26話〜30話
第26話 色々試そう
「今日は倉庫にあるものを色々試してみよう!」
「…。」
「パチパチパチ」
黒川さんは嬉しそうに手を叩いている。
「試すのは、1つ目私もよく使ってた物、2つ目知ってはいるけど使ったことがない物、3つ目よくわからない物だよ。」
もってくれよ俺の身体…。
1『力の粉塵』
「これは一時的に力のステータスをあげるやつだよ。」
「よくRPGで出てくるやつですね。」
「ここに50kgのバーベルあるから佐藤くん持ち上げてみて」
なぜバーベルがあるのか疑問に思ったが、気にせず持ち上げた。
「…!ギリギリ浮くぐらいですね。」
「じゃあ力の粉塵使うよ。」
粉みたいなのを佐藤の身体に振りかける。
「!すごい!どんどん力がみなぎってきます!」
佐藤はバーベルを片手で持ち上げた!
「余裕で持てます!今なら誰にも負ける気がしません!」
「そうでしょ?昔はこれを使って力任せに戦場で暴れたものだよ…。」
「これなら、こっちでも実用的に…?!」
急に身体がドクドクと脈打ち、筋肉が一気に膨れ上がった。
「パッツーン!」
また、上半身の服が弾け飛んだ…。
「…。」
「これに筋肉増やす効果あったかな?佐藤くんがそういう体質なのかな…。」
「…。」
黒川さんにツンツンと筋肉を触られながら、残り2つが不安になった…。
第27話 知ってるけど使ったことがない物
佐藤の身体はムキムキのまま、2つ目の知ってるけど使ったことがない物を試す。
2『弱体化の杖』
「これは魔力が一定以上ないと使えないから、私は使ったことがないんだよね。」
「黒川さんが使えそうだから使ってみて貰える?」
「仕方ないですね。」
黒川さんは仕方がないと言ってるが、顔はワクワクしている。
「大丈夫なんですか?これ?」
「大丈夫だよ。佐藤くん魔力耐性の指輪着けてるし、一時的に力も上がってるから。…多分」
不安しかない。
「…ブン!」
黒川さんが了承も得ずに佐藤に杖を振る。
「ちょっと!まだ心の準備が!」
佐藤が黒いモヤのようなものに包まれる。
「…?何ともないですね。」
「魔力耐性の指輪がちゃんと機能してるね!」
その時、指輪がプルプルと震えだし、パキンと砕け散った。
「えっ?!」
さらに佐藤の筋肉がみるみるとしぼんでいった。
「…。」
「耐え切れなかったみたいだね…。また、本社に同じの貰えないか申請してみるよ。」
「…。」
3つ目がまだあるのに、佐藤は屈強な肉体と、唯一の防御アイテムを同時に失った。
第28話 よくわからないもの
佐藤が屈強な肉体と、魔力耐性向上の指輪を失ったまま実験…業務は続く
3「目の魔導書」
表紙に目が閉じているような絵が書いてある重厚な本のようなもの。
「これはむこうに昔からあったもので、誰も中身を見たことがないんだよね。」
課長が力任せに本を開こうとするもびくともしない。
「こんな感じ。よくわからないから、こっちで調べてくれって言われてるんだ。」
「なんで危険なものをこっちに送って来るんですか?」
佐藤が上半身裸のまま聞く。
「…さぁ。とりあえず佐藤くんも開けられるか試してみてよ。」
「魔力耐性ないのに大丈夫かな…。」
佐藤が恐る恐る本に触ると、表紙の目がゆっくりと開き佐藤と目が合う。
そして、眩い光を放った。
「うわ!?」
光が落ち着くと本が一人で開いた。
「開いたね…。こっちの人間に反応したのかな?」
課長はなぜか冷静だ。
「どれどれ…?見たことない文字で、書いてある魔法陣も普段とまったく違うね…。」
「どうするんですかこれ?」
「とりあえず、中の内容コピーして本社に送ってみるよ。今日はおつかれさま!」
「…。」
ヤバい封印を解いてしまったんじゃないかと不安になりながら、佐藤は何とか無事(?)にその日を終えた。
後日、例の魔導書は
「パリパリパリ…。」
黒川さんが読めているかは不明だが、たまに読んでいる。ポテチを食べながら。
表紙の目はポテチの油が気になるのか少ししょぼんとしてるように見えた。
第29話 異世界課コラムのその後
「佐藤さん。」
「黒川さん何ですか?」
「向こうの武器で何か面白いものありますか?」
「武器ですか…。じゃあ解呪の曲剣とかどうですか?」
異世界課のコラムも回数が増え、今ではほとんど黒川さんが書いている。
世界観や道具のことを聞かれた時に答えている状態だ。
「いやー社内でコラムの評判いいから、私も鼻が高いよ!」
ほとんどハイファンタジー小説だが…。
「コメントも沢山来てるよ!」
『キングス王国戦記 コメント』
・硬派な戦記で読み応えあり!
・魔族にも事情があるという描写に惹かれた。
・キングス騎士団に滅びの美学を感じる!
・救いがなさすぎるので、たまには日常回も挟んでほしい…。
・我が騎士団の評判が上がった。ありがとう!
最後のどこ目線のコメントだ?
「…。タイトルも変わってるし、向こうの資料にまったくない展開なんですが、これ周知の役に立ってます?」
「…。まぁ本社でも、カッコよく書かれてるから好評みたいだし、大丈夫でしょ?」
あぁ向こうの人も読んでるのか…。
「あっ黒川さん。王様が自分のことはカッコよく書いてって言ってたよ。」
「嫌です。暗君として書きます。」
「…。」
ハイファンタジー小説『キングス王国戦記』絶賛連載中
第30話 心の水晶
「…。」
現在異世界課の部屋には畳(2畳分)が持ち込まれ、そこで黒川さんがよくゴロゴロしてる。
「ちょっと黒川さん…。流石に向こうのアイテムを散らかしっぱなしにしないで下さいよ…。」
黒川さんが畳の上で異世界のアイテムに囲まれ、お菓子とジュースを横に置きながら目の魔導書を読んでる。
「まぁまぁそんな目くじら立てずに仲良くやろうよ。」
「そもそも課長が黒川さんに甘いから、畳まで部屋に敷かれちゃうんですよ!」
珍しく佐藤が怒っていると、黒川さんが丸い水晶を佐藤の目の前に差し出した。
「…なんですか?」
すると水晶の中に異世界課の3人が楽しく談笑している映像が映し出された。
「この映像は?」
「これは心の水晶だね。持ってる人の心で思ったことを映像にして見せてくれるんだよ。今、黒川さんは異世界課が楽しいと思ってくれてるんだね…。」
「黒川さん…。」
少し感動しそうになっているとみるみる内に映像が変わっていった…。
そこには、佐藤が異世界のアイテムでひどい目にあっている映像がダイジェストで流れていた…。
「…とりあえず、今ある向こうのものは没収します!」
「駄目…!」
黒川さんは必死に異世界のアイテムを隠そうとしたが、佐藤に没収された。
佐藤は最近では黒川さんに少し強く出れるようになっていた。




