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ルッキズム死ね。でも美少女にはなりたい。  作者: :)
第五章『終わるもの』

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敗北ばかりの最終決戦(1)

県境を越えた諸警察の連携は素晴らしく、9月30日から10月1日にかけての京都市・向日市・宇治市・久御山町の住民の一斉疎開は非常に円滑だった。


ただ、正直に言うと、ここにおいて最も貢献したのは、エジプト代表団の一人、『アム・イブ=サン』の能力『Save Me』であり、展開した結界内にいる人々から不安感を奪うという能力は、これ以上なく避難誘導をスムーズにした。


前線本部は、兵站を考慮し梅小路公園に設置された。

ここに通信、医療、そして頭脳を"小規模に"揃える。


…何故小規模?それは偏に、最前線に投入される戦闘員の少なさにある。


当初、総合作戦本部は現在の吸血姫の実力を『総力戦であれば侍衛係だけでも対処可能』と評価していた。

実際それは正しく、現状の吸血姫の純粋な戦闘能力は本町紫野にも劣り、故に、ここおいて必要なものとは、『Strike Onの発動の余地を与えない絶え間ない攻撃』と、『"血清作戦"が完了するまでの吸血姫の物理的拘束』であると考えられていた。

つまり火力と人的こそが吸血姫を死に至らしめると想定されていた。


だが、作戦は直近5日に急遽判明した、『アバシリ・セイの敵側参戦の可能性』及び、10月2日、作戦決行前日に判明した『畔乎と吸血姫の接触』という二つのインパクトにより、大きく変更せざるを得なくなった。


戦闘は、量よりも質を要求された。

そうして総合作戦本部は、この土壇場で、侍衛係、御三家、英仏中埃四カ国使節団から投入を予定していた計400名の人員の中から、戦闘参加に足る人材のみを抜き出すことを余儀なくされた。


選出された猛者は計13名。


1人目に、中国代表団より、『瑞瑞瑞ルェイ・ルェイルェイ』。


2人目に、英国代表団より、『ポールボール』。


3人目に、仏国民間業者『ジュール・ラシュリエ』より、『ヴァヴァ』。


4人目に、侍衛係より、寝屋川冬香(なお、作戦においては作戦指揮、総合作戦本部との連絡、前線本部の防衛を担当)。


5人目に、本町家より、当主『本町一乗もとまち ひとしげ』。


6人目に、八雲家より、三男『八雲幽玄やくも ゆうげん


7人目に、網走家より、六角隊筆頭『網走雲海やくも うんかい


また、8人目から12人目に、『網走終夜あばしり しゅうや』当主代理の紹介により、網走家六角隊計5名。


そして、13人目に…。


『吸血姫が更に血を吸う前に迅速に対処しなければならない』『これ以上、吸血姫側に戦力増強を許してはならない』という思想の下、半ば強引に設定された作戦決行日、10月3日。


…そのせいで、精鋭たちが巨頭二匹との戦闘に駆り出されるという事実を聞かされたのは本当に直近だった。畔乎との接敵可能性にいたっては、当日知らされた。


「アゼヲ!?今アゼヲと申しましたか!?」


梅小路公園の駐車場で、勝負服のチーパオを振り乱して驚き喚くルェイに寝屋川は言う。


「まぁ、やっぱり君はそんな反応をするよね。ごめんね?こんな話を急にして」


キャソックを身にまとう彼、ポールボールが首を傾げてルェイ尋ねる。


「なんだ?アゼヲってのは、要は高位のジャパニーズデーモンなんだろう?大変な脅威だとは聞いているが…、そんなに取り乱す程なのか?」


「取り乱す!当然!アゼヲは災厄!昔、国いっぱい滅ぼした!私の先祖もたくさん殺した!アゼヲは絶対!サノスですよ!サノス!うわぁぁぁぁ!私帰るぅぅぅぅ!!」


そう叫んで、ルェイは京都駅の方へ走り出す。が、間もなく寝屋川に首根っこを掴まれて、抑え込まれる。それでもルェイは、寝屋川に馬乗りになられても手足をジタバタさせて「関空戻る!お家帰る!」と喚く


そののっぴきならぬ様子を見て、ストール巻いてるのにカッコいい男、ヴァヴァが寝屋川に苦言を呈する。


「ソイツの説明はまるで意味不明だったが…、しかし、今に我々がとんでもないものに突撃しようとしていることだけはよく分かった。酷いじゃないかネヤガワ。それにも関わらず、私達は自国政府からのお小遣いだけで戦おうとしてたのか?他に何か、君たちが払うべきものがあるんじゃないのか?」


「そういう話は『局長』にしてね。私はただの現場指揮官。政治については知らないよ」


そう言った後、寝屋川は"そういう根回し"がちゃんと出来ていない新局長の無能さに、心の中で何度も舌打ちをした。

現場の空気感は最悪。戦闘忌避。本部への不信感。色んな不安が場に渦巻く。


だけど、それでも、最終的な勝利はコチラ側にあると、寝屋川はまるで自然法則を想起するように確信していた。

ちょうど良いタイミングで、ポールボールが尋ねた。


「なぁネヤガワ。教えてくれ。何故君たちは、こんな状況下での作戦決行を決断した?」


その時だった。彼に答えを教えるように、コツ、と、先程まではそこになかった靴の音が鳴ったのは。


寝屋川は複雑な表情で尋ねた。


「本当にこれで良いんだね?シンちゃん」




当日午前9時15分、トート会議参加国、及び中露による膨大な物資援助、人的支援の元、日本国は遂に大攻勢を開始する。


党派を知らぬ作戦本部。長期戦にも耐え得る前線本部の設置。

精鋭13名による吸血姫討伐。別働隊32名による伊勢居地コア子の捜索及び確保。そして、残る人員と日米英豪軍による京都市を囲む防衛ラインの完成、首都を始めとした重要都市の防衛、海上護衛。


米国からの京都核攻撃の提案のみ、今のところ日本国政府の反対により停止しているが、それ以外は、既に完了した。


計画は急なれど十分である。

西院駅前に佇む、二対の怪物を相手に、十分である。


「さぁ、やるわよ!」


「おぉ!」


戦闘服たる装束を身にまとった網走と、いつも通りのアゼヲの周りを、11名の強者が囲んだ。


午前9時15分44秒。

戦闘開始。


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