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異世界にて管理人  作者: うまひ餃子
8/18

外出そしてちょっと決意

 たいへんたいへんたいへんたいへんたいへんたい


 これ、男の人は1度は考えたことある筈。

 決してワイが煩悩塗れだから考えるのではない筈。


 



 「さて、今日はみんなで外に出ようと思います」


 「にゃ~」

 「分かりました」

 「ぴぃぴぃ!」


 三者三様の返事である。

 確認だが外は魔物の領域である。

 繰り返すが、外は魔物の領域である。


 青年、偶には外に出ないとな程度の認識である。

 

 「ですが、マスター。範囲内・・・で、これは絶対に守って下さいね?」


 「分かってるよ、カンリ。俺も自分から死にに行くようなことはしないって。と言うか出来ないよ」


 はははと苦笑いする青年。

 事実青年に魔物と相対する度胸など欠片もない。

 では、そんな彼が何故魔物が跋扈する外に出ようとするのか。

 それは何か理由があるのか、将又襲われない、襲われても大丈夫な自信があるのか。

 

 カンリは溜息を一つ。

 苦労人気質な彼女には称賛と労いを贈りたい。


 「にゃ~、にゃ~」

 「ぴぃ!ぴぃぴぃ!」


 ネム助と雛は「僕に任せろ!」と自信満々である。

 雛の方は青年と並ぶ二大戦力外なのだが、何故だか尊大だ。


 青年の方は可愛いなぁと2匹を撫でまくっている。

 2匹とも幸せそうに目を瞑り青年に全てを委ねている。


 「マスター!!聞いてますか!?」


 「あ、うん。聞いてる。聞いてるよ」


 カンリは少し不機嫌。

 青年は何かやっちゃったのかと心配になる。

 正確には彼女に何もやっていないのが原因なのだが、鈍チンは全く気付く気配がない。

 彼女も内心ではマスターに撫でてもらいたいのである。だが、自分からは言いだせない。

 見た目が如何せん少女なので、彼女に対して青年がそう言ったスキンシップを避けているのだが、それが裏目に出ている現状だ。


 「うにゃっ、にゃにゃ~」

 「ぴぃ~、ぴぃぴぃぴぃ」


 2匹もそれが分かっていて、一生懸命青年に伝えようとするのだが、言語の壁が立ちはだかる。


 「ん?どうした?もうお腹が空いたのか?」


 「にゃにゃにゃ!」

 「ぴぴぴ!」


 高速で首を左右に振る2匹。

 彼等も家族の一員であるカンリの為に必死なのだ。

 だが結局、青年には伝わらず2匹はおやつを貰って喜んでいる。勿論カンリもである。

 皆ほっぺたがリスの様にもごもごしているのはご愛敬である


 「うみゃ~」

 「ぴぃ~」

 「もういいです」

 

 カンリは拗ねてしまっている。もちろん青年は理由に気付かない。

 青年が気付くのか、カンリが自らカミングアウトするのか。今の所どちらもなさそうなので一旦この議題は棚上げされることとなる。

 


 それから一同は管理人室を退出し、アパートの出口に立つ。

 自動ドアが開くとその先には草原がその少し先には木々が茂っている。


 「うわ~、やっぱあの森は雰囲気あるなぁ。軍鶏助、森に入っちゃ駄目だよ?」


 「ぴぃ!」


 「分かった!」と雛鳥は素直に従う。

 名前については触れてはいけない「軍鶏」の字面が強そうだったとかそんな理由では決してないのだ。

 多分。恐らく。きっと。



 「ネム助もよろしくな?」


 「うみゃ~」


 長男のネム助に次男の軍鶏助の面倒を一任する。

 この中で一番の戦闘力を持つ長男にお願いしておけば問題ないだろうとの青年の判断だ。


 「よし、今から自由行動~」


 「うにゃっ!」

 「ぴぃ!」


 2匹は草原に向かって駆け出す。

 ネム助は歩幅の短い軍鶏助に焦れたのか背中に乗せ走り回っている。


 「カンリ、俺達はゆっくりしよっか?」


 「はい、マスター」


 レジャーシートを敷きそこに座る青年。

 横に置いた荷物にはお弁当が入っている。

 宛らピクニックの様である。家の目の前だが。


 「マスター、現在建物の周囲に魔物はいないようです」


 「そっか、それなら安心だね」


 この安全はネム助が数日おきに現れる魔物を間引いているからである。

 そしてなぜ、カンリが周囲の様子を確認できるのか、青年は詳しく知らない。

 これもまた、資材置き場に収められた素材を用いて、周辺監視用のカメラを創造し設置しているからである。この監視カメラも条件を満たしたため設置が可能となったのである。因みにカメラの設置などは全てカンリによるものである。

 流れとして説明するならば、ロック解除→青年カンリに丸投げ→カンリが処理といった感じだ。

 青年何もしていない。


 カンリも実行する前に説明したりするのだが、青年自身が「自分には無理!」と建物管理を任せっきりにして碌に聞いていないのである。職務怠慢間違いなしである。


 青年はお茶をペットボトルの蓋程度の大きさの器に注ぎ、カンリに勧める。

 「ありがとうございます」と丁寧にお礼を言いカンリはお茶を口にする。

 この時間は正に平和だった。


 「マスター、住人についてですが、奴隷は如何でしょうか?」

 

 「ブフォッ!」


 和やかな雰囲気をぶち壊す突然の提案に青年は飲んでいたお茶を吹いた。


 「げほっ、げほっ。い、いきなりどうしたの?」


 「はい、このままではマスターは住人探しをなあなあのまま過ごされてしまうと思いましたので僭越ながら意見させて頂きました」


 「うっ」


 青年図星であった。

 だが、現実問題人を呼ぶとなると他国に出向かなければならない。

 そこで移住を呼びかければ何が起こるか。青年でも何となくは分かる。国に目を付けられるのは避けたいのだ。

 それに肝心の建物が魔境にあると説明したところで一笑に付されるのが関の山であるのもまた分かり切ったことであった。

 仮に移住してくれても魔境で金を稼ぐ手段などなく、収入も得られない。

 どうしようもない、と言うのが青年の考えだった。


 

 「一先ず、聴いては頂けませんか?」


 「・・・そうだね。分かった。話してくれ」


 「はい、まず奴隷ですが、この世界では買う際に金銭を求められるだけで、基本出自や目的は詮索されません。これはマスターの面倒事を避けたいとの希望に合致します。それに奴隷ならば、買い主の命令は絶対なので予め契約でマスターの情報が漏れる危険性がかなり低くなります」


 「な、なるほど?」


 青年理解しようと努力はしている。しているのだ。

 カンリは更に説明を続ける。


 「そして、こちらに来てからの収入、家賃に関してですが、契約内容次第で(・・・・・・・)如何様にもなりますのでこちらはご安心下さい」


 詳しい内容は分からないがどうにかなる当てはあるらしい。

 今、詳しい内容を説明した所で青年がちゃんと理解できる筈もないので、彼女は勢いに任せ同意を得ようとしているのだ。かなり強引な手段である。

 それでもこれは彼女なりに青年の事を思っての事なのである。

 現在、青年たちは安心・快適に暮らせているが、このままの状態で強大な魔物が現れた場合、恐らくこの建物は無事では済まない可能性が高い。だから彼女は、住人を増やすことで、様々な機能を得て、防衛設備を充実させたいのだ。


 「マスターどうでしょう?」


 グイグイ押すカンリ。

 その目は本気である。


 「で、でも、奴隷はちょ、ちょっとね」


 青年の感覚は良くも悪くも現代のもの。奴隷と言う言葉に拒否反応は隠せない。

 しかし、そこはマスターと触れ合い、観察を続けて来た彼女である。


 「それについては、奴隷購入の際の契約である程度の設定を施せばいいのです。例えば「マスターに不利益をもたらす言動を禁止する」と言った物を条件に入れて、それ以外を自由にさせておけば一般人と大差ない生活を送らせることも出来ます」


 「お金!お金は!?奴隷を買うお金なんてないよね?」


 青年がこれまで見せたことのない粘りを見せる。

 余程、奴隷が嫌なようだ。


 「それについては問題ありません。ネム助様が討伐した魔物の素材がまだ残っていますのでそれを売ってお金に換えれば良いのです」


 「ぐっ」


 青年は追い詰められてしまった。


 「マスター、確かにマスターが奴隷と言う制度を快く思わないのは理解できます。それが素晴らしい心持なのも重々承知しています。ですが、私たちが生きているのはマスターが元々いらっしゃった世界とは違うのです。意地を張ってネム助様や軍鶏助を危険に晒すのがマスターの本望ですか?」


 きつい言い方である。

 だが、青年の為であるならとカンリは心からの檄を飛ばす。

 いつの間にかネム助と軍鶏助も彼の目の前に戻って来ていた。


 青年はネム助、軍鶏助そしてカンリを見やる。

 この子たちを今のまま守ることは難しい。それなら自分はどうするべきなのか。

 正直、奴隷、いや、この世界の国家と関わり合いになりたくない。

 しかし、そんな自分の我が儘でもし彼等が傷付いてしまったら、取り返しのつかないことになってしまったら。


 覚悟を、決めなきゃ、か


 パンパン!!

 

 全力で頬を叩く。

 青年の頬は赤く染まり、家族たちは突然の事に吃驚している。

 「イテテテ」と青年は目を潤ませる。が、その顔は少しスッキリしたように見えるのは気のせいだろうか


 「カンリ、悪かった。覚悟、決めるよ」


 「マスター・・・ありがとうございます。それでは、私がプランを組みますので、完成次第ご報告させて頂きます」


 「いや、こっちこそ、ありがとな。よろしく頼むよ」


 ネム助と軍鶏助は?が頭の上に浮かんでいる。

 何の話か聞いていなかったのだから仕方ないだろう。


 「よし、ご飯にしよっか!」


 とりあえず一段落したと言う事で青年はお弁当を食べることを提案する。


 「にゃにゃ!?な~う」

 「ぴぃぴぃ!?ぴぃぴぃ」

 「そうですね」


 

 空に輝く太陽は4人の家族を優しく見守るのであった。

 


 

 

 すこぉ~しずつ物語を動かしていければなぁと思います。

 ゆっくりではありますが、良ければお付き合いください。


 さて、どんな奴隷さんを住人にしようかな(´・ω・)?

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