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ルッキズム死ね。でも美少女にはなりたい。  作者: :)
第五章『終わるもの』

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Feel the Black out

それはカス高校への入学前。制服の着合わせをしている時だった。


カナモリと吸血姫の会話だった。


「…そうか、お前もピアスを開けたんだったな」


「え?ま、まぁね、へへ…」


「…しかし、あれだな。俺は中卒だからよく知らないんだが、高校って、ピアスOKなのか?」


「んー、まぁ、大丈夫なんじゃね?僕はともかく、コア子はホラ、指導してくるセンコーをはっ倒しそうだろ?」


「それもそうか。でも、お前はどうするんだ?お前も暴力に訴えるのか?」


「まさか…、そんな度胸無いよ。でも僕はさ、こうやってピアスさえ耳から外せば、ホラ」


…再生能力で穴が塞がるんだ。


…どうしてだろう。しかし私は、まっさらに元通りになった吸血姫の小さな耳たぶを見て、心がキュウと掴まれたように痛くなった。





時系列は少し前後し、9月26日。

コア子とフカが出会った、その日の夜。


座卓の上。手を付けるタイミングを失った夕飯が冷める。せっかくGBが朝食をアレンジして鮭オムレツとかいうよく分かんないけど美味しそうなものを作ってくれたのに。


しかし、プライオリティというものは何をどうしようがどうしようもない。


「つまり、私が提示する条件はこうだ。一つに、人間との戦いが終結するまでの間は吸血姫に危害を加えない。もう一つに、恐らく人間側につくであろうカナモリへは交戦すれど殺傷は禁止。可能な限り無力化する方向で進めること。この二つだ。この二つを守ってさえくれれば、私はBlack Outの力を無制限にお前たちに貸し出す」


座卓を囲み、正座してコア子の話を聞いたフカとGBは、「…ちょっとタイム」と言ってベランダに出た。

作戦会議だ。ただし、感覚器官を介してのそれは全て彼女に筒抜けになるので、テレパシーで行う。


『…改めて、その、謝らせてくれ。何の相談も無しに伊勢居地コア子を家に連れてきてしまって、本当にすまない…』


『何を謝ることがある!私としては寧ろ、こういう嬉しい誤算は大歓迎だ!…ふふ!』


『…!君、もしかして伊勢居地コア子の提案を受け入れる気か…!?』


『当然!Black Outはそれだけ特別だ。味方になるというだけでも十分素晴らしいが…、それ以上にもっと、もっと良い活用方法も思いつく』


『そうか…、そうなのか…』


『あぁ、だから頼むよ』


『…分かった。君が言うならそうしよう』


GBは、Black Outの正体を知っている。

…どこで知ったんだろう?詳細を記した文献は全て禁書として人間が厳重に保管しているのに。

まぁ、年の功なんだろうな。

今はそれで納得して、後で色々と教えてもらおう。

それと、ここでのコア子との交渉はGBの意見に全面的に頼ろう。

そう思いつつ、フカは座卓に戻り、「待たせたね」と謝罪した後、コア子との交渉を再開した。


「結論が出た。君と手を組もう」


「そうか、それは何より」


「…それで、Black Outはもう解放されているのか?見た感じ力に溢れている様子は無いが…」


「あぁ、まだだ。ただ、いつでも出来る」


フカは首を捻る。

一方でGBは「あぁ」と何かを理解した素振りを見せた後、言う。


「解呪の方法を既に見つけているのだな?」


首肯。


「現状、私の力は儀式…、いや、本町家13代目当主の遺骨に残った力、『クラミツハ』によって、ほぼ全てを強制的に遺骨内に譲渡されている。それで、まぁ解呪は簡単だ。遺骨を完全に破壊し、クラミツハをこの世から消し去っちまえばいい」


なるほど、とフカ。


「なら、本町家に部下を向かわせればいいか?」


「いや、その役目は私が担おう」


GBが申し出る。


「我々にとって、Black Outの解放は頼もしい。これ以上ない戦力強化だ。だが、一方で結果的に対吸血姫における最大の障壁を作るデメリットがある。だから、Black Outの解放は出来る限り限定的にしたいし、もっと言えば管理したい」


コア子はすかさず指摘する。


「…そう出来たら良かったのにな。でも、解呪はクラミツハを壊さなきゃ出来ねぇぞ」


が、その断言にGBは返す。


「残念だが伊勢居地コア子よ。私はクラミツハについても十分な知見を持っている。故に、Black Outの解放は、クラミツハに触れたり、手を離したりすることでオンオフが可能だということも知っている」


「…」


「…相手を出し抜こうとするその魂胆はあまりにも正しく、素晴らしいものだ。しかし、私達との協力関係においては止めてもらおうか。ただでさえ大胆なプロジェクトだ。互いの信頼があってこそ、成功に近づける」


「良いな?」とGBは確認する。

コア子は少し考えた後、「…分かった」と了承した。


その後も、三人は情報交換を続け、作戦を立てた。



そして決まった。


クラミツハの回収は、本町家の主力陣が吸血姫討伐に参加し、遺骨が保管されている本町家本家が手薄になったタイミングを狙う。


すると自然に、作戦の決行は、人間の対吸血姫連合が動き出した時となる。


Black Outの解放次第、総兵力を以てハタ・カナモリを除く、全人類への総攻撃を開始する。

攻撃の終了は、対吸血姫連合の一掃、及び主要先進国らの防衛力の完全瓦解の確認を契機とする。

その時点で協力は解消とし、残党狩りは、フカが勝手に行えばいい。


なお、作戦成功のために、コア子はフカへの人間側の動向の情報提供を緊密に行うことを約束する。

また、クラミツハは、作戦終了後もGBが保管し続けるものとする。




「…ごちそうさまでした」


フカは、ぐぅとお腹を鳴らしたコア子に自分の夕食を温め直し、食べさせた後、彼女を帰した。


時刻は0時を回っていた。彼は背伸びしてふぅと一息つくGBにいよいよ尋ねる。


『…なぁ、そろそろ教えてくれないか?Black Outってのは、そんなに頼りになる力なのか?』


『あぁ、そうだな。教えよう。…ただし、口外厳禁だぞ?』


『…え?』


…その日、フカは眠れなかった。

考えが止まらなかった。Black Outのことについて、彼は宇宙的恐怖が止まらなかった。


『過去を改変する力』なんて、本当に蘇らせて良いのか?


人類を滅ぼしても有り余り過ぎる力。伊勢居地コア子は、本当にこの力のことを知っているのか?知っているのだとしたら、何故そんな破滅的な力に頼ろうとしている?


…もしかして、実は何も知らなくて、ただ『世界を滅ぼしうる力』という売り文句だけを信じて危険な賭けをしているだけじゃないのか?だとしたら、その有り様を憐れんでいる僕は、彼女を止めるべきじゃないのか?


「…」


…"彼"は、彼女の現状を知っているのか?

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