21話〜25話
第21話 フルアーマー課長の通常業務
ガチャガチャガチャガチャ。
今日も課長はフルアーマーでも軽快にキーボードを叩く。
「課長。普段パソコンで何やられてるんですか?」
「ん?いつも、本社からの指示・要望をまとめて天海さんや総務に送ったり、日本支社の経営状況・要望を本社に送るようにまとめたりしてるよ。最近だと、異世界課の状況まとめたりもしてるよ。」
俺よりもちゃんと普通に仕事してる。
「パソコン以外だと、向こうからきたアイテムの管理してるよ。」
「結構あるんですか?異世界のアイテムって?」
「あるよ。向こうは何にも考えずに送ってくるから一室借りて倉庫にしてるよ。」
異世界アイテムが沢山あるのか…。
「よかったら、倉庫見に行く?」
「いいんですか?」
「黒川さん、佐藤くんも倉庫に入れるよう申請しようと思ってたから」
「行きましょう!」
異世界に興味ないはずの黒川さんが鼻息を荒くしている。
「ちょうど探したいものもあったし、早速行こう!」
地獄の扉に触れてしまった気がする…。
第22話 異世界物管理室
地下3階備品室の奥に倉庫はあった。
「危険」「関係者以外立ち入り禁止」「持ち出し厳禁」
中にあるのが普通ではないことを知らせる文字に溢れている。
極めつけは小さな魔法陣…。
「すごい厳重ですね…。」
「そりゃあ、こっちの人が使ったら危ないかもしれないからね。」
それを俺に使ってたのか…。
「向こうの魔法使いが短期ビザで来た時に強力な結界にしてもらったし、この魔法陣に登録せれてない人は開けられないようになってるよ。」
「そんな危険な物ばっかなんですか?」
「どちらかと言うと私も知らない・わからないものが多いね。」
それは危険だ…。
「早速開けて下さい。」
黒川さんはいつの間にか全身防護服を着ている。
黒川さんの安全管理はバッチリだ。
「じゃあ開けるよ…。」
課長が魔法陣に手を当てる。
すると、倉庫の扉がゆっくりと開いた。
第23話 異世界の物たち
倉庫の扉がゆっくりと開く…。
目に飛び込んできたのは…棚に段ボールが、「魔法系」「装備」「呪物」「?」と名前が書かれた状態できっちりと並んでいた。
「?」の箱がやたらと多い…。
「…もっとわけのわからないものがゴチャゴチャしてるのかと思いました。」
「ほら、私がけっこう几帳面じゃない?」
それは知らない…。
見渡すと箱には入らないであろう大きな剣や魔法陣の書かれた台座、見たことのない生き物の剥製がある。後、なぜか奥に大型の冷凍庫がある。
「やっぱり、不思議なものもありますね…。」
剥製に触れようとすると
「触ったら駄目!」
珍しく課長が大声を上げる。
「ビックリした…!」
「それは向こうの魔獣を魔法で封印してるだけだから…。触ってもし封印とけたら私でも勝てないよ…。」
一気に危険物の中にいることを自覚した。
「探すものは決まってるから佐藤くんは今日のところは周りのもの絶対触らないでね。」
「すみません…。わかりました。」
そう話してる横で黒川さんはガンガン箱を開けて中身を弄っていた。
(…何か禍々しい光放ってるの触ってるけど大丈夫かな…。)
「確かここの棚に…。あったあった。はい、佐藤くんにこれをあげるよ。」
差し出されたのは小さな赤い宝石が付いた指輪だった。
「これは?」
「魔力耐性向上の指輪だよ。佐藤くん魔のステータスが0だから、あった方がいいかなって」
「課長…ありがとうございます。」
「これでガンガン向こうの物試せるよ!」
課長の優しさと、本音が同時に見えた。
第24話 一番の危険物
「よし!目的の物は見つかったから部屋に戻ろうか。」
「課長、あの冷凍庫は何入ってるんですか?向こうの食べ物系ですか?」
奥の冷凍庫を指さす。
「そうだよ。向こうから私だけじゃ食べられない量を送ってくるから、すぐいっぱいになっちゃうんだよ。」
田舎のお母さんかな?
「デザート系もあるから今度みんなで食べよう!」
お断りしたい。
「じゃあ外に出るよ。」
外に出ると扉はゆっくりと閉まった。
黒川さんが向こうの異物を両手いっぱいに抱えながら…。
「あっ。黒川さん勝手に持ち出しちゃ駄目だよ!」
「大丈夫です。」
黒川さんの根拠のない自信を聞いて、この人の方が危険だと思った。
第25話 支社長の激励
「バン!」
異世界の扉がノックもなしに開けられた。
「ゲイルくん!いるかい?」
白髪にあごひげ、豪胆という言葉が似合いそうな男が入ってきた。
「天海さん。どうしました?」
この人が支社長らしい。入社式の時と、社内報で知ってはいたが直接会うのははじめてだ。
「やっと異世界課が活動し始めたから激励に来たよ!」
そういうと俺の方にツカツカと近づいてきた。
「君が佐藤くんだね?」
「はい!」
握手をされた。大きな手だ。
「君のおかげで異世界課の業務が進むよ。ありがとう。」
褒められた!
「はい!ありがとうございます!」
「いやー、私が向こうの物使うと、物壊したり、私が体調壊したりで周りが使わせてくれないんだよ…。君のおかげで使っても大丈夫かわかるから助かるよ!はははは」
「…。」
俺の身を案じてくれる人はいない…。
「後、ゲイルくんにちょっと頼みごとあるんだけど」
「なんですか?」
「今度九州に新しく営業所作るから本社に資金援助をお願いしてもらいたいんだ。例のあれで」
「わかりました。九州のお土産渡せば大丈夫だと思いますよ。」
何か闇を感じた。
「それから…」
今度は黒川さんの方に行き、支社長は頭を下げた。
「黒川さん。これからも異世界課をよろしくお願いします。」
「わかりました。」
ええ…?!黒川さんはどういった立場なの??
「それじゃあ、みんな頑張ってくれたまえ!」
支社長は嵐のように去って行った。




