エウポンという不満
馴染みのない匂いを嗅いだ…。
「エースケ!」
尻餅をつくほどの強さで突き飛ばされたが、臀部に痛みがなかったのは集会場の硬い床ではなく柔らかい砂の上だったからだろう。
既に白い煙幕は存在していないが、エースケの視界は閃光の水晶によって焦点が定まっておらず目の前の光景の全貌を未だ知ることができなかった。
「アルーゼか!?」
名を呼んだ瞬間にエースケの前方から鈍い衝撃音が聞こえる。エースケは突然の異音に反射的に恐竜化を発動すると、予想外にもぼやけていた視界が急速に回復していき不鮮明だった光景をはっきりと目にした。
「は!?」
恐竜化は五感、特に視聴嗅の感覚が大幅に強化され人間を超越した肉体機能を発揮することができる。加えて自然治癒力も上昇するためエースケの視界はクリアになったわけだが
「なにボサッとしてんだよ!」
可愛い金髪ヒロインが上裸の筋肉男と手のひら合わせて力比べの押し合いをしていれば誰だって思考が止まるだろう。しかも同じような図体のやつが後ろに三人もいるんだから、多少の思考停止は許して欲しいってものだ。
「いや、お前なにしてんの?」
「何落ち着いてんだよ!見りゃ分かんだろ!?こいつらいきなり襲ってきやがったんだよ!!」
既に恐竜化しているアルーゼもエースケと同様に視力が回復し、襲ってきた筋肉男と力比べで互角に渡り合えている。
しかしいつまでも力比べするつもりなどなく、アルーゼは左脚を巨大化させ男の腹全体に強烈な膝蹴りを撃ち込み、男は筋肉の鎧を貫く衝撃に白目をむいて気絶した。
「いやお前なにしてんの!?」
「あ!?正当防衛だろ!」
見知らぬ土地の見知らぬ人間に躊躇なく膝蹴りを入れるアルーゼのわんぱくっぷりに驚きを隠しきれていないエースケと筋肉男三人。そんな張り詰める空気の中、今度はアルーゼの足元にあった水晶が光を放ち始める。
「うおっ」
アルーゼは後ろへ大きく跳んでエースケの横に立つ。閃光をくらった経験から反射的に下がってしまい、それが転移の水晶だと気づいた時にはすでに遅い。ビビットカラーのカラフル派手派手デザインに身を包んだ元凶が転移してきてしまった。
「………」
白い砂、雲一つない快晴。馴染みのない匂いの正体はエースケたちの後方に広がっている青い海の潮の香りだった。そんな、リゾート地と言われても過言ではない美しい景観を邪魔するように、奇抜な少女が一人転移してきた。
「……!やばい!!」
アルーゼは転移の水晶がモナに破壊される可能性に声を上げた。破壊されれば帰る道を失うのは一目瞭然。しかし、止めたくてもモナまで距離があるため今更取り上げることは不可能に近い。
「ちっ!」
初対面の男に腹蹴りするのは躊躇しないが、元凶とはいえ幼い少女に手をあげるのはさすがのアルーゼも躊躇した。それでも転移の水晶を破壊されることを傍観するつもりはなく、アルーゼは右腕を巨大化させモナを止めようとする。
一方エースケもアルーゼとほぼ同時にモナの元へ走り出していた。速度は上々、二人はなんとしてもモナを止めようとしたが
『モナ様!』
筋肉男三人も既に行動していた。筋肉男Aが恐竜化するとアルーゼと同じく腕を巨大化させ、左手でエースケを握りしめて右手拳でアルーゼの攻撃を受け止めた。
「ぐぁっ!!」
「んだと!!」
筋肉男Bはモナを抱きかかえ、筋肉男Cはモナの
「壊せ」
という命令に「はっ」と渾身の力を込めて拳を転移の水晶へ落とした。筋肉男Bは闘う素振りを見せずそのままモナを抱えて走り去ろうとしている。筋肉男Bの目線の先は鬱蒼とした森が広がっており、ルゼアチノのジャングルほどではないが今逃げられれば間違いなく見失う。
バリンッ!!
その絶望の音をエースケとアルーゼは確かに聞き、息が止まるほどの焦燥感と絶望感に二人は足の力が抜けるのを感じた。
モナが水晶を破壊させたのは勿論道を断つことが目的だったが、エースケたちの帰る方法を無くすというよりは一人の男を此方へ来させないことが本命であった。
「ぐぁぁぁぁっっ!!!!」
筋肉男Aの巨大化した左手に捕まり、握りしめられ拘束されているエースケの声ではない苦悶の叫び。その場に無力に倒れた筋肉男Cを見て、モナは「ちっ」と不快げに舌打ちをした。
「おい、なにしてんだよノロマ!その汚ねぇ体でいつまでモナのこと触ってんだよ、あ??」
「しかし」
「口答えしてんじゃねぇよ!死ね!あと、さっさと今すぐ『戦士』呼べ!!早くやれグズがっ!!」
罵声を浴びる筋肉男Bはモナを降ろすと、腰にぶら下げていた細長い笛を吹いた。増援を求める甲高い音が瞬く間に広範囲へと響いていく。
「うっせぇんだよ!!死ね!!」
顔中ピアスまみれの少女は中指を立てて理不尽に筋肉男Bの脛を蹴った。
「おい!なんであいつ倒れたんだ!?」
アルーゼは巨大化させた腕を縮小させながら様子を伺っていた。筋肉男Aが巨大化、すなわち竜脚類の能力を持っていたことや筋肉男Cが突然倒れたことなど「情報過多!」と叫んだ。
「アルーゼさんっ!?俺の心配はぁ!?」
巨大な左手に握り潰されそうなエースケが叫んだ瞬間、割れ砕けた水晶から放たれた青白い電流が筋肉男Aに伝わった。
「ぐぁぁぁっっっ!!!!」
「だぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!」
全身を駆け巡る電撃にエースケも巻き込まれ、人生初感電体験に絶叫した。
「エースケ!?お前、骨が見えたり消えたりしてるぞ!!」
「だぁぁぁぁぁああああ!!!!!」
「エースケェェ!!!」
感電タイムはほんの数秒だったが二人はその場にぶっ倒れ、エースケはピクピク痙攣している。その光景を見ていたモナは
「おい!!なんでまだ来ねぇんだよ!!クソグズどもがよぉ!」
何度も筋肉男Bの脛を蹴りながら怒りを爆発させていた。しかしその怒りの叫びを断ち切るように、割れ砕けた水晶から電流が放出されモナはもう一度舌打ちをした。
転移の水晶は二つで一ペア。片方が破壊されれば片方も自壊し使用不可能になる。筋肉男Cが水晶を破壊した時点でラプトル騎士団団長ロキは集会場で水晶に触れて消失していた。転移中に水晶が破壊された場合、片方どちらかの場所に押し出される。つまり集会場に戻る可能性もあったが、雷刃ロキはエースケたちの元へと転移した。
「いやいや!お前まで来てどうすんだよ!」
帯電によって青髪が逆立った騎士は目を開き周囲を見渡した。足元に倒れた筋肉質の男が二人、倒れたエースケと元気なアルーゼ。場所は不明、眼前には元凶である少女と屈強な男が一人。
「なぜ彼は倒れている」
「電気の正体お前か!?うちのエースケ感電させて情けねぇ姿にしたのはお前か!!」
魚みたいにピクピク痙攣しているエースケの姿は確かに情けなかった。可哀想より面白いが勝ってしまうエースケにぶっちゃけアルーゼもそんな心配はしていない。
「…なさけ……ない…って、おまえ…なぁ」
「あ、起きた」
「そうか」
「いや起きたからチャラにはならねぇよ!?心配して!?感電だよ?感・電。騎士様が一般人巻き込んで良いぃんでぇすかぁ??」
「うわうるさ」
起きたら起きたでダルいエースケを完全に無視して、ロキはモナへ視線を向けた。筋肉男Bがモナを守るように構えたが、モナは不敵な笑みを浮かべて中指を立てた。
「さっさと死ね、ゴミども」
モナの罵声が合図になったかのように後方の森から樹々をかき分けて大型獣脚類が現れる。距離は百メートル以上も離れているがその巨体は楽に理解でき、真っ直ぐエースケたちの元へとソレは全速力で向かってきた。
ギァャォガグァォアォォオオガァァ!!!!
「おいおいおいおい!いきなりの登場すぎねぇか!?」
エースケは急いで立ち上がり「どうするどうする」とパニックになっているが、ロキとアルーゼは冷静にソレを見ていた。
「他にもなんかいんな。仲間よんだのか?」
突っ走る獣脚類に容易く並走しているのは筋肉男Bが笛でよんだ追加の筋肉男たち。
「十一人だ」
即座に人数を特定したロキにアルーゼは少し悔しそうに「わぁってるよ」と返した。
「ちなみにあれはタルボサウルスだからな?」
まるでやり返しのように、現れた獣脚類を言い当てるアルーゼに
「あぁ」
と大人なロキは冷静に返事したが、アルーゼは冷静沈着なロキの反応が自分を下に見られているような気がして、タルボサウルスにビシッと指をさした。
「タルボは私に任せろ!アイツは私がちゃちゃっとぶっ倒すからな!お前は手ぇ出すなよ?いいな?」
ロキはアルーゼたちの実力をその目で見ていないものの、ゼアル打倒の実績からも少なからず不安ではなかった。しかしロキからすればアルーゼたちは一般人。ゼアルの娘であろうと転移者であろうと状況を理由に参戦させることに乗り気ではない。
「一人は駄目だ。注意を引いたら俺が無力化させる。なにより本命はあの少女だ。男たちを倒すより彼女を拘束するために動け」
命令形にアルーゼの表情がムスッとしたのをエースケはしっかり見てしまった。
「(その言い方はまずい…)」
その直後、アルーゼはロキの言葉ガン無視で走り出した。
「おい!」
「なにが、一人は駄目だ。だ!お前私が女だからって舐めてんだろ!タルボはぶっ倒す!男たちもぶっ倒す!そんでもって、あのピアスっ子も捕まえる!それでいいだろ!」
エースケは深いため息をついて、ロキはアルーゼあまりの自分勝手さに唖然としている。
「なんか……ごめんな」
「…信じられん」
「はぁぁ。久しぶりだわ、この感覚」
エースケも久々のアルーゼ節に振り回される感覚を思い出し、当の本人は両腕を巨大化させ意気揚々と「タルボォォ!」と叫んでいる。
「……エースケといったな」
「おう」
「俺はあの少女を拘束するために動く。彼女は君に任せた」
「…なるべく善処するぜ」
ロキはアルーゼの管理を一旦丸投げし、保護者役を任せられたエースケはやる気MAXで突っ込んでいくアルーゼに「ほんと久しぶりだわこの感覚」と呟いた。
「雷馬」
腰に下げられた剣から青白い電流が放たれ、瞬く間にロキの肉体が帯電する。青髪が逆立ち、肌をピリピリと刺激する電流にロキは平然としているが、エースケの心は決して穏やかではなかった。
「…電気属性…だと」
秘めたる厨二心をくすぐるロキの姿にエースケの感情は高まっていく。数えきれないほどの漫画とアニメを見ることで養われたエースケの厨二病。しかし異世界転移してそれを発揮できると思いきや、転移したのは巨乳エルフも獣耳ボクっ娘もいなけりゃ肝心の魔法も存在しない恐竜界というリザードマンだらけの世界。
強靭な肉体や超人的な身体能力にはゾクゾクしたものの、エースケ的には未だ不完全燃焼だった。故にロキの姿には、電気を操るなんて能力にトキメキを感じないはずがない。
「……俺もっ!あんな能力が欲しかった…ッ!!」
自分に宿るエウストレプトスポンディルス・オクソニエンシスという訳の分からん恐竜の能力よりも断然ロキの方が良いに決まってる。
隣の芝生は青く見えるなんて言うが、見えるどころか実際青い。自分の土地は訳の分からん名前の長い植物が生えてしまっているし、エースケが人生でこれほど羨ましいと思ったことはなかった。
「先に行くぞ」
刹那、消えたと錯覚してしまうほどの速度でロキはアルーゼの後を追った。エースケも自分の速さには自信があったが、それを遥かに凌駕するまさに雷の如し閃光の速度でロキは一瞬にしてモナの元へ到達した。
「…嘘だろ」
完全にエウポンの上位互換。エースケはエウポンの惨めさに言葉を失い、膝をついた。
「スキルチェンジプリィィィィズ!!!!!!」
エースケの叫び虚しく、戦況はロキの登場によって大きく傾いた。先を走っていたアルーゼを容易く抜き去ったロキはモナを間合いに捉え、筋肉男Bがなんとか立ち塞がっているが
「雷鎚」
ロキは高速度で接近した勢いを乗せて、騎士らしからぬボディブローを筋肉男Bに打ち込んだ。ロキ自体に破壊的な力を持つ筋肉はないため、打ったパンチに筋肉男Bを一撃でノックアウトできるほどの力は込められていない。
「ッ…!」
筋肉男Bが腹に感じたのは熱だった。そして弾けるような痛み。打撃の一点的な衝撃とは違う、全身を走り抜ける痛みに筋肉男Bは表情を歪ませた。ロキの拳が届けたのは内臓を破壊する威力ではなく、意識を破壊する青白い電撃。
帯電した拳に筋肉男Bはまるで雷に撃たれたかのように倒れ、ロキとモナの視線が交差する。
「使えねぇゴミクズが!!死ねよ!」
ロキを目の前にしても尚、何の役にも立たなかった筋肉男Bに罵声をぶつけているモナ。戦力差は圧倒的だというのにロキへの抵抗ではなく筋肉男Bを踏みつけることに熱心になっている。
「クソが!クソが!クソが!クソが!」
雷馬の加速状態でモナに電撃を与えれば、勢いの衝撃と電圧によっては最悪死ぬ可能性がある。ティルル急襲の実行犯と言えど、少女は少女。ロキは雷馬を解除し、拳に纏った電流を弱めた。
ガァァァァァァ!!!!
「!?」
爆音の咆哮の主であるタルボサウルスと十一人の筋肉男たちはアルーゼとエースケに一応任せているため、突然の咆哮に何か起きたのではないかとロキの視線はモナからタルボサウルスへと逸れた。
「バーーカ!!」
モナはその一瞬の隙を筋肉男Bを踏みつけていても見逃さなかった。カラフルビビットカラーのポケットからビー玉サイズの小さな水晶を取り出して乱雑に投げると、ティルルの時同様に小さな水晶球は眩い閃光を放つ。
一方のロキは腕で目を守り、閃光の影響を完全に遮断していた。モナの水晶攻撃は完全に想定内。想定外だったのはアルーゼがぶっ倒すと豪語していたタルボサウルスが咆哮から僅か数秒で、目前にまで迫っていたことだった。
「あ、やべ!」
取り逃したタルボサウルスにアルーゼが声を上げたがもう遅い。アルーゼは筋肉男達に囲まれて身動きが取れず、エースケに関しては「スキルチェンジプリィィィィズ!!!!!!」と未だ叫んでいた。
サポートを頼んだはずのエースケが何もしていない事実にロキは言葉を失い、アルーゼはしつこい筋肉男たちに両腕を巨大化させながら応戦している。
「おいアホエースケ!!早く手伝えっ!」
アルーゼを取り囲む筋肉男は計八人。二人がエースケの元へと走り、一人はタルボサウルスを追っている。
「ビリビリ!そのタルボ何か変だぞ!」
数分前、タルボぶっ倒す宣言をし意気揚々と突っ走っていたアルーゼは、先制アッパーをタルボの顎に打ち込んでいる。確実な手応えに一撃勝利を確信したアルーゼだったが、タルボサウルスは倒れることなく頭を振り落とし反撃してきた。
「まじか!」
全力のアッパーに怯みもせず、もはやダメージすら感じさせないタフさに驚きを隠せていない。叩き潰そうとする巨大な頭部をかわし、二発目を打とうとしたが、筋肉男達が傍観するはずもなく、次々とアルーゼに四方八方から飛び掛かってくる。タルボサウルスはアルーゼからロキに標的を変え、ロキは僅かな一瞬でモナかタルボかの選択に迫られた。
「早く殺せ!グズトカゲ!!」
ロキを殺そうと開かれた口はまさに死への入り口。アルーゼのアッパーによって何本か牙が折れていたが、それでも食い殺されるには十分すぎる。
「は!?」
しかしロキはタルボへの応戦ではなくモナ確保を優先した。電圧を弱めてもロキの手はモナを気絶させるには十分に帯電している。直接触れずとも感電させてしまえば無力化は一瞬、ロキからすればどちらを優先しようと対応できる。
「この状況でモナのこと選ぶとか!きめぇな!このクソロリコン野郎がよぉ!!」
その場にユタがいれば「ロキは逆逆、お姉ちゃん大好き野郎だよ」と訂正しているだろうが、ロキは罵声を無視してモナへと手を伸ばす。
「クソがぁぁ!!……カハッ…!」
拳に纏う電流はロキの読み通り、モナに触れずとも顔に幾つも付けられたピアスに伝導し、モナは筋肉男Bと同様に感電によってその場に倒れた。
残るはタルボサウルスとその後ろにいる筋肉男一人。アルーゼの言った「何か変」という違和感と筋肉男が背負っている一際巨大な水晶球にロキは少し眉間に皺を寄せた。
一方のエースケは筋肉男二人からの攻撃寸前まで「スキルチェンジプリィィィィズ!!!!!!」と叫び続けていた。左右に分かれ、ほぼ同時にエースケを挟み込む形で急接近した筋肉男二人の拳の軌道にはエースケの顔面がある。
容赦なく振られた二つの拳は確かにエースケの顔面を捉えていたが、殴ったのは互いの拳だった。骨の砕ける音。本来はエースケの顔面が奏でるはずの破壊音を自分の拳が奏でたのだから、筋肉男二人は表情を歪ませ絶叫した。
「ったくよ、人が自分の能力に落胆してる時に攻撃してくるなんて、どぉんな教育受けてんだ!」
右拳を抑える筋肉男二人に指を指すエースケは驚異的な反射神経で二人からの攻撃をかわしたわけだが
「あいつはもっと速いぞエウポン!」
と恐竜化した両足に語りかけている。よほどロキの雷属性が羨ましいのか、エウポンの能力に全く納得していない。
「殺してやる」
「おい、Dr.は殺すなと」
「一人殺しても問題ないだろ」
まんまとやられた筋肉男が恐竜化しながら怒りを露わにしている。もう片方も静止しつつ恐竜化しているため、エースケも脚部のみだった恐竜化を全身に広げていく。
徐々に恐竜化していく中、少し両腕を上げると
「これからアンタらにすること全部、ただの八つ当たりだから」
筋肉男二人を睨み、脅すように宣言した。筋肉男二人はエースケの戦意に身構えたが
「はぁぁ。このセリフも電気が無いと雰囲気でねぇなぁぁ」
大きくため息をついて肩を落とした。
「何言ってんだこいつ」
「知るかよ」
「分かんねぇだろうな!お前らみたいな脳筋に俺のロマンが分かってたまるかよ!!不本意とは言え一応異世界転移したんだぞ!?あるだろ魔法!普通あるよな!?成り上がりとか!最強チートとか!」
「………」
「………」
「なのになんだよエウポンて!物理すぎだろ!魔法要素一切無いよ!変身魔法?ざけんなよ!?誰がリザードマンになりてぇよ!全員能力が等しく脳筋だよ!!」
「………」
「………」
「今更言うの遅いって!?分かってるよ!大分時間過ぎたよ!もうエウポン体に馴染んだよ!!だから受け入れてたし?水晶が魔法みたいなもんかって割り切ってたよ!」
「………」
「………」
「なのになんだよあいつの能力!魔法じゃん!完っ全に最強能力じゃん!!ありましたー!異世界要素やっと見つけましたぁ!!」
「………」
「………」
「ずるい!ずるいずるいずるいずるい!!俺もあーゆーのが欲しぃぃ!!もう一度叫ぼうか!?いや何度でも叫んでやる!さぁ皆様ご唱和ください!!」
エースケは思い切り息を吸い込み
「スキルチェンジプリィィィィズ!!!!!!」
不満を大いに爆発させた。




