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魔法で遊んでいた世間知らずな田舎者、都会に出たら怪物扱いされました  作者: 鳥助


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36.デモンストレーション(1)

 司会の言葉に従って、私たちはアリーナへと移動した。


 そこは円形に造られた、とても大きな施設だった。周囲をぐるりと囲むように観客席が設けられており、その中央には広々とした石畳の舞台が広がっている。


 これだけの広さがあれば、どれだけ派手な魔法を使っても問題なさそうだ。初めて見る大きな施設に、私は思わず周囲を見回した。


「新入生は真ん中に立って」


 アリーナに入場すると、すぐに在校生と思われる人が誘導していた。その通りにアリーナの真ん中に移動をした。


 周りを見たら、会場の端では在校生が並んでいて、魔法の準備をしていた。ということは、他人の魔法が見れる?


 魔法を見たのはゼロムスさんとか、試験日のレイチェル様の魔法しかない。こんなにたくさんの在校生が魔法を使ったらどうなるんだろう?


 そのことを考えると、ワクワクが止まらない。


「どんな魔法を使うんでしょう。凄く、楽しみです!」


「分かるー、私も! どんな魔法が出てくるのか、凄く楽しみ!」


「なんとなく想像はつくけれど、想像するのと見るのじゃ違うから楽しみだわ」


「……こんなことでそんなに喜べるなんて子供だな」


「そういう、アルベルト君だってソワソワしてるじゃん!」


「……こいつっ!」


 ミレイ様が指を差して笑うと、アルベルト様は恥ずかしそうに怒って見せた。……楽しみなの、私だけじゃないんだ。それを知れて、もっと楽しくなった。


 周りもとても楽しそうな雰囲気で、まるで本で読んだ祭りみたいだ。じゃあ、これが祭りの初体験? いや、祭りじゃないし……。


 そんなことを考えていると、アリーナの前方に立っていた司会者が一歩前へ出た。


「それでは、新入生歓迎デモンストレーションを開始します!」


 その声が響き渡った瞬間、会場の空気が変わった。


 続いて、一人の男子生徒が壇上へと歩み出る。どうやら彼が在校生代表らしい。私たち新入生を見渡すと、軽く自己紹介をしてから、入学式から続いていた長い話について簡単に触れた。


「入学式からずっと話を聞いて、さぞ疲れただろう。だから、こんな堅苦しい話はもう止めだ!」


 男子生徒がそう言って、拳を高く掲げる。


「ここからは――存分に楽しんでくれ!」


 その瞬間、周囲にいた在校生たちが一斉に声を上げた。歓声がアリーナ中に響き渡り、それに合わせるように、何人もの生徒が魔法を発動させる。


 ドンッ!


 低く響く音が地面を震わせる。


 続いて、パンッ、パンッと軽快な音が鳴り響き、空中では色とりどりの光が弾けた。まるで音楽に合わせているかのように、次々と音と光が重なっていく。


「わぁ……!」


 思わず声が漏れた。魔法で、こんなことができるんだ……! 私の使ったことない魔法だ!


 ただ魔法を使っているだけなのに、それがまるで一つの大きなお祭りみたいになっている。


 周囲の新入生たちも歓声を上げ、アリーナは一気に熱気に包まれていった。私は目を輝かせながら、次々と展開されていく魔法を夢中になって見つめていた。


 色とりどりの光が次々と空へ飛び出していく。赤、青、緑、黄色――様々な色の光が空中を舞い、キラキラと輝きながらアリーナを彩っていく。


 さらに、光の中から魔力で形作られた動物たちまで現れ始めた。犬や猫、鳥に兎。


 どれもデフォルメされていて、空中を駆け回ったり、羽ばたいたり、ぴょんぴょん跳ねたりしている。


「わぁぁぁ!」


「すごい!」


「かわいい!」


 新入生たちから次々と歓声が上がる。私も思わず身を乗り出してしまった。魔法って、こんなことまでできるんだ……!


 ただ魔法を使うだけじゃない。こうやって見ている人を楽しませることもできるんだ。そう思うと、ますます魔法が好きになっていく。


 そんな盛り上がりの中、在校生代表の男子生徒が再び声を上げた。


「じゃあ、今年の新入生にもやってもらおう! 新入生代表――レイチェル!」


 その声に、レイチェル様が静かに壇上へと歩いていく。壇上の中央まで進むと、レイチェル様は観客に向かって一度、丁寧にお辞儀をした。


 そして、顔を上げる。腰に携えていた杖を取り出すと、それを高々と掲げた。次の瞬間、レイチェル様の周囲から膨大な魔力が溢れ出した。


 それは空中へと集まり、徐々に一つの形を作っていく。翼。巨大な胴体。鋭い爪。そして、大きく開かれた口。


 集まった光が形を成した瞬間、それは一頭の巨大な竜へと変わった。光でできた竜が、大きな翼を広げる。


 そして、そのままアリーナの上空へと飛び立った。キラキラと輝く光の鱗をまといながら、巨大な竜が空を悠々と旋回する。


「うおおおおおっ!」


「すげぇぇぇ!」


「光の竜だ!」


 先ほどまでとは比べものにならないほどの歓声がアリーナを包み込んだ。在校生も、新入生も、誰もが空を見上げている。


 私も、ただ呆然とその光景を見つめていた。すごい。これが……レイチェル様の魔法なんだ。


 夢中で見ていた時――在校生代表が声を上げた。


「だけど、今年の新入生代表は首席ではない。学園側の要望により、次席が代表をすることになった。これでは、入学式の伝統が途絶えてしまう」


 妙に真剣な声が響いた。誰もが耳を傾けていると、一段と大きな声が聞こえる。


「みんな、首席の魔法……見たいよな!? というわけで、首席のユフィ! 壇上まで来て、魔法を披露してくれ!」


 ……えっ? わ、私が? ……そ、そんな……。こんな魔法使ったことないよ!?

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