。
雫・ア・アンジャ・グアルディンは静かに右手を艦内の隔壁へ添えた。
「水流操作!」
彼女の声は静かだった。
「ウォーター・シールド展開!」
サイレント・サンダー震電丸の周囲を幾重もの水流が渦を巻く。
砲弾の衝撃波が水の壁に吸収され、木造船体への衝撃が和らげられる。
爆発の中でも、震電丸はなお沈黙を保ち続けた。
その瞬間。
爆炎の光が海中まで差し込み、雫・ア・アンジャ・グアルディンの蒼い瞳が鋭く輝く。
その眼差しは、獲物を逃さない海の魔女そのものだった。
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