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魔法で遊んでいた世間知らずな田舎者、都会に出たら怪物扱いされました  作者: 鳥助


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60.楽しい料理な休日(1)

「ユフィ、ちょっと来て」


 今日の授業が終わると、ヘレナ先生が笑顔で手招きをした。


「どうしたんですか?」


「今日は授業、手伝ってくれてありがとね」


「いえ、楽しかったので大丈夫です。それに、先生が知らないことを教えてくださって、とても有意義でした」


「その言葉を待っていたのよっ!」


 突然、叫んで拳を握りしめた。体を震わせて喜んでいるみたいだけど……一体、どうしたんだろうか?


「……良かった。まだ、ユフィの先生でいられるわ」


「先生は先生なのではないですか?」


「色々とね、あるのよ、これが。あっ、それでね。ユフィに渡すものがあって。これ、読んでみて」


「本、ですか!?」


 笑顔で差し出してきたのは二冊の本だった。私はそれを喜んで受け取った。


「こっちが材料の本。そっちが料理の本よ」


「へー、そんな本があるんですね! 知りませんでした!」


「都会では様々な用途に分かれた本があるのよ。これは、今後の野外活動で活躍すると思うの。話を聞くと、ユフィちゃんは田舎暮らしで、料理にレパートリーがないって気づいたのよ。それで、この本で勉強をしてレパートリーが増やせればユフィちゃんのためになるんじゃないかと思って」


「そ、そこまで考えてくださったんですね。感激です」


 都会に出てきてから、料理に関しては驚くことばかりだった。知らない材料、知らない味、知らない調理法。たくさんの知らないに触れられてとても楽しかった。


 だから、この本を読めば、もっと知ることが出来る。それがとても嬉しかった。


「あっ、お金、払いますね」


「あっ、いいのよ! これは授業を手伝ってくれたお礼だから」


「で、でも……私は特待生で学園のために何か働かなくてはいけないのではないですか?」


「それは、今回のと関係ないから。遠慮なく受け取って頂戴」


 ニコリと笑って、そう言ってくれた。良いことをすれば、良いことが返ってくる。田舎では体験出来なかったことが、ここでは体験出来る。それが、とても嬉しかった。


 その本を眺めていると、付箋が付けられたところがあった。


「えっと、この付箋はなんですか?」


「それは野外活動で支給される材料とおすすめの料理をピックアップしてみたわ。だから、授業のことを考えてくれるなら、最初はそこを勉強してみて」


「わー、そんなところまで! ありがとうございます! 絶対に活用します!」


「喜んでもらえて良かったわ。じゃあ、また来週もよろしくね」


 頭を下げてお礼を言うと、ヘレナ先生は満足したように離れていった。それを見送ると、私は本を眺めた。田舎の家には魔法の本しかなかった。だから、魔法以外の本を読むのは教科書以外初めてだ。


 この本にはどんなものが載っているんだろうか? 考えるだけで楽しみだ。その時、後ろからロゼリア様の声が聞こえた。


「何か、楽しそうな声が聞こえたけれど?」


「えっと、食材と料理の本をいただきました。野外活動でも活躍するような物が載っているから、ぜひ活用して欲しいって言ってました」


「えー! ユフィちゃんだけずるい! 私も知りたい!」


「……それは気になるな」


 ミレイ様もアルフレド様も興味津々とこちらを見てきた。だけど、本は一冊ずつしかない。どうすれば、みんなと分けることが出来るのだろうか。


「そうだわ。明日から休日だし、四人で集まって料理の勉強会をしない?」


「四人で集まってですか?」


「みんな意欲的だし、丁度いいと思うの。一応これでも私たちは上位五人の中に入っているから、生徒の模範になるように普通よりも出来ていた方がいいと思うの」


 ロザリア様はとてもまじめだ。ちゃんと自分の立ち位置を考えて、維持をしようと努力をしている。そんなロザリア様を見ていると、背筋が伸びる思いだ。


「それ、いいね! みんなで考えて、一緒に勉強するの、やってみたかったんだ!」


「ふぅ、これは遊びじゃないぞ。だが、休日にはピッタリな勉強方法だと思う」


「ユフィはどう? 一緒に料理を作らない?」


「はい、ぜひお願いします! 休日まで一緒だなんて、嬉しいです!」


 こうして私たちは休日に集まり、一緒に料理の勉強会を開くことになった。誰かと料理をするなんて久しぶりだ……。自然と胸が高鳴り、その日の夜は中々寝付けなかった。


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