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魔法で遊んでいた世間知らずな田舎者、都会に出たら怪物扱いされました  作者: 鳥助


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33/63

33.買い物

 何もやることがないので、学園の教本を読む日々を続けていた。日常の仕事がないっていうだけで、こんなにも本に没頭することが出来る。なんて素敵な学園生活なんだ。


 そういえば、学園には大きな図書室、なるものがあると寮長から聞いた。なんでも、たくさんの本がいっぱいあるとかないとか。


 まさに、夢の世界だ。早く図書室に入りたいが、まだ入学式を終えていないので、無理とのこと。このもどかしい気持ちを抑えるため、教本を何度も読み返したりした。


 そんな堕落した日々を過ごすこと、数週間。いつも通りに本を読んでいると、窓から音がした。顔を上げると、そこには伝書の魔法が窓を突いていた。


「誰からだろう?」


 不思議に思いつつも、窓を開けた。すると、伝書が私の肩に止まる。


『ユフィ、久しぶりね、ロゼリアよ。学園の準備が出来たから、明日にでも買い物に行きましょう。ミレイも終わったようだから、二人で迎えに行くわね。寮の門で午前九時に迎えに行くわ』


「あっ、連絡だ! そっか、明日お買い物か……。えへへっ、楽しみ」


 とうとう、待ちに待ったお買い物だ。どれだけお金を使うのか怖いけれど、王都を見回るのは楽しみだ。


「そうだ、返信しないと!」


 私は魔力で伝書を作ると、そこに声を録音する。


「分かりました。明日、寮の門で午前九時ですね。楽しみにしてます」


 しっかりと声を録音すると、伝書を放した。伝書はシュンッと残像を残して、音速の速さで飛んでいった。


 ◇


 翌日、私は寮の門の前で待っていた。楽しみ過ぎて、三十分前から待っている。


「そろそろかなぁ……。あっ、来た!」


 通りの向こう側を見て見ると、見慣れた馬車が近づいているのが見えた。その馬車は私の前に止まると、扉が開く。


 乗り込もうとすると――。


「ちょっと、ユフィ! 昨日の伝書は一体なんなの!?」


「えっ?」


 乗り込んですぐ、ロゼリア様の大声が響いた。ロゼリア様は困惑した表情で必死に訴えてくる。


「私が出した伝書は一時間もかかるのに、戻ってきたのは一時間と数分。一体、どれだけ速いの!? びっくりして、紅茶を噴き出しちゃったわ!」


「あっ、いえ……伝書は速さが肝なので、そのように改良しただけですが……」


「速さが肝って……一時間の道のりを数分に短縮するのは異常すぎるわ!」


 でも、伝書は速さがあったほうがいいんだけどなぁ……。こんなに驚かせるなら、一緒に会話出来るような魔法を生み出した方がいい? ……それは、楽しそうだ。


 と、考えているとミレイ様の笑い声が聞こえてくる。


「あはは! 私もその伝書、見たかったなぁ。今度、私とも伝書交換しようよ」


「はい! もし、新しい魔法が出来たら、その時は相手してくださいね!」


「……どうして、新しい魔法の話になるのかな?」


 魔法学園、楽しいことがいっぱいになりそうだ。期待しながら私は席に着くと、馬車は動き出した。


「でも、新しい魔法もいいかもね。面白そう! そうだよね、ロゼリアちゃん!」


「とにかく、ユフィには都会の常識というものを教えないと……。いつ、異常な魔法を使うか分からないわ」


「……ダメだ、話を聞いていない。まぁ、いっか! ユフィちゃん、久しぶりにお喋りしよっか!」


「はい!」


 ロゼリア様はぶつぶつと何か独り言を言っていて、話を聞いてくれない。そこで、私たちは二人で会話を楽しむことにした。


 馬車の中では、楽しそうな話し声が響いていった。


 ◇


 それから、ロゼリア様とミレイ様は色んな所に連れて行ってくれた。まずは服装が大事だと、仕立て屋を訪ねた。そこではなんと、オーダーメイドで服を作るところだった。


 古着を着ていた私にとって、それは雲のように高い存在。だけど、王立グランセリア魔法学園に通うなら、これくらいが普通だって二人は言っていた。


 だから、そこで採寸をし、服のデザインを決めた。とても長い時間拘束されて、終わる頃にはへとへとになっていた。


 だけど、買い物はこれだけでは終わらない。身の回りの品、靴やカバンアクセサリーまで。全ての物を新調する勢いで、二人は私に合うものを選んでくれた。


 その度に大金が飛んで行って、目が回るような気持ちだった。これが都会……恐ろしい!


 一旦カフェで休憩を挟んで、午後も買い物を続けた。寮生活で必要な備品や消耗品を買い漁った。初めて見るものが多く、二人に使い方を教わりながら買い込んでいく。


 そして、全てが終わる頃には、馬車の中は買った物で溢れかえっていた。


「こ、こんなにたくさん……付き合ってくださってありがとうございます」


「とりあえず、今日中に集まってよかったわね。私たちは屋敷から通うことになるから、その準備はないけれど」


「もし、何か不便なことがあったら言ってね。便利な物を教えるから!」


 一日かけて買い物に付き合ってくれた二人には本当に感謝だ。でも、どうしてここまでしてくれるのだろうか?


「えっと、どうしてここまで親切にしてくれるんですか?」


「それは、ユフィが放っておけないからよ。つい、手が出ちゃうのよね」


 さらっと、ロゼリア様がそう言った。ロゼリア様は出会った頃からそうだった。これは、本人の性格なんだろうか?


 その横では、ミレイ様がちょっとだけ俯き、言い辛そうにしている。


「ミレイ様?」


「えっと……あんまり仲良くしてくれる人がいなくって。でも、ユフィちゃんはわけ隔たりなく接してくれて、嬉しかったからかな」


 照れ臭そうにポツリと言った。ミレイ様の性格なら誰とでも友達になれそうだけど、そうじゃない?


「私、田舎から出てきたばっかりで……何も分かりませんが、これからも仲良くしてくださると嬉しいです」


「私も! そうしてくれると嬉しい! ユフィちゃんがいるだけで、学園生活がもっと楽しくなりそう!」


 私たちは笑い合うと気持ちを確かめ合った。仲の良い人がいるだけで、こんなにも楽しくなるなんて思ってもみなかった。


 これからの学園生活、一体どんなものになるのだろうか?


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― 新着の感想 ―
うーん、ユフィに常識教えて伝書に時間かかるままにするよりは、伝書速いのを広めて速いのを常識にした方がみんな便利!
>つい、手が出ちゃうのよね これがどういう意図なのか分からない 普通に読むとつい殴っちゃうと読めてしまうんだけど
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