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ルッキズム死ね。でも美少女にはなりたい。  作者: :)
第五章『終わるもの』

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結局、社会に所属するってことはそういうことなんだよね

宮内庁一ツ橋事務所は、表向きには宮内庁式部職の地域交流施設となっている。

しかし、実際には侍衛係のメインオフィスであり、雅楽を楽しみに民間人が来たことなど一度もない。


事務所四階。四階建てのオフィスビルなので最上階。中会議室。

MAXで50人まで入れるこの空間に、今は二人しかいない。


「…流石にコア子くんを追跡するのは難しいようだね。梅田での目撃情報以後、完全に行方をくらましている…。恐らくは梅田から移動をしたんだろうけど、それにしても監視網を潜り抜けるのが上手過ぎる。…やっぱり、Station to Station相手に諜報戦で勝つことは不可能か。…とはいえ、大阪からの移動なら目的地は大方予想が着く。後は姿の確認さえできれば…」


局長。…いや、"今回の一件"により現場職へと左遷になったただの寝屋川冬香が話しかけるみたいに呟く。手元にはかつての自分の補佐官から秘密裏に受け取った特別情報局内の資料。

視線の先には…、秦要護。端っこの席に腰を掛け、額に手を当てている。生気が抜けた顔をしている。


寝屋川は秦の傍に歩み寄った後、彼の前に資料を置く。


「…三次情報だけど、コア子くん達の近況が載ってるから…」


しかし、秦は反応しない。ピクリとも動かない。


「あの二人は作戦の参加を拒否したよ。特に凪野くんの抵抗が激しくてね…。内閣府を永田町ごと引っ繰り返す勢いだったから、私と紫野くんで何とか止めてきた…」


「…」


「…だから、その、シンちゃんも参加しなくてもいいんだよ…?確かに要請は出ているが、拒否したからって刑事罰が下る訳ではない。たとえ超法規的に何らかの制裁が下ったとしても、君なら逃げ切れるだろ?だから…」


寝屋川がそこまで言ったところで、秦はようやく口を開いた。


「…馬鹿なことを言うな」


それだけ、言った。寝屋川は暗く沈んだ顔をして、「そうだよね…」と返した。


9月18日午後13時30分、都内S区で観測された非論理的エネルギー量は『Strike On』の顕現を認めるにはあまりにも十分であった。

ただし"彼"はその膨大な力を体内に押し留める術を知らず、結果、肉体から漏れ出た力は東アジア全体を覆う巨大な寒気を形成、地上は極端な速度で寒冷化した。


日本国、及びトート会議参加24カ国は直ちに非政治的事由における存立危機事態を宣言。続けて中国、ロシアなどと言った会議非参加国も宣言を発し、歴史的・民族的・イデオロギー的対立を超えた連携を訴えた。


同日深夜には英仏による特別情報局の支援を目的とした海外派遣が決定。その発表の3時間後に中国、エジプトも海外派遣を約束。


翌19日、特別情報局は総合作戦室を設置し、最高責任者に中尾新局長を使命。御三家、及び複数の民間業者が作戦本部への参加を決定。また、民間人護衛及び救助に係り、自衛隊へ、異例となる事前派遣要請が下った。


民間への報道は、テロリストによる国家への攻撃という触れ込みで行われることが予定されており、X区における『凪野事変』は宣伝に非常に大きな効果をもたらすと期待されている。大阪、京都は避難対象予定地域として指定され、そこに住まう全ての人々が迅速に他県へ疎開出来るよう、早急に準備が行われている。


日本国が被った経済的損失は甚だしく、被害は現下も恐るべき速度で積み重なっている。対策に係り拠出が決定した予算も膨大であり、国内経済は以後十数年と低迷の一途を辿るだろう。


だが、それでも、吸血姫は今、倒さねばならない。


『Strike Onが地上を焼き尽くす前に、あらゆるリソースを投じて完全討伐を遂行する』


ただひたすらにその目的を為すために、国内外問わず膨大な人員と資源は止め処無く動く。残る課題である、『吸血姫の現在地特定』と『住民の避難』が完了し次第、決戦に踏み出せるように。


…そんな中で、ハタ・カナモリよ。


果たして君に「俺は部外者だ」と言う権利があるのかね?


おままごとをした罰だよ。

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