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戦闘ネズミ王

その声は、どこか懐かしく、それでいてどこかよそよそしい。警戒しながら、声のした方へと視線を向けた。


そこにいたのは、全身が銀白に輝く小さなネズミだった。その毛並みは、わざわざ品種改良されたファンシーラットよりも美しく、実験用の白ネズミよりも一回り大きい。むしろ、丸々とした体つきのせいで、遠目にはころころと転がる小さな銀貨のようにも見える。毛はふさふさと密で、いや、もしかしてモルモット……? だが、フライドポテトのように太い尾が、それがやはりただのネズミではないことを物語っていた。


その白いネズミは、不思議と知性を感じさせる瞳を持ち、じっと六日を見つめている。喋ることよりも、なぜここにネズミがいるのかの方が気になった。六日はしゃがみ込み、問いかける。「手伝うって、どういう意味?それに、どうしてここにいるの?」

大きめとはいえ、ネズミは見上げるようにして答えた。「そのままの意味ですよ。それと、私はずっと前からここにいますから。昔はもっと大きかったのですが、ここ数年で小さくなってきたんです。」


小さな前足をこすり合わせ、胸元の毛を整える様子は、まるでネクタイを直す紳士のようだった。疑問だらけの六日をちらりと見て、「ああ、この子はあまり賢くないようですな」とでも言いたげな目をする。「この身体の持ち主、見つけてやりますよ。」

六日ははっと息をのんだ。まさか......「本当なの?」

ネズミは両手を広げ、まるでチーズを盗んでいないと弁明するかのように肩をすくめた。「もちろんさ。嘘をつく理由もありません。」


そう言うや否や、まるで登山でもするかのように、勝手に六日の足をよじ登り始めた。突然のもふもふに驚いて、六日は思わず体を震わせる。危うく振り落としそうになる。「うわっ!」必死に服の裾を掴みながら、ネズミが不満そうに声を上げた。


意図を察した六日は、そっとネズミを掴み、自分の肩へと乗せる。しかし、それでも満足しない様子で、まるで登山用ロープでも引くかのように髪を引っ張り、さらに上へ行こうとする。仕方なく頭の上に乗せると、ネズミは途端に得意げになった。どうやら人より高い場所が好きらしい。


頭の重みを感じながら、六日は少しうつむき、つい口にする。「そこまで上に行かなくてもいいでしょ……」


「高いところに登れば、遠くまで見えるってやつですよ。わかりますか?」得意満面なその様子に、六日はふと、ある人物のことを思い出した。まさか、そんな偶然……?


ネズミはさらに彼女の髪を引っ張り、まるで有名なアニメ映画のように六日を操ろうとする。「そんなことしても、私の動きがあんたと同じになるわけじゃないから!」六日は思わず苦笑した。


「じゃあ、ここから南南東へ向かいます――」六日の言葉を無視して、小さな白ネズミは彼女の髪を掴み、自分の示す方向へと進ませた。

「それ、鬼⚪の刃じゃない?」六日は思わず笑いながらツッコミを入れる。


しばらく歩いたあと、六日はたまらず口を開いた。「本当にこの方向で合ってるの?」

ネズミはきっぱりと言い切る。「もちろんです。わざわざあなたを騙す理由が......ああ、ここは注意した方がいいですよ。」


六日が怪訝に思いながら次の一歩を踏み出した瞬間、二人はそのまま一気に下へと落ちていった。ネズミは危うく振り落とされそうになる。


急速に落下しながら、六日は慌てて叫ぶ。「なんで先に言わないのよ――!?」


「忘れていました――」

「ええええ――!?」


落下の途中で、先ほど夢の中に沈んだときのように、ふわりと浮かび上がる。まるで水中にいるかのように体勢を保ち、すぐに動きのリズムを掴んだ。


「どうやら、この身体の持ち主に、だいぶ近づいているようだな。」

「え?」ネズミの視線の先を追うと、そこにはぼんやりと揺らめく光があった。その中に、かすかに人影が浮かんでいる。


黒い髪に、ぼろぼろの服。性別すら判別できない、どこか異様な雰囲気をまとった子どもだった。



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