仲良く出来て何よりです。
長くはないですが、どうじょ(/・ω・)/
老人とその孫娘に寄せゲフンゲフンお供して3日目。
偶に現れる魔物をネム助が文字通り瞬殺するので完全にお出かけ気分な青年。
ネム助の異常な戦闘を見た兵士達は内心穏やかではいられないのだが、小さな少女にとっては憧れの気持ちが募るばかり。勿論青年にではない。
「すごい!すごい!ネムスケちゃんすごい!!」
「そうだな。あそこまで魔法を使いこなすとは」
人生経験豊富な老人も素直に称賛の言葉しか出て来ない。
何と言っても敵が目の前に現れるより前に車外に出て、見えない位置にいる魔物を魔法をぶっ放して殲滅するのだから、ぶっ飛ばされる方としては堪ったものではないだろう。
それを為した本猫と言えば相変わらず涼しげな顔なのだから底知れない。
カンリは姿を隠したまま拍手を送り、軍鶏助は安定の居眠りで気付かない。
「にゃ~お」
何事も無かったかのように青年の膝の上に戻り丸くなる長男。
「ありがとな~」と撫でられる姿はとても愛くるしく、先程の無敵艦隊振りとは全く異なるものだった。
「クロス殿、ネムスケ殿の強さは一体」
「えっと、気付いたらああなってたと言うか」
「神様にチートを貰いましたので」と言える筈もなく、言葉を濁す青年。
老人は何かあるのでは?と疑うが、脅威の火の粉を振り払ってもらっている以上厚かましく踏み込むことも躊躇われた。態々関係を悪化させることもないと思い老人は詮索から撤退するのであった。
「まぁ、その話は一先ずとして、クロス殿は街に着いたらどうなされるお積りかな?」
「はい。とりあえず手持ちの素材を売って、それから宿を取ろうかと思ってます」
馬鹿正直に話す青年はやはり危機感が足りないのかもしれない。
カンリは管理人室に戻ったらお説教することを心に決めた。
当然青年は知る由もないのだが。
「そうk「それじゃあうちに泊まりませんか!!」・・・マリー」
「へ?」
「泊まる場所が決まっていないのなら是非うちへ来ませんか?ねっ、良いでしょお爺様?」
街に着いたら護衛と言う名目で一緒に居た青年とは別れることになる。
となれば可愛らしいネム助や軍鶏助とはもう会えなくなってしまう。
少女は本気だった。
「いや、流石にそこまでは申し訳ないですし」
ここではっきりNoと言えないのが青年が日本人たる証かもしれない。
そんな事ではこの世界で上手くいく筈もなく、
「私は構わないですぞ?マリーがこの様に積極的なのも珍しいですしな。クロス殿、もし良ければどうだろう?」
ここで断れば、怪しまれ、老人の顔に泥を塗り、何より少女を悲しませることになる。
青年に選択肢はなかった。
◇◇◇
「すごい・・・」
青年は豪邸に降り立っていた。
テレビのセレブ特集でしか見たことのない様なバカデカい邸宅に圧倒されていた。
これも、老人の生い立ちを知っていれば理解できるのだろうが、当然老人の事など全く知らないのだから仕方のない事であった。それに、こんな豪邸はこの世界に暮らす庶民からしても十分に規格外であった。
「にゃ~」
「ぴぃぴ!」
男兄弟2匹は楽しげだ。
しかし、そこにきらりとハンターの瞳が輝いた。
「にゃっ」
「ぴぃ!」
2匹はあっという間に青年の元へと戻って行く。
「あ~」
勿論マレリーンである。
やはり彼女はまだ諦めていない様である。
「はっはっはっ」
そんな孫娘を老人は笑いながら優しく見つめる。
しかし、狙われる側としては堪ったものではないのだろう。
「ぴぃぴぃ!」
軍鶏助が抗議の声を上げる。
だが青年も少女が悪意を持っていないことは分かるので強く咎めることは出来ない。
なので
「まぁまぁ、落ち着けって。マレリーン様もお前らと触れ合いたいだけなんだからさ」
そう言って宥めるが、自分より大きい生き物、それも気を許していない者に近寄られるのはどうしても軍鶏助は嫌な様で、抗議の鳴き声は止まない。
「申し訳ありませんでしたネムスケちゃん、シャモスケちゃん。私どうしても仲良くなりたくて」
と少女が悲しそうな顔で謝る。
流石にこのままでは気まずいので、青年は2匹に話し掛ける。
「だってさ。お前らと仲良くしたいだけなんだって。少しぐらいお話してみないか?」
少女の表情と青年のお願いもあってか、2匹はゆっくりとマレリーンに歩み寄った。
「え、え?」
「マレリーン様、ゆっくりです。いきなり抱き着いては吃驚しちゃうので、そこら辺気を付けて下さい」
青年のアドバイスに従い彼女は腰を下ろし2匹が足元に来るまで余計な事をしないよう手が出そうになるのを何とか抑える。
ゆったりと2匹は彼女の足元にやって来た。
その目にはまだ警戒の色が残っている。
「あ、あの、私と仲良くしてもらえませんか?」
少女は頑張ってお願いする。
これで、彼女の顔が笑顔ならとても微笑ましい画なのだが、当の彼女は緊張気味で声も震えている。
「にゃにゃ?」
「ぴぃ~ぴぴ!」
2匹は顔を合わせ何か話すと彼女の脚に擦り寄った。
「いいよ」の合図である。
「うわ~」
感無量の少女は喜びが爆発するのを抑え、優しく2匹を撫でる。
ネム助は分からないが、軍鶏助は嬉しそうである。この子やはりチョロい。
周りの空気もだいぶ和やかになったのは気のせいではないだろう。
侍女の中にはこっそり拍手している者もいる。
その日の夕食は大変豪華であった。
そして皆、猫と雛の異常な食欲に吃驚させられていた。
青年は「抑えろよ」とは言っていたが、豪華なお食事を前にして暴食兄弟の前からそんな忠告は消え去っていた。
青年は苦笑いを浮かべることしか出来なかった。
◇◇◇
翌日、青年はとある建物の前に立っていた。
「ここが冒険者ギルドかぁ」
ドンと大きく構えられた建物は決して綺麗ではないが何処となく年季を感じさせ、大きな存在感を見る者に与えていた。
建物の前にいる青年の元には既に酒の匂いが漂って来ており、更にはがやがやとした喧騒も耳に届いて来ている。これらの良く言えば賑やかな、悪く言えば騒々しい雰囲気が小心な青年の歩みをこの場に押し留めている。
「絡まれたりしないかな、何もなければいいんだけどなぁ」
青年はそう望むが、こればっかりは自分ではどうしようもない。
天に祈るばかりである。
「にゃっ!」
「ぴぃぴぃ!」
僕達に任せて!とお気楽兄弟は言っているが青年からすればそう言う問題ではないのである。
(マスター、あまり目立たない様お願いしますね?)
(頑張るけど、あまり期待はしないでくれよ?)
(出来る限り私もサポートはしますので)
(頼むよ)
はぁ、と溜息をついて青年は建物の中へと踏み入って行く。
まるでそれは面接に来た就活生かの様でもあった。
そう、彼のギルド来訪の目的は冒険者登録する事。
つまり異世界版就職活動である。
「ああ、腹痛い」
青年は異世界に来てまで就活する羽名になったのを少しばかり後悔するのであった。
やっぱり小さい子と動物の触れ合いってほんわかしますね。
癒しですなぁ~




