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魔法で遊んでいた世間知らずな田舎者、都会に出たら怪物扱いされました  作者: 鳥助


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6.筆記試験(1)

「わ、わぁ……たくさんの人……」


 私は王城の目の前で立ちすくんでいた。目の前には数えきれないほどの同じ年の少年少女がいる。


 こ、こんなに受験する人がいるの? っていうか、こんなに同世代の人がいるなんて知らなかった。


 その光景に呆然としていると、後ろから来た人にぶつかられて、よろめいた。


「突っ立ってると危ないよ」


「す、すいません!」


 慌てて避けようとすると、また後ろから人が来る。それも避けようとすると、またまた後ろから人が来る。


 こ、これ……どうやって避けたらいいの!? 右!? 左!? それとも、上っ!?


 どうしていいか分からなくなっていると――グイッと手を引かれた。


「もう、危なっかしいわね」


「あっ……ロゼリア様!」


 手を引かれた方を見て見ると、そこには呆れ顔のロゼリア様がいた。そして、私の手を引いて王城の方に歩き出した。


「ほら、こうしていれば人にぶつからないでしょ?」


「ほ、本当です! 人にぶつかりません! どうしてですか!? 魔法ですか!?」


「こんなのが魔法なわけないでしょ。普通よ普通」


 都会の普通……難しい! ロゼリア様はこんなに簡単に振舞っているのに、それはやっぱりロゼリア様が凄いんだ。


 ロゼリア様に手を引かれて歩いて行くと、王城が近づいてくる。見上げるほどに大きくて、近づくだけで怖くなってくる。


「手が震えているけれど、試験が怖い?」


「あっ、いえ……怖いのは王城でして。こんなに大きな建物に入るのが怖くて、もし崩れたらどうしようって……」


「……ぷっ、何それ。そんな突拍子もない事、考えていたの? 試験前なのに緊張してないのね、意外」


 噴き出して笑ったロゼリア様。あっ、なんかこれ……友達みたい。そう思うと、心が穏やかになってくる。


 はっ! いやいや! ロゼリア様はお貴族様! 身分差があるから、そんな失礼なことを考えちゃだめだ!


「今度は困惑した顔になってる……。全く、試験前に何を考えているの?」


「あっ、そのっ、ロゼリサ様に失礼だなってことを考えていました!」


「何それ、気になるわね。教えなさいよ」


「はっ! それはですね、いや、でも……あ、あははっ」


 笑ってごまかそうとすると、ロゼリア様がジト目で見つめてきた。そ、そんな目で見つめられても、言えないものは言えないよ!


「あっ、着いたわね」


「あっ、えっ……えぇっ?」


 ハッと我に返ると、そこは広い廊下だった。わ、私……いつの間にここに移動していたの!? こ、これはロゼリア様の魔法!?


「ユフィのお陰で試験前の緊張が和らいだみたい。一緒にいてくれてありがとう」


「あっ、いえっ、ど、どういたしまして」


「一緒にいるのはここまでね。ごめんね、私も余裕がないから。お互いに頑張りましょう」


「あっ、わ、私はどこに行けばいいですか?」


「受験番号ごとに部屋が違うから、自分の受験番号の部屋を見つければいいわよ。それじゃあ」


「あ、ありがとうございました!」


 そう言って、ロゼリア様は教室の中に消えていった。私もこうしてはいられない、自分の教室を見つけなければいけない。


 廊下を歩き、教室の札を見ながら歩いて行く。ゆっくり歩いていたら、後ろから来た人たちに押されてしまった。


「えっ、あのっ、あのっ……!」


 なんとか止めようとしたが、その人たちはまるで別の物を見ているように目の焦点があっていない。


 私はその人たちに押されて、廊下の奥の方へと押し流されていく。そして、気づいた頃には――廊下の終わりまで来ていた。


「王城の中でも人の波に吞まれてしまった……。あっ、わ、私も自分の教室に入らなくっちゃ!」


 顔を上げて廊下を見ると、すでに人は数えるほどしかいない。その人たちも慌てて教室の中に入って行った。


 私は自分の受験票を手に持って、自分の番号が入っている教室を探した。一つずつ確認していき、十以上の教室を調べた時――ようやく見つけた。


 良かった、ここが私の教室だ。ホッとしながら扉を開けると、シンと静まり返った人たちが一斉にこちらを向いた。


「ひっ」


 思わず身を引いてしまう。そこへ、立っていた大人の人が近づいてきた。


「もう、試験の説明は終わってしまったよ。進行を優先するため、説明はしないけれど……それでも受験していくかい?」


「あっ、そ、そうなんですね。あの……受けたいです」


「だったら、早く席に着いて。今から問題用紙と回答用紙を配るから」


 しまった。教室を探すのに時間がかかったから、説明を聞けなかった。私は急いで空いている席に着くと、カバンから筆記用具を取り出した。


 とりあえず、試験は受けれそうだ。試験が受けられればそれでいい、約束を果たせるから。


 まぁ、でも……自分なりに頑張ってみよう。頑張って落ちたのなら、きっと魔法使いも満足してくれるはずだ。


 すると、前から紙が手渡される。自分の分を取ると、残りを後ろに手渡す。それをもう一度繰り返すと、私の前に問題用紙と回答用紙が揃った。


「では、はじめ」


 その声で一斉に紙が擦れる音がした。さて、私も精一杯頑張りますか。

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