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犬系メイドさん、ブッ殺す  作者: とがわ
3/18

2:VS『犬』

 深夜、黒塗りの車が3台高速道路を走っている。

 昨日から大型台風が近づいているせいか、車通りは全くない。

 その車列の中心の車にターゲットの大淀俊彰が乗っていた。


「おい、まだつかないのか?」

「は、はい。後2時間ほどはかかるかと・・・」

「ちっ、全く。高本! 何のために高い金を払ってお前達『犬』を雇っていると思ってるんだ! 飛ばせ!」


 ブヨブヨと太った大淀に、お前が女とヤッてたからだろうが、とは死んでも口にできない運転手の高本は次の瞬間驚愕で目を見開いた。

 目の前の車がスリップし横転したからだ。


「3番車!!! 車止めろッッツ!!!」


 トランシーバーに声をかけ、後続車に緊急事態を伝える。

 高本は咄嗟に急ブレーキをかけ、難を逃れた。

 視界がとても悪く、車間距離を普通より広めにとっていたお陰で助かったようだ。

 後続車も無事だ。


「大淀様、ご無事ですか!?」

「くそっ!!! 何が起きている!」

「よかった。車外には絶対に出ないでください!」


 少し身体を打ったが問題ない。

 運転席から目を凝らしてよく見ると、地面に太いワイヤーが張られている。

 それにタイヤが引っ掛かり横転した様だ。


「3番車、地面になにかある。外にでるぞ。慎重にな」

「了解、援護する」


 車外にでたが。台風のせいで動きづらい。

 バシバシと髪や服が肌を叩く。うっとうしい。

 後続車から3人の男が出てきた。

 それぞれ銃や大振りのナイフを所持している。




「1番車の2人は?」

「わからん、確認に行く。宇田、大淀様に付いとけ」

「なんだって?」

「大淀様に付いとけって言ってるんだよ!!」

「了解! くそ、雨がうるせぇ」


 台風のせいで声や音が非常に聞き取りづらい。

 舌打ちをしながら動き出す。

 宇田と呼ばれた男と別れ、少し離れた場所に横転した車に近づく。


「・・・、ちっ。頭打って死んでやがる。佐藤、警戒しろ。残り2人は周りを見に行け!! 怪しい奴がいたら即効殺せ!」

「了解」


 素早く行動を開始する仲間達。

 自身も警戒を最大限にする。


「ッッツ?!!」


 瞬間、どこかから発砲音。

 どこに着弾したかは不明。

 高本と佐藤は驚きの声を上げる。

 とっさに車の裏に隠れる。

 しかしそれきり銃声は止まった。


「おい! どっからだ!」

「多分前方だ! この台風の中で銃声が聞こえた! かなり近いぞ!」


 この強風に暗闇だ。そうそう弾に当たりはしないだろうが、注意をしなくてはいけない。


「宇田! 敵だ! 大淀様を連れて引き返せ!」


 電話をかける。ワンコールで繋がった。

 急いで指示を出すが、宇田からの返答はない。


「宇田!? 聞いてるのか?! ふざけてる場合じゃないぞ!」

「私はユキノです。宇田という方ではありません」


 バッと車の方向に振り向く。

 そこには宇田の首を持つメイドのユキノがいた。

 白髪が風雨でバラバラと暴れているが、残念ながら顔は車のライトで逆光となり見えない。


「2人いるな」

「はい、2人です」


 佐藤に言った言葉を即座に肯定するルナ。

 ちら、と。

 一瞬意識を銃撃があった方向に向ける。


「ッツ!?!」


 目線を戻す。

 目の前にルナが接近していた。

 右手に持ったナイフを振り下ろすルナ。

 反射的に後方に飛び回避。


「佐藤ッ!! 殺るぞ!!」


 しかしまた、佐藤も声を返さなかった。

 額にナイフが2本刺さっていた。

 接近すると同時に投げていたようだ。


 崩れ落ちる佐藤を諦め、目の前の状況に集中する。

 腰に差していた拳銃を抜き、3発連続で発砲。

 身体をずらしながら回避したユキノは滑る様に再接近。

 またユキノがナイフを投げる。

 今度は後方に回避は不可能と判断し、右側に避ける。

 そこに前蹴りがきた。回避先を誘導された。

 両腕でガードするが、ユキノは靴裏に鉄板でも仕込んでいるのか右腕が砕かれ、吹き飛ぶ。

 しぶきを撒き散らしながら転がり距離を取る。

 追撃を仕掛けようとユキノが動く。


 だが複数の発砲音によって止まった。

 周りを警戒しにいった2人が戻ってきたようだ。

 この台風に暗闇だ、牽制以外にはならないが腕を破壊された高本よりは脅威だ。狙いを変更。

 逆に近づいてくるユキノに舌打ちしながら、ナイフに持ち変える『犬』が2人。

 突きだされたナイフを張り手で弾き、バランスを崩した男の腕を掴み、関節を砕く。

 痛みで膝をつく男を殺そうとしたが、横からの蹴りを回避。離れる。


「もう! 女が男に力で勝てるわけないですよ! リオなら多分いけますけどねッ」


 若干の苛立ちを見せながら、文句を言うユキノ。


「時間が勿体無いのでこれで終わらせます」


 大きな胸元に隠していた手榴弾のピンを抜き、『犬』に放り投げる。

 真っ黒に塗装された手榴弾に反応が遅れ、爆発に巻き込まれた。

 手榴弾を改造し殺傷範囲を1メートル以内に限定しているのでユキノは無傷。

 動かなくなった2人から目を離し、高本を探す。


「これで残りはさっきのオジさんと大淀俊彰だけかな?」

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