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異世界にて管理人  作者: うまひ餃子
13/18

冒険者になりませう

 展開が急かもしれませんが、

 それでは、どうじょ(/・ω・)/



 ギィィ

 青年は西部劇に出て来る押戸の様な入口を潜り抜ける。

 先ず見えたのが受付で、ずらりとギルド員が並び冒険者達の相手をしている。

 それは宛ら銀行の様であった。


 今は空いている時間帯なのか受付にはそこまで人はいない。

 どちらかと言うと受付の奥の酒場の方が人がいるようにも見える。


 青年は一つ深呼吸をしてから空いている受付に向かう。

 

 「あの、すみません」


 受付をしていたのは男性だった。


 「はい。おや、もしかして初めての方ですか?」


 「は、はい。冒険者登録をしたいのですが」


 いきなりの指摘に少し動揺する青年。

 応対した男性は眼鏡を掛けてそれなりに整った顔立ちをしている。

 美青年や美女と言った部類はある種の雰囲気を持っている。

 青年はその雰囲気に弱いタイプの人間だった。


 「登録ですね?それではこちらの方にご記入をお願いします」


 そう言って差し出された紙に青年は名前、歳を記入する。

 紙に書かれている文字は普通に読めた。と言うより日本語だった。

 青年はそれに何の違和感も抱かずに書き込んで行く。

 そしてその勢いがピタリと止まった。


 「あのぁ、この戦闘方法って言うのは」


 「そこはですね、例えば、剣を使うなら剣士、魔法を使うなら魔法士と言った具合に自身の戦闘スタイルに合ったものをお書きくだされば大丈夫です。それと魔法士の場合は、各自の判断で属性もお書きして頂いております」


 「な、なるほど」


 青年は迷った。自分は確かに魔法を使える。だが素直に魔法士と書いても良いのかと。

 その時、スーツの中に居たネム助が「にゃ」と背中を叩いて来た。

 あ、と何かに思いついた青年はそれを空欄に書き入れる。


 「従魔士っと」


 「従魔士ですか、従魔が見当たらない所を見ると何処かに預けているので「ニャッ(ピィ)!」


 僕たち居るもん!と顔を出す兄弟。


 「あ、居たのですね。これは失礼しました」


 しかし、顔色を一切変えない受付男性。

 ですが、と付け加え言葉を重ねる。


 「基本、建物内への従魔の追随は認められていません。ルーキーとして特別に今回は見逃しますが、次回からギルドに来る際にはギルド横手にある動物小屋か別の場所に従魔を預けた上でお願いします」


 「は、はい!」


 事務的な口調で淡々と注意された青年は返事をして用紙の記入に戻るのであった。

 兄弟は「僕たちのせい?ごめんなさい」としゅんとなって服の中に戻ってしまった。


 そして書き終ると青年は用紙を返却する。


 そこからは冒険者における諸注意がお経の如く続いた。

 依頼の受注から依頼達成までの手順。

 ギルド内での素材の売り方。

 依頼の種類。

 冒険者ランクの制度について。

 到底一回では憶えられない情報量に青年は相槌を打つことしか出来なかった。

 

 「説明の方は以上になります。ご質問は御座いますか?」


 「い、いえ、ありません」


 ないですよね?と言わんばかりの勢いに青年押され気味である。

 ならばと受付男性は話を進める。


 「それでは登録に際しての登録料銀貨3枚頂きますが大丈夫ですか?手持ちがなければ建て替えを行い依頼料から天引きして行きますが」


 「あ、はい、大丈夫です」


 青年は老人に聞いて前以て用意していた銀貨3枚を受付の男性に手渡す。

 異世界に来て初めての支払いである。

 因みにこれはアーデウスからお礼として貰ったお金でまだかなりの額が青年の手元には残っている。

 これは護衛としての働きとマレリーンの相手となってくれている事の二重のお礼であった。

 どちらも青年ではなく、ネム助と軍鶏助の功績であるのは言わぬが花である。


 「はい、確かに。それでは、こちらに手を置いて頂けますか?」


 促された先には台が置かれそこからパイプのようなものが飛び出しその先には電球の様な物が付いている。

 青年は何だろうと思ったがとりあえず言われた通りに台の上に手を置く。

 すると電球部分が点滅し始め次第にその速さが加速して行く。

 そしてピコン!と軽快な機械音と共に電球の点滅が止まる。

 そして台座からカードらしきものが排出され明かりが消える。


 「はい、登録が完了しました。こちらが冒険者の証となるギルドカードになります。紛失した場合は再発行に大銀貨1枚掛かりますのでご注意ください。紛失を繰り返す場合はランクダウン又はギルドからの除名処分が科されますのでくれぐれもお気を付けください」


 かなり厳しいペナルティだな、それぐらい大事な物なんだなぁと思いながら青年は金属製のカードを受け取る。手触りは金属のそれだが、重さは全くと言って良い程感じない。

 

 青年は受付の男性に礼を述べると建物内に併設された素材取引所に向かう。

 青年が近付くと少しだが血の匂いが漂って来た。

 しかし、それほど気になる物でもない。

 受付には人がいなかったので、呼び鈴らしきものをおっかなびっくり鳴らしてみる青年。

 分かる人には分かる緊張の瞬間である。


 「はいよ~」


 と言って出て来たのはごついおっさんだった。

 筋肉質という物を超えた筋肉量を持つ男の威圧感に青年は若干どころかかなり引き気味である。


 「ん?兄ちゃんが呼んだんだよな?」


 マッスル男中々フレンドリーな対応である。

 このおかげで青年は何とか持ち直せたようだ。


 「は、はい。こちらの方で魔物の素材を買って頂けると言う事を聞きましたので」


 「もしかして兄ちゃん新人か?」


 「そ、そうですけど」


 「やっぱりなぁ~」と一人納得する筋肉MANに青年は困惑する。

 そんな青年に気付いた男は「すまんすまん」と会話を再開する。

 

 「いやぁ、新人が来るときは大抵兄ちゃんみたいにビクついてるからよぉ、つい聞いちまったわけだ。なんで皆ビクつくのかは未だに分かんねぇんだけどな?」


 それは皆あなたにビクついてるからです、とは口が裂けても言えない青年。

 

 「俺の名前はエゾってんだ、よろしくな。そいで、兄ちゃんは素材を売りに来てくれたのかい?」


 「あ、自分は黒須と言います。素材を売りに来ました」


 「クロスの兄ちゃんだな。それにしてはブツが見当たらねぇが」


 「あ、今出します」


 (マスターすとっp


 そう言って青年はバッグから既に処理された毛皮を取り出す。カンリの言葉は間に合わなかった。

 

 「なっ!」


 青年が取り出した毛皮それは変哲もないウルフの毛皮であった。

 問題だったのはその数。青年は明らかにバッグの容量とは噛み合わない量の毛皮をバッグから取り出したのである。

 青年はその齟齬に気付いていない。


 「マジックバッグか!」


 「へ?・・・あ」


 一呼吸遅れて自分の失態に気付いた青年。

 だがもう遅い。目の前の男性には見られてしまった。

 しかし、運命の女神は青年に味方する。


 「ああ、わりぃな兄ちゃん。柄にもなく興奮しちまった。許してくれ」


 「え、あ、大丈夫です。それで、このことは」


 「分かってるよ。下手に言い触らしたりはしねぇ。解体屋の意地と誇りに賭けてもだ」


 どうやらこのエゾという人物、気の良いだけでなく、出来た人物でもあったようだ。

 

 「助かります」


 青年はホッと溜息をつく。

 

 「しかし、すでに解体してあんのか。ってすげぇな!!傷らしい傷がねぇ!」


 今度は違う点に興味が移った様である。

 

 「うにゃ」

 「ぴぃぴぃ」


 青年の胸元から顔を出す兄弟。

 どうやら暇すぎて飽きたようである。


 (もう少し待っていて下さい)


 長女のお願いを聞き入れ素直に顔を戻す2匹。

 しっかり者の長女はちゃんと手綱を握っている様である。


 「これならそうだなぁ、全部で大銀貨1枚!どうだ?」


 エゾは青年の方を窺うが青年にはこの世界の物価など知る筈もなくどうしようかと焦っているとそこに助け舟が出される。


 (マスター、その値段で大丈夫です。お売り下さい)


 頼りになる長女は今度はとすかさず助言を送る。


 「あ、お願いします」


 「あいよ!そいじゃあ、ウルフの毛皮確かに頂くぜ。それと丁度毛皮納品の依頼が出てたと思うんだが、兄ちゃんの方はまだ何か他に残ってるか?」


 「えーっと、毛皮で手頃そうなのはっと、これですかね?」


 そう言って青年が取り出したのは巨大な黒猪の毛皮だった。


 「うおっ!!こいつぁもしかしてブラックボアかい!?いやぁ、久々だなぁ。それにしてもここまでの大きさのは初めてだな!」


 エゾは興奮しっぱなしである。

 それもその筈で、ブラックボアは中堅冒険者向けの獲物である。それもパーティ討伐推奨の。当然倒すのにはそれなりの労力を必要とするし、その分残された死骸には傷が無数に付き買取値段は大抵雀の涙程度の微々たるものにしかならないのである。

 しかし、ネム助一撃必殺からの資材置き場行きからの自動解体、そして極め付けは品質の永久的な維持と来て、とんでもない逸品が出来上がってしまったのである。


 青年は特に何もしていないのだが。

 

 「兄ちゃん、アンタ・・いや、やっぱり何でもねぇ」


 エゾ、深く詮索はしない漢である。


 「?? あ、他にもまだありますけどどうしますか?」


 変な所で自重しない青年。

 カンリはもう何も言わない。時既にお寿司。


 「そうか。そいじゃあ、このブラックボアより小さめの毛皮がありゃそれを十程頼む。種類は問わねぇ。依頼については受理から処理まで全部こっちでやっとくからよ、代金は先にまとめて払っとくぞ?」


 「ありがとうございます!」



 その後、無事取引を終えた青年は冒険者ギルドを後にする。

 

 (ではマスター、行きましょうか)


 カンリは何処にとは言わない。 

 しかし、その言葉が指し示す場所は一つしかない。


 「うへえ~、そうだよね~。行くよね~」


 青年達は奴隷商館に向かって歩みを進めるのであった。








 これは青年がギルドを立ち去ってすぐのこと。


 「ひょほほ、おもしろいのう。お主もそう思うじゃろう、エゾよ?」


 「爺さん、頼んますぜ?短い時間だったけどよう、俺はあの兄ちゃんの事気に入ったんだ。強欲共から変なちょっかいでもいれられたら「分かっておるわい!話を聞いておった限り、決して腐った性根でもなさそうだしそこら辺は任せておくが良いわ、ひょっほっほっ」


 「ホントに大丈夫なんかねぇ、はぁ」


 「なんじゃ、儂が信用ならんと言うのか?」


 「そうは言ってねぇだろ、ギルド長(・・・・)


 「うむ、分かればよいのだ」


 小柄な老人はひょっほっほっと笑いながらその場を後にした。


 余談だが、後日、青年の売った毛皮に途轍もない値段が付けられ、その仕入れ先をどうにかして見つけようと商人達が躍起になって探し回ったが結局何処にも露見することは無かった。



 


 

 全然管理人してないですね。(;´д`)トホホ

 こんなではありますが、良ければお読みください。

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